富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

陰暦十一月十六日


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本日の香港立法会選挙低調が期待されるなかネガエリアン譚惠珠に至つては「投票率が3割でも悪くない結果」とまで宣ふ始末(明報)。これで2割だつたら何うするのかしら。本日は香港市役所が投票促進狙ひ公共交通機関乗車無料優遇としたが投票に行かず郊外ピクニックなど出かける市民多く市役所の期待は裏目に(笑)。

【免費搭車】兩大主題樂園購票踴躍 迪士尼遊客:人生見過最多人嘅一次 | 立場新聞

二大テーマパークつまり海洋公園と香港ディズニーランドは盛況。後者では入場者が「自分がこれまで見たこともないほど人が多い」と。何うせなら投票に行つたら香港鼠楽園の無料入場券配布でもすりゃ良かつたのに。

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今日の選挙は本来1年前に予定されてゐたが国安法も整備されておらず汎民主派のさばらせておけば立法会で汎民議席増の恐れありコロナ理由に1年延期して……の本日。前回2016年選挙で当選の汎民主派31名の議員のうち亡命・離港が4名、収監中12名、保釈中5名で政界引退或いはフェードアウト10名。香港の有権者の6~7割が汎民主派支持なのだから中央政府と香港市役所は汎民主派排除することで、それだけの市民を敵に回して今日の選挙に臨むのだから大したもの。何うせ明日になれば「反政府派の妨害を阻止し完善な選挙を実施することができたことは香港市民の大いなる喜び」とかバカなコメントをするのだらう。明日を待たず市長林郑など今回の完然なる愛国者選挙にあたり「一昨年の区議会選は投票に行くだけでも身の危険を感じて民主的な選挙ではなかつた」とすら曰ふ始末。確かに一昨年のあの時期は林郑など官邸から出街でもすれば襲はれる身の危険を感じてゐたかもしれない。公用車で外出も目立つ行政長官専用車を避けAM90の政府公用車でお忍びのやう。「しかし」選挙は民主的に実施されてゐた。香港大学出のエリート官僚がこんなこともわからないとは、やはり自分を嫌ふ、評価しない大多数の中に自分が孤立するとわかつて、もう真っ当な思考回路ではないのだらう。

台灣公投四案勢全否決 被視為民進黨大勝 居台港人:為有票投感高興 | 立場新聞

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台湾では国民投票(否「島民投票」か……中共的には)で飼育促進剤使用した米国産豚肉の輸入禁止(賛成は対米関係重視)、第4原発稼働、液化天然ガス受入れ基地建設地移転と国政選挙と国民投票の同日実施が問はれ4案とも「反対」多数で民進党政府支持明らか。日本では国民投票憲法改正の場合のみ(地方自治体の住民投票ばかり)で天皇制や原発といつた重要な問題でも国民に直接の判断する権利もないのだから。まぁ我ら日本国民に判断できるほどの知力があるとは思へなくもないわけで下手に国民投票制度など導入しない方がマシかもなんて思ふのは何と悲しいことか。

本日陰暦十一月十六日。未明の気温は摂氏▲4.1度と極寒。昼は9.3度で快晴で陽光がありがたい。日暮れに十六夜の白月が東空に見事。

「舟和」芋ようかん値上げ:焼き芋人気で「紅はるか」に転作続々「紅あずま」仕入れ難航 :朝日新聞

といふ記事を読んで甘味好きだが「芋羊羹なんていつにも食べたことがない」と思ふと無性に食べてみたくなつて傾城水戸の舟和で芋ようかん書ひ求め夕食後に頬張つてみたが戦争中や終戦後で甘いものに飢えてゐたらさぞや美味しかつただらう。十二月に入つて「とらや」の売り場の行列がすごい。来年が寅年でとらやの干支の羊羹が人気なのかしら。


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NHK大河ドラマ〈青天を衝け〉澁澤榮一の老後演じる俳優があまりに若すぎて見てゐられない。童顔の上に老け役のメイクもせず芝居も青すぎ。それに比べこのドラマで最優秀配役は慶喜役の草彅剛であらう。「これは実に慶喜公らしい」と誰もが思ふから。ところで今日の筋で榮一らが飛鳥山の澁澤邸に慶喜を招き『公傳』編纂のため聞き書きをする場面で「教育について」で慶喜公の手元に小さな人形が運ばれた。そこでその場面は終はつてしまつたが、あれが水戸の「農人形」といつたいどれだけの視聴者が気づいただらう。

NHKの〈クラシック音楽館〉の前半は日本センチュリー響(飯森範親指揮)松田華音のピアノでシチェドリアン作曲ピアノ協奏曲1番他。後半は今年の蕭邦コンクール1位のブルース=リウがN響尾高忠明指揮)で蕭邦ピアノ協奏曲1番。蕭邦コンクールの順位はよくわからない。ちなみに、このN響との共演(オーチャードホール)は11月8日だかで10月20日に最終結果が確定で優勝者のスケジュールをジャパンアーツが何う押さえるのか(しかも疫禍で移動が難しいなか)知らないが2月には最終選考入賞者によるギャラコンサートも東京であるだうで少なくとも蕭邦コンクール入賞者が世界で最もちやほやされるのは日本なのだらう。ボジョレーヌーヴォのあの騒ぎと同様。

数日前に読んだ陣内秀信東京の空間人類学』(筑摩書房)に続けて同著『わたしの東京学』読む。日本経済評論社の「都市叢書」シリーズの一冊。欧米の都市が歴史的な個性ある市街地を保存・再生し、しかもそこに新しい機能と意味を常に導入しながら一層の魅力的な都市環境をつくり上げてゆくのに対して東京で何ができるのか。戦後の都市計画の見直し。陣内先生はヴェネツィアをよく識るから東京に江戸以来の「水の都」としての創造、ウォーターフロントの再生を期待するのだが、これらの思索から30年後の東京は何うなつたか。ウォーターフロントが開発されるのは土地がないからで豊洲のやうに無機質な埋立地東京五輪選手村のやうなつまらない構想住宅建築が並ぶだけ。過去の伝統的な都市空間の見直しなどまるで省られず東京リボーンが続いてゆくばかりである。

武豊騎手2年ぶりのG1勝利。ルメール騎乗のジオグリフ(2万人気)◎で1番人気のデビュー3連勝レリフォス(デムーロ騎手)◯としたが◎は5着で○2着。優勝はドウデューズでハーツクライ産駒。○の父はダイワメジャーで3着のダノンスコーピオンはロードカナリア産駒。2歳の新馬戦で実績ではどっこいどっこいなのだから血統で自分の好きな線を描くべきであつた。