富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七夕

陰暦七月初七。七夕。気温摂氏22.1/25.7度。曇。かなり涼しく一日を過ごす。

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コロナ感染は日々感染者数過去最高となるが社会経済活動は一向に制限のかゝることもなくイベント等も盛ん。水府では2年続けて中止となつた「黄門まつり」は今年秋に規模縮小で開催ださうだが8月第1週の週末開催のこれが延期になつても「ソンクラーン in 水戸」なんて子どもの相手の水かけまつり開催でソンクラーンなのに納豆早食ひだとかフランダンスだとか、まぁ楽しそう。感染者数急増で保健所などで感染者の全数把握が困難になつてゐるため感染検査時の質問項目を減らす……って。もはや何を目的に何をしてゐるのかも思考が破綻してはゐないか。

中島らもエキゾティカ』(双葉社)読む。90年代後半にこの双葉社より「格安航空券ガイド」といふ旅行雑誌が出版されてゐたさう。ネット社会になつたら当然こんな雑誌がなくなるのは格安航空券情報もネットで容易にサーチできることもあるし何よりも若者たちが格安航空券を買つてバックパッカーなんて時代ぢゃなくなつてしまつた。アタシたちの世代はこの一つ前で格安航空券といへば日本ではH.I.S.の時代だつたが90年代後半にはH.I.S.も昔は新宿の怪しげな雑居ビルにあつたのが、もう大手旅行代理店になつてゐた。閑話休題。その雑誌に、らも先生がこの海外ものの短編を連載してゐたのなんて全く知らなかつたし、当時この海外都市探訪の連載のために、らも先生が精力的に取材旅行してゐただなんて。それにしてもわずか数日の滞在で、そのアジアの都市で体感した大切なエッセンスを見事に短編の物語に仕上げてみせてゐる。その都市の印象と、らも先生がもつ印象をとんでもない想像力で物語にしてしまふのだから異才以外の何ものでもないだらう。バンコク、カルカタ、コロンボ、バリ島、韓国……大麻や犬鍋、ドリアン。香港も「こゝに着目したか」とあばらかべっそん。上海だけは4編もあつて「さすが東洋の魔都」は物語も多いか、と思つたら、これは糸川耀史の写真集『流星シャンハイ』に寄せたものゝ転載なのださう。そしてサイゴンからベトナム戦争の激戦地クチを訪れて元ベトコンに案内される地下のトンネル地帯での冒険は出色であつた。そして、らもさんは酔つて逝つてしまつた。

米国下院議長の訪台にあたり中共🇨🇳の対米、対台湾への反発は予想通りなのだが香港の行政長官李P家超が中央政府の措置を全面支持とFacebook上で表明し付和雷同で香港市役所高官がそれに靡いたのには驚いた。これまで中央政府の子飼ひである香港市役所の小役人らであつても一国両制の原則で中共の政策に「理解」はあつても、こんなあからさまな支持表明などなかつたことで本当に一国両制等もはや壊滅してゐることを痛感させられた。

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そしてこの中央政府の措置についての香港市役所高官らの会議で李P市長の講話を小役人どもが全員メモを取りながら聴く姿勢なんて、こりゃ中共通り越して北朝鮮だろ。香港市役所の連中の、この奴隷めいた姿勢こそ魯迅先生が百年前に嘆いた最も卑しい卑屈さそのものである。