富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

憲法記念日

癸卯年三月十四日。気温摂氏7.1/22.9度。快晴。NHKの配信(らじるらじる)で4月30日の〈名演奏ライブラリー〉の井上直幸(1940〜2003)特集(こちら)を聴く。この稀有なるピアニストの逝去からもう20年。

本日は憲法記念日憲法施行から76年。憲法も76歳である。世論調査でも朝日、毎日、共同通信は護憲、九条擁護で改憲には慎重で読売、産経が改憲に積極的なのは当たり前田のクラッカー。そのなかで興味深いのは読売新聞のこれ。

改憲に賛成61%と高水準なのはコロナ禍やウクライナ侵略の影響だと正直(笑)。つまりいずれも外因であつて疫禍やプーチン、また中共習近平の覇権がなければ改憲気運も盛り上がらない。それならば代々木の志位和夫の「戦争の準備ではなく平和の準備を!」https://t.co/YXdJFkJgob / Twitter の方がずつと正論だらう。朝日新聞に御大・樋口陽一先生久々のご登場。昨年が米壽で今年89歳のはず。

樋口陽一(インタビュー)いま日本の立憲主義は:朝日新聞

政治の世界で進んできた「〈公〉の〈私〉化」という問題が深刻だと考えています。「〈公〉の領分に〈私〉を送り込む」という意味でのことです。近代立憲主義は一人ひとりの個人が自分らしく生きていくために他者とともによりよい社会=公共社会(res publica)を作っていこうとするプロジェクトです。異なる考え方を持つ人々が共に生きていくうえで〈公〉と〈私〉の領分を切り分けることが決定的に重要なのです。例えば近代立憲主義の流れをくむ日本国憲法の15条は公務員を全体の奉仕者と定めています。公務にたずさわる人たちは公共社会のために奉仕するもので〈私〉に仕えるものであってはならないという意味です。まさに〈公〉の理念が表れています。ところがこの10年余りを振り返ると安倍政権下で〈公〉の領分に大っぴらに〈私〉が入りこんできました。〈公〉の〈私〉化を象徴する出来事が森友学園への国有地売却や加計学園獣医学部新設の問題でした。財務省の公文書改ざん事件では自殺者さえ出ましたが全体の奉仕者としてではなく政権担当者の〈私〉のために公務員が使われたことへの抗議という意味を持つものでした。
公私の区分という憲法の基本ルールが壊れている。
もう一つ見過ごせないのは安倍晋三氏の後で首相となる菅義偉官房長官の発言です。翁長雄志沖縄県知事が著書で明らかにしていますが翁長氏が菅氏に沖縄の苦難の歴史を理解して欲しいと求めたところ「私は戦後生まれなものですから歴史を持ち出されたら困りますよ」と発言したというのです。政治の世界に身を置いているのに〈公〉としての自国の歴史に対する思い入れもなければ名誉心や責任意識も感じられない。自国の近現代史への丸ごとの無関心を平気で口にできるのは〈私〉のために〈公〉の領分であるはずの政治を使っていることと同じで、こちらは「〈私〉の〈公〉化」でしょう。みんなの領分であるはずの公共社会が〈私〉によって侵食されているのです。

仙台に晟子先生とゆっくりとお住まひと聞いてゐるがお元気さう。そして陽一先生の言論は一切の衰へもない。もはや能狂言の名人のやうだが陽一先生は東大の頃だつたか謡ひもやられてゐたか。

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この陽一先生の指摘する立憲主義大義をきちんと実践してゐるのはれいわ新撰組山本太郎代表かもしれない。NHK日曜討論〉4月30日「憲法記念日特集」。安全保障は声高に叫ぶくせに国内の安全保障をなおざりにする日本の政治。そこは憲法違反で溢れている。「今ある憲法を守れ!話はそれから」。https://t.co/zL25cS22Q7 / 白坂和哉Twitter

〈樋口憲法学〉の後継者は東大を去つてしまつたがやはり蟻川先生だらう。

蟻川恒正(憲法を考える)「弱い」私たちの盾9条は死なず:朝日新聞

「批判の自由」を封殺して戦争への道をつくった暗く重い歴史を背負って9条は生まれました。だから「弱い」私たちに寄り添いながらも自由を行使する「強さ」を私たちに求めているのです。


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このGWの大型連休などわざ/\出かける気もしない。家人の散歩コースで八幡宮の崖下で最近仲良しの野良猫がゐてとても人懐こく家人を見つけると遠くから駆け寄つてくるほど。昼前に散歩に出てみたら本当にまた駆け寄つてきた。蕎麦の〈みかわ〉に近いので勝手に「みかちゃん」と呼んでゐる。〈みかわ〉も休日のお昼で混雑してゐるから隣のコンビニで稲荷寿司を買ひ求め紫陽花もまだ青葉の保和苑の見晴台で軽い昼食として八幡宮に参拝して水戸芸術館に寄り帰宅。芸術館では会員ステータスの更新。今朝発売の志の輔師匠の独演会(6月)は今日は会員先行で一般発売も未だなのにすでに完売。連休で皆さんお出かけなのか水府の旧市街はいつもにもまして自動車の交通量も少ない。午後は超級銭湯で一浴。夕餉は大根おろしと韮の鍋で豚肉のしゃぶしゃぶ。昨年の日記を見たら3日に横浜(近代文学館)で吉田健一展で翌4日にこの鍋をしてゐた。なんと変はり映えのしない生活なのかしら。