富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

一都市二制度

陰暦六月初四。半夏生。気温摂氏24.0/34.4度。出先で塀沿ひの植込みが渇水で強い陽光に灼られて枯れ始めてゐて慌てゝホースで水を撒いたが散水も乾土にどん/\吸ひ込まれるばかりで泥にすらならず。アスファルトの上に水を撒いてみれば、すぐに水は蒸発して打ち水にもならず。こんな盛夏なら蝉の鳴き声も五月蝿いと思へば蝉の声も聞かず、さういへば陋宅裏の崖で去年の梅雨は蛙声が賑やかだつたが蛙の声も聞かず。家人の話では超級市場の軒先で燕巣がいくつかあつたのに先週まだ幼鳥がピーピー鳴いてゐたのに、それが空き巣なのだといふ。一週間でもう成長して飛び立つてゐつたとはとても思へず。何だか怖さを感じ入るばかり。

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中共中央政府が香港は中共にあつて「一国両制を敷いてゐる」といへば、それで一国両制は存在してゐるわけで、それが末長く堅持されゝば香港の一国両制は存在してゆくのである。中共🇨🇳万歳! 少なくとも建制派の土共政党が共産党を名乗らず各組織に党委が置かれず書記がゐないのであれば、それは中共特別行政区で両制といつて差し支へないだらう。
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昨日は記念すべき香港返還25周年の式典当日だといふのに台風の影響で悪天候となり記念式典が開催された湾仔の香港會展中心の巨大な屋外横断幕が強風で破れて垂れ下がつてしまつた。不吉。中共なら解放軍兵士など命懸けで横断幕が破れぬやう強風に立ち向かつたはずである(雷鋒に学べ)。だから香港はそんなこともできないので中共で二等区扱ひとなる。

式典も白河夜船の(左から)林郑亭主(林先生)、保安局長何某、林郑

習近平国家主席来臨の記念式典で林郑市長筆頭に居眠り……だから二等区と蔑まれる。本土ではこんな失態を見せる党員などゐないし、もしこんなことしたらもう明日は、ない。だから香港は覚悟が緩い、甘いのだ。

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それにしてもやはり特筆すべきは林郑亭主の林先生である。林郑が行政長官になつたときに記念式典でスーツに白靴下で話題となり行政長官の亭主であるながらフツーに外出して映画を見たり路線バスに乗つてゐて市民の間では親しみももたれてゐたが林郑が中共寄りの姿勢を見せるなか亭主は「家庭内野党」だと噂され2019年の反修例風暴の頃からはふらりとは姿を見せず。その林先生が林郑の特首退任で国家主席の出迎へから姿表したのだが式典では居眠りどころか椅子から落ちるやうな熟睡で(無呼吸症候群とかなのかしら?)椅子から落ちるか。そして相変はらずスーツに白靴下なのである。中共の紅色に対するアンチなのかしら。まことに「不思議ちゃん」である。英国で博士号もつ数学者であり妻がいくら有能な公務員とはいへ出世してゆき市役所No.2の政務司に抜擢された際に妻から「行政長官にはならない」言質をとりつけたはずなのだが林郑は行政長官となり惨めな結果に。これから引退後に住む場所すら選擇が難しい(北海道のニセコといふ噂もあり)。死ぬまで米国政府から「WANTED」とは。

(破られた「50年不変」 香港返還25年:下)報道の自由失い進む中国化:朝日新聞

さすが倉田先生の「一城市両制」は言ひ得て妙である。

いま中国は政治を完全に中国式にしようとしている。立法会(議会)や行政会議などの名は残るだろうが中国共産党の一元的な指導は貫徹される。他方で経済では自由を維持して国際性も維持する。香港に中国式の政治と国際的な経済を併存させる「一都市二制度」こそ中国の考えている方向性だろう。

ところでこの記事に出てくる以前は蘋果日報の撮影記者が今は再就職できずタクシー運転手してゐるとあり収入は蘋果の頃の半分に減つたといふが今の月収がHK$20K(34万円)だといふのだから香港は日本に比べて本当に豊かなものである。それでもそんな高収入の香港を離れてしまふ若者が多いのだから(リチャード李國章は否定するが)。

「デモ弾圧と国安法導入で歴史に名」去りゆく香港トップ・林鄭月娥長官 - 産経新聞

林鄭氏が6月28日、退任に当たりSNSに投稿した写真がある。公邸で中国国旗と香港特別行政区旗の間に立つ林鄭氏を撮った記念写真なのだが、彼女の立ち位置が気になった。国旗と区旗の中間ではなく、明らかに国旗寄りに立っている。
林鄭氏は行政長官という職務について、香港市民と中国政府双方の負託に応えなければならないので大変だ-という趣旨の発言をしたことがある。実際に双方の間でどれだけ苦悩したのかは分からない。ただ、彼女には、中国側に立つ統治スタイルが目立ったのは事実で、それを象徴的に示す写真のように思えたのだ。(藤本欣也)

いくら産経新聞でも、この記事にはあばらかべっそん。林郑が市長公邸で撮影した写真で「明らかに国旗寄りに立っている」と産経新聞論説委員(元中国総局長)は言ふのだ。こんなの小学生でもわかることだが「明らかなのはカメラの立ち位置が斜めから」でせう。遠近法の基本であるし床の石板の意匠からしても明らか。林郑は中央に立つてゐる。こんな思ひ込みが記事になるとはさすが産経新聞であると感心するばかり。


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