富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

荒木経惟『東京物語』

癸卯年四月初七。気温摂氏9.7/22.7度。晴。


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澤瀉屋、ジャニーズの騒動に加へ、またキシダのバカ息子のお騒がせもあり『週刊文春』が話題豊富で『週刊新潮』もどんなものかとかなり久々に両誌購入で紙面を眺める。すでにネットで先行発表のネタなので驚きもなし。『文春』で阿川佐和子さんの対談のお相手が馬場あき子先生で面白く読む。同誌の書評欄で加藤陽子先生(東京大学、日本現代史)が平山周吉『小津安二郎』紹介されてゐたがポイントはやはりアタシと同じところ。山中監督へのオマージュ。澤瀉屋記事でも『新潮』の表現がリテラシー感あるのが興味深かつた。

東京物語

荒木経惟の写真集『東京物語』(平凡社、1989年)を眺める。平山周吉『小津安二郎』のなかで、この写真集のことに触れられてゐたのかしら。昭和末の東京の光景がもはや遠い昔のやう……といふか自分のなかではつい最近のやうでも、もう30年以上前。新宿駅南口の再開発前にあつた個室ヌード〈ボニータ〉、原宿の裏通りの住宅街でゴム飛びする少女たち、東京ステーションホテルのレストランで小林薫戸川純をモデルにした食事風景、渋谷駅前ビルの世界日報の大きな看板。アラーキーの撮つた東京の景色の味はひ。

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こんな少女への接近は今なら完ぺきにアウト。昭和の当時はまだロリータとか少女のヌード写真集なんてのも出てゐたのだつた。子どもの頃に何らかの性被害を受けて、それがトラウマになり……といふ話は記事ではよく聞くが不思議とこれまでさういふ同世代の方に出会つたことがない。勿論それが事実ならべらべらと他人に語るものでもなく秘匿される傾向はあるのだらうが、さうしたことを自分のなかでセトルメントできてしまつた人たちもゐるのは事実だらう。