富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

陰暦十一月十五日

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明日の立法会選挙で市民に投票呼びかける党紙。内地の場合は各「単位」の党委が投票呼びかけ、ある程度の投票率を維持できるが香港にはそれが「まだ」ない。

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党紙に親中建制派による「香港再出發大聯盟」の立候補者一覧掲載あり。茶番選挙なのでこの候補者=ほゞ当選者なのである。香港民調の調査では投票率は4割に至らぬが劉兆桂は「政局穏定なら低い投票率は正常」と嘯いてみせる(明報)。

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珈琲は香港のときはオリンピアグレコエジプティアン珈琲店の豆がお気に入り。水府では南町2のMaruni Coffeeの、こちらは本当に珈琲豆の値段が良心的なのだが、その中でもいちばん廉価のスイートブレンドが好み。淹れ方は紙フィルターでドリップなのだが知人からSAZA COFFEEの「德川将軍珈琲」なるものゝそのままカップにセットしてお湯を注ぐだけの「サザカップオン 徳川将軍珈琲」をいたゞいた。水戸藩で徳川将軍珈琲とは発想が安易、NHK大河ドラマ〈青天を衝け〉に便乗か……といはれさうだが、さにあらず。慶喜公の曾孫で徳川慶喜家(公爵)4代目の慶朝さん(故人)とSAZAとのなかなか面白ひ付き合ひあり(こちら)この徳川将軍珈琲は幕末に慶喜公が欧米との交渉のころにフランス人料理人雇ひ公使らに珈琲ももてなし慶喜公も珈琲を愛飲してゐたさう。そこでSAZAでは当時流通した珈琲豆はモカジャワの時代でインドネシア統治したオランダが珈琲貿易もかなり影響力あつた時代なので旧オランダ領スマトラの「マンデリン」を史実に基づき当時のフランス風に深入りに焙煎したのだといふ。それが、この「カップオン」は豆も12gも使はれてゐるから(ちなみにスタバのカップオンでは9gである)このテの即席ドリップ珈琲にしてはじつに美味しく飲めるものだつた。


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本日陰暦十一月十五日。気温摂氏▲1.9/6.7度。晴。夕方、自動車で水府の西の谷から常磐陸橋の方に上がつたら東空に見事な満月が上つてきたところ。暫し見惚れる。肉眼であんなに大きな月も須磨帆なんかで撮影するとほんと小さく見えるから。

ネット配信で柳家三三師匠の昨日の独演会(イイノホール)で「看板のピン」と「安兵衛道場破り」を聴く。上手い。亡くなつた師匠より古典は上手い。マクラは師匠は得意だつたが三三はあまりマクラはやりたくない感もよい。時々、大きく言ひ間違へや、ふと筋を思ひ返す間が気になるがかなりのテンポで歯切れよく語るのだから、あれで噛みもせずに演つたら志ん朝の再来になつてしまふ。古典なのだが「あわよくば、で儲けやう」で立川談春がいぢられ永田町の道場は3人の師範ゐるが悪い奴らで名前は安倍、麻生に二階と。かうしたところを客も楽しみにしてゐる。

東京人 2020年 05 月号 特集「長谷川町子」 [雑誌]

NHK-BSで朝は〈カムカム〉の前に昭和54年の〈マー姉ちゃん〉再放送あり。朝日新聞(日曜日)で評判となつた「サザエさんうちあけ話」連載が昭和53年だと思ふと翌年にはあれだけの出演陣で、このテレビドラマ放映が、つまり前年のうちからの制作なのだから当時の勢ひはすさまじい。それもあつてバックナンバーで

東京人2020年5月号特集「長谷川町子」

を読んでみた。長谷川町子のアート感覚の鋭さ、そのデッサン力もさることながら『サザエさん』がどれだけ奇抜でアヴァンギャルドであつたか。今でこそテレビアニメの『サザエさん』で昭和の郷愁のやうな微笑ましい大家族の保守的な印象が強いが原作の『サザエさん』は政治感覚も社会に対する懐疑心もファッションセンスもとてもフツーの家庭のそれではなかつたのだ。