富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

國策滿洲農業開拓民滿蒙開拓靑少年義勇軍ノ栞

癸卯年四月廿八日。気温摂氏19.7/23.8度。曇のち雨。


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古書肆股旅堂の目録からを見つけて入手。本日これが届く。昭和15年茨城県(県庁)職業課の発行したもの。なにせ(今は水戸市に併合された)内原町には、この地に「満蒙開拓の父」と呼ばれた加藤完治を中心に満蒙開拓青少年義勇軍の訓練所があつて8.6万人の若者が満蒙の地に遣られたわけで地元の茨城県も当然その団員募集に積極的であつた。わずか30頁余の「栞」なのだが概要から応募方法、手続き、慰問のことまでじつによくまとめられてゐて当時の小役人たちのレベルの高さには感心。

先週木曜に続き晩に神田大吾先生(茨城大学)のセミナーで「学校教育の「常識」~フランスの小中高の特徴~」@市国際交流センターを聴く。一応きちっと何かが決まつてゐるが或る程度の適当が許容され全体が動いてゐればそれで良しとされるフランス社会。個人的にはけして不適合はしないだらう。バカロレア試験での「哲学」についての考へ方が興味深い。日本の小論文(序論で主張のあと「だが、しかし」で「それでもやはり」と自己の主張の正しさを述べる)や序論で主張、主張を支持する事実、主張の繰返しがエッセイの米国に対してフランスの「哲学」は①正確な意味を知る定義、②弁証法的な前提の疑ひ、⓷正誤についての自問……。正と反は「白か黒か」ではなく「視点の移行」としてのグラデーション。暗記と模倣から批判的思考へ。そしてフランスの「民主主義とエリート主義」の両立。これの「勉学」こそフランスか。

(参考)中島さおり『哲学する子どもたち: バカロレアの国フランスの教育事情河出書房新社

渡邊雅子『「論理的思考」の社会的構築: フランスの思考表現スタイルと言葉の教育岩波書店

毎日新聞17:00)立憲16日に内閣不信任案提出へ
毎日新聞18:36)今国会での衆院解散を見送り

いつたい何がしたいのか。通常、内閣不信任案提出されれば「解散」だが岸田は解散見送るといふ。この状況で総選挙やつたら「維新が喜ぶだけ」だから立憲は可決されない前提で内閣不信任案を出し衆院解散は回避の自民。与党と野党第一党がバカ二大政党といふ悲劇よ。そして今一番勢ひがあるのが更にバカな政党なのだから。

抗生物質の出現によって、第二次世界大戦下のアメリカは、人類史上初めて、感染症で亡くなる兵士の数が銃弾で亡くなる兵士の数を下回ることに成功した国となった。(略)私たちはこれまで、ヒトを一つの独立した存在だと考えてきた。今それが間違いである可能性が指摘され始めた。「私」は、実は「私」に常在する細菌とともに「私」を構成している。- 山本太郎*1(岩波『図書』2016年3月号)

2019年の香港騒乱のとき確かこの日本人のウィリーさんは香港に来てゐた。香港の民主化への強い声援で当局から黒単に入れられたのだらう。アタシなんかデモには散歩がてら何度も参加したことがあつたが「香港独立」とか叫んだこともなかつたがブログを見返しても香港の政府に対する揶揄、香港の行政長官や役人たちへの罵詈雑言を見れば好ましからぬ人物かしら。当面香港には近づいてはいけない。

*1:れいわ新選組山本太郎ではなく感染症学の医学者。