富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

環翠の休業

癸卯年六月廿二日。気温摂氏25.6/31.8度。立秋。気温もずいぶんと和らいできた、といふべきなのか。まだ熱帯夜だし日中の気温は30度超でも35度の猛暑日にならぬ日が3日も続いてゐるだけでも御の字かしら。

明日、東京からK先生が水府に来られるとのことで急だから学会とかではなく鉄旅か(正解)。日本酒好きのK先生であるし常陸沖の魚も味はつていたゞきたい、ホテルも水戸駅前だといふので〈環翠*1〉に昨日から電話してゐるのだが応答がない。

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夕方出向いてみると店は閉まつたまゝで昨日、今日の休みではない。貼り紙もないが店の前に草が生えてゐるから一、二か月は閉まつてゐるのかしら。店のHPもそのまゝ(更新も随分されてゐないが)だし食べログも「掲載保留」とかにはなつてゐない。系列店に電話してみると環翠は休業中と教へられる。具体的にいつ再開といふこともないらしい。かうした場合は事実上の閉店と思つて差支へないだらう。


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百年老店で戦争の空襲があつて今の建物は昭和30年頃からの所謂、昭和レトロ。子どもの頃から連れてきて貰つてゐた。それを改修しつゝ元々の経営はそのお家がもう10年以上前だと思ふが店を閉じたが今の飲食店経営会社が経営権を受け継ぎ昔のまゝのスタイルを維持して営業してきた。それが無くなつてしまふのだからまことに寂しいもの。前回だか前々回にこの店を訪れた際に昔の店の燐寸があり、それをいたゞいてきた。住所(宮町2)は「銀杏小路」とあり電話番号(現在は221)の市内局番(21)は水戸でも古い4桁の時からの番号で4832番(アタシの家は3275だつた)。銀杏小路は小粋な小さな料理屋や飲み屋が並び賑やかな通りだつたが環翠の閉店で、この通りももう夜になつても行燈やネオンが灯ることもない。

*1:「環翠」は箱根に環翠楼といふ伊藤公命名の温泉旅館もあるが、このカンスイは「酣醉」からとつたのではないかしら?と久が原T君から聞いたことがある。「酣醉」は酒に十分に酔うこと。酣醉楽は雅楽高麗楽、高麗壱越調の曲。廃絶曲。源氏物語(椎本)「酣醉楽に遊びて」【広辞苑第七版】