富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

下掛宝生流能の会@国立能楽堂

癸卯年三月初十。気温摂氏12.1/24.2度。午前、新宿角筈1の理髪店で散髪。昨年からかなり髪をかなり長めにしてゐたがコロナでのマスクも外して亦た帽子を被りたくなつたので髪を短くしてもらふ。理容師T君から、この角筈のこちらでの仕事は来月末迄と聞く。いつも午後からお能のときに午前中はこちらで散髪。千駄ヶ谷国立能楽堂のときは散歩で代々木を抜け共産党本部横のそば屋(吉そば)に寄るパターン。さうでなければ理容室の近くの「よもだそば」。今日は千駄ヶ谷に行くが千駄ヶ谷駅で友人と待ち合はせたので「よもだそば」でとろゝそば。これも今回が最後かも。

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3年前の春に日本に戻り最初に見た能がその年(2020年)十月の銕仙会。大槻文蔵師〈蟻通し〉で松田先生の笛、亀井忠雄先生の大鼓。鵜澤九〈鳥追舟〉でワキ方が森常好さんで、それ以来、観世で御宗家にワキが常好さん、囃子方に松田先生、亀井先生、小鼓が大倉源次郎師、太鼓が若手で林雄一郎さんといふのが一番安定と思つてゐられるやうになつてゐるのかも。常好さんは太い美声に加へてフレーズの音楽的な素晴らしさ。その森常好さんがこのたび目出たく下掛宝生流で宝生常三に改名で本日はそのご披露。能は〈半蔀〉で小書が「立花供養」となれば一流の華道家による立花が舞台に据ゑられ本日は「脇語」でワキ方による立花供養の語りとなる。これはワキ方にとつての大曲。観世ご宗家のシテ(夕顔の霊)と対峙するワキの常好さんの姿がいつも以上に凛々しく。ずつとご宗家の脇を勤められ実に感慨深いはず。本日これほどの条件であつたから序の舞の笛は松田先生で忠雄先生の小鼓だつたら最善だつたはず。村上湛君から、昭和の〈知〉の時代の能についてのムーブメント、立花供養の当時の凄さについてテキストを教示された。

松岡心平「能のテキストを読み、舞台に立ち上げて見えてくること」REPRE(Vol.42)

夕方このお能が終はり千駄ヶ谷能楽堂から首都高を潜り御苑に沿つた大谷戸町から旭町を抜け角筈まで歩く。新宿区に入るとまぁ路上にとんでもない人出。今朝の東京駅の大型連休初日で芋を洗ふやうだつたが新宿の南口でこんな人出を目にしたのは初めて。駅ビル地下のベルクへ。

井野朋也(新宿ベルク店長)🏳️‍🌈 on Twitter: "今のギネスにお別れを言わなければならなくなりました。モデルチェンジ(味をライト化)して賛否両論と言いたいところですが、この味ならわざわざギネスを注文する意味がない、価格もライト化してほしいというご意見が圧倒的です。スタッフからもモヤモヤした気持ちのままお出しするのが辛いという声が"

ベルクはギネスビールの取り扱ひを3月で中止としたことで(一部の酒飲みの間で)話題に。アタシはベルクではいつもサッポロのハーフ&ハーフでギネスは飲んでゐなかつたので大きな影響はないのだが。鮨いしかわ。三陸の海鞘。閖上の赤貝。鰹。鯛の昆布〆。握りを少しいたゞき「干瓢の海苔巻き」としたが干瓢といへば栃木だが今では手のかゝる干瓢の製造をしてゐる生産者は数へるほど少なく大部分は中国産の輸入なのださう。この鮨やも疫禍からこんなに繁盛は見たことがないほど。あの疫禍はいつたい何だつたのかしら。