富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

観世會春の別會

癸卯年閏二月十二日。気温摂氏8.4/16.2度。快晴。常磐線岩間駅前の桜も満開。


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新宿角筈1の理髪店も4月で緊張した面持ちと動作の見習ひ君たちの姿。アタシの散髪をやつてくれてゐるT君今日は忙しく前後の客とケツカッチンでアタシの洗髪のアトは見知らぬお兄さんが代替で来られてアトでわかつたが若輩だがジュクでこちら店舗二軒経営の、直接指名したら指名料かゝる所謂「カリスマ」系のオーナーだつた。散髪済ませよもだそばで温かいごぼう蕎麦食べたらさすがに汗だく。東京の最高気温19度。神田駅で中央線から山手線(外)に乗り換へやうと思つたら東京駅での「お客さま救護」で山手線ばかりか京浜東北線も動かず。慌てゝ銀座線で銀座へ。観世能楽堂

本日は観世ご宗家シテで〈攝待〉、狂言野村萬〈八句連歌〉で狂言〈恋重荷〉でシテは津田和忠。〈攝待〉は〈安宅〉からの義経記からの外編。義経がツレ(三郎太)、弁慶はワキで岩代の国は佐藤の館で山伏接待をしてをり、その老婆がシテ。実ハ老母は佐藤継信、忠信兄弟の母で継信の遺児・鶴若と暮らす。義経一行の山伏は身分を隠すが老母には通じず鶴若が義経を当てる。佐藤兄弟の戦ひぶりを語るワキ(福王茂十郎)は大役。ご宗家のまさに慈母を体現するシテ、鶴若役の子方・清水義久君(背丈がぐっと伸びてゐた)、鼓の大小が亀井広忠、大倉源次郎とまことに結構。笛は一噌庸二のところ揚幕から橋掛かりに現はれたのは小顔長身十等身の若者でスタイル良すぎて袴が七分丈。まるでパリコレ擬き。見所で一瞬「えっ?」とざわついたのは事前に代役の報せが出てゐなかつた?からか。その若者の後見に(アタシの席からは柱の影できちんと確認できず、多分)庸二師らしき方が出られて七分丈の袴のカレは先月の観世能楽堂での文蔵裕一の会で〈卒都婆小町〉に庸二師のだつたか、銕仙会@宝生能楽堂で隆之〈巴、シテ安藤貴康〉のだつたか後見がカレ。詰まり庸二師の孫で隆之さんの倅なのだらう。庸二師の代演なら序列なら倅の隆之さんだがアトの〈恋重荷〉が笛がこちらなので、それで孫か。だが幕内でも事前の段取りがどこまでできてゐたのか疑問。当然ながらまだ/\で幕下の音色。これが松田先生だつたら?とか想像するが、それならワキは森常好師のはずで今日はなぜそれが能はなかつたか。かういふときに便利なのが休刊からリベンヂの『能楽タイムズ』で今日ご宗家のこの春の別会でも森先生は矢来能楽堂、松田先生は千駄ヶ谷にご出勤とわかる。この〈攝待〉は本当に情の刹那を感じる舞台。そのあと狂言で一瞬こちらは休憩させてもらはうかと思つたが萬師のそれで未見なので拝見したら、この数年ですつかり脂も削がれた萬氏の上手さ。〈恋重荷〉は熱演だが一昨年にNHKでも放映された大槻文蔵師の同作は村上湛君による再構成演出があり一昨年にNHKテレビで拝見したが、それに比べると今晩のものも単調だらう。何だかエロ老人が赤羽あたりの歓楽街で一目惚れの見世の女子に恋焦がれ年金生活で見世に入る余裕もなく路地で右往左往してゐるやうに見えなくもない。


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サンボアを銀座→数寄屋橋とハシゴ。前者はバーテン君が尾上右近がバイトしてゐるのかと思つた。まだ少し時間のあつた後者はご亭主がバーテンダーと思つて気安く入つたらJ君といふ所謂ガイジンが日本語も流暢に切り盛りしてゐてあばらかべっそん。おつまみが少し余つたのでナプキンに包んで帰りの列車でのチューハイ用に。今日の大阪杯(G1)は4番人気の◎ヒシニグアス(松山)から1番人気の◯スターズオンアース(ルメール)と▲ジュラルディーナ(岩田望)としたが2番人気のジャックドール1着。武豊騎手が54歳何ヶ月のG1騎手最年長記録更新で馬も1.57.4と大阪杯レコードださう。完敗。


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水府に戻り午後7時過ぎ。家人と水戸駅で待ち合はせ黒羽町の路地を眺めつビストロヴィニョンで軽めにフレンチ。軽めの前菜3皿をシェアして画像のお肉は鹿。

R.I.P. Sakamoto Ryuichi