富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

澤瀉屋騒動

癸卯年四月初一。気温摂氏16.9/26.5度。曇りのち雨(16mm)。

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澤瀉屋騒動。普段はテレビで殊にバラエティ情報番組なんて見ることもないが澤瀉屋騒動につき家人が番組(ミヤネ屋)録画しておいてくれて晩にそれを眺めれば1時間余。限られた情報の中でよくもこれだけ番組を作るものだと驚く。ネット上にもいろいろな勝手なコメントあふれるなか、この(↓)コメントだけはきちんと読むことができた。

あれほど頭脳明晰な方が、なぜこんなことに。一呼吸して、自分の、親の、命のこの先あるかもしれない景色を思い浮かべてほしかったです。段四郎丈ご夫妻のご冥福をお祈りします🙏(ロバート=キャンベル)

メディアが段四郎丈を「猿之助さんの父親」とするなかキャンベルさんは違ふ。

今日も気がつくと、この澤瀉屋騒動のことぼんやりと考へてしまふ。本人が本当に死ぬつもりでゐて、もし死に損なひ遺書のやうなものまで世間に晒されたら意識戻つてゐても「命尽きるまで「意識障害」の大芝居」演じることしかないのか、なんてこと考へる。それぢゃドストエフスキーの世界のやう……なのに猿之助さん本人が(捜査関係者によれば)「死んで生まれ変はらうと家族で話し合ひ両親が睡眠薬を飲んだ、といふ趣旨*1」の話をしてゐるといふ(日テレ)。そんなことが現実にあるのかしら。倅が、それも少年で世間で許されぬ猟奇的連続殺人事件でも起こして親の責任問はれ親は心神喪失で……ならまだわかるが芸能人が週刊誌の醜聞記事程度で親も覚悟決め、まさか見栄をきり「いざ、この世もさらば、さらばぢゃ、先に御免」と女房と連れ立つて服毒……なんて芝居がゝつたことあるはずもなく(そんな想像をしてしまつたことぢたい段四郎丈に失礼なこと)。

文春オンラインでは村上湛君が市川段四郎といふ役者についてきちんとコメントされてゐる。

「段四郎が嫌いな歌舞伎見物衆などいません」市川段四郎の本当の実力 | 文春オンライン

猿之助奮闘公演の続いてゐた明治座では澤瀉屋騒動の当日も昼の部こそ中止としたが夜の部は隼人の代役で公演続行し隼人奮闘で盛り上がり昼の部も明日から主役の知盛役を市川團子(19)大抜擢で再開の由。

市川猿之助奮闘歌舞伎公演5月19日夜の部以降の公演について - 明治座

團子にとつては祖父迄の猿之助名跡を父(香川照之)の従弟(当代)が継いだものゝ世襲ない前提で、今後精進すれば澤瀉屋嫡流として襲名も可能性はあつたが、まさかこんな形で猿之助の名の芝居を演じることにならうとは。今回の騒動につき何も真相もわからぬなかで、すでに「まなざし」は次なるスター誕生に向いてゆくとは。

*1:これは趣旨ではなく主旨だらう。「死んで生まれ変はらう」は趣旨。……と思つたが用語の手引き(朝日新聞)見たら主旨は趣旨と書き替へとは。