富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

李雲迪嫖妓

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ハートをグラフィック的にシンプルに描くときに何かガイダンスはあるのか?と思つて探したら、こんなのが。正方形の隣りあふ2辺を1.2倍に延ばして、その辺の長さを直径にして半円を描き2つの半円の接点で結ぶときれいなハートになる。これを元にもう少し太らせたり痩せらせてもよい。さてふと気になつたのは5mm方眼に描いたので「このハートの面積もわかるのではないか」といふこと。個人的にはぜったいにわからないが幾何が得意な方なら解けるのだらう。

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サントリー角のいつも購ふサイズ(2.7ℓ)がなくて4ℓにしてしまつた。何うせ飲み干すのだし大型ボトルの方が割安なのだが開栓して長く置いておくと風味も抜けてしまふのではないかと思つて2.7ℓにしてゐたものゝ計算してみるといつも飲むハイボールウヰスキーの量はサントリー角のオリジナルタンブラーで一番下の線刻までとしてゐて測つたら70mlで「ハイボール黄金比」はウヰスキー30ml(これが所謂1ショットでボトル1本で23杯とれる)にソーダ120mlだからダブル以上で、これで毎晩2杯きちんといたゞいてゐたら4ℓも28日で飲み終はつてしまふとは我ながら呆れるばかり。次はその黄金比に戻してみようと思ふ。

蔡子強「陳獨秀嫖妓:胡適認為一場道德公審改變了中國命運」明報

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明報で久々に蔡子強先生(中文大学政治與行政学系)の論評を読む。蔡先生は香港政治の論客であつたが国安法施行で中国と香港政治に関する評論の発表を控へるとして今回の話題はピアニスト・李雲迪の淫買から。まるで今年のショパンコンクールに合せたやうな醜聞の公表で党政府メディアまでこれに加はり「黑白琴鍵,不容涉『黃』」なんて名言?まで出たさう。中国を代表するピアノ王子の凋落。蔡先生曰く「嫖妓」は「自然並不光彩,但也非傷天害理で強姦などの性犯罪に非ず大人同士の「自願交易」であり合法の売春制もあり。勿論、その嫖妓行為でファンが絶望したとか公人としての道徳性が問はれることもあらうがメディアが挙つてといふのはおかしな話。女子テニスのプロ選手が副首相とのスキャンダル発表し消息不明でも党政府メディアはそれに口を噤みネット言及も帰省するが、このピアニストについては言ひたい放題。「只許州官放火,不許百姓點燈」(官人の放火は許して百姓が灯りつけることは許さず」か、と蔡先生。古来「嫖妓」は風流なもので役人から商人、文人墨客までそれを楽しんでゐたが時代とともに、それが眉を顰められる行為に。近代史で「嫖妓」で彷彿する出来事といへば何といつても陳独秀のそれ。民国9年、北京大学の文科学長であつた独秀先生「エロ事師」の如き好色、淫賣で北大の職を追はれた一件。当時の民国で売春は合法で中国の古代から色を好む文人墨客は少なからず独秀のそれもその遺風か、と思はれなくもないが雑誌『青青年』で中国の近代化に目覚めよと煽りながら、それを発行して論を奮ふ大学人が淫賣に耽つては始末が悪い。北京大学学長の蔡元培も自らが招聘の独秀を守れず北大から放逐せざるを得ず*1
其後,五四運動爆發,陳因散發單張而被捕,被營救出獄後,就離開了北大,南下上海發展共產主義。究竟是嫖妓事件,還是散發單張事件,令陳離開北大,似乎也不易講清楚。
かうして陳独秀が北大を追はれてから五四運動が起きて独秀は体制批判のビラを撒いた廉で逮捕され入獄し正式に北大を失職。上海に赴き共産主義に傾倒し……と考へると「もし陳独秀が嫖妓に耽らなかつたら」で中共の歴史も変はつてゐただらう。

「仲甫(陳獨秀字仲甫)的行為不大檢點,有時涉足於花柳場中,這在舊派的教員是常有的,人家認為當然的事。可是在新派便不同了……」(周作人)
「外人借私行為攻擊獨秀,明明是攻擊北大的新思潮的幾個領袖的一種手段,而先生們亦不能把私行為與公行為分開,適墮奸人術中了」(胡適

或る人の全く私的な部分での行為を以つて、その人の公の部分を攻撃することの是非。
陳独秀が北大を去つた後、中国では近代自由主義的な思想(梁啓超以来の)が変弱して左傾が始まる。祭先生曰く

但無論如何,在一次嫖妓事件中,胡適告訴我們,嫖妓屬於個人私德,是私行為,該與公行為分開,不應以某人的私行為來作為攻擊他的武器,在百年後,今次「鋼琴王子」涉嫌嫖妓事件中,對我們仍有警醒作用。

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「香港社会は中共とは何か、何をしなければいけないのか、といふこの根本を理解しなければいけない」ださうです。

过去多少年来,香港一些人对中国共产党偏见甚深。这导致过去对“一国两制”的理解出现偏差,实践出现一些困难曲折,香港融入国家也有不少阻碍。在第二个百年起步,中华民族走向新征程的今天,我们尤其需要对共产党有一个更真实全面的认识。这是“一国两制”行稳致远的必要之举,是香港明天更好的必要之举。

21世紀にもなつて、こんな超国家主義が台頭するなんてSFの話だと思つてゐた。

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▼米中対立が深まるなかバイデン大統領が“Human rights part of US DNA”と宣つたことに陶傑先生が噛みついた(ネット連載の黃金冒險號「DNA之間的常識防欄」)。米国の人権尊重とて近来のことでかつての奴隷制や黄禍論など見れば人権がDNAとまでいへるものか。米国が人権をDNAといふのなら中国は小農*2精神といふDNAあり。民族主義も困つたものだが「人権」などといふ常識(コモンセンス)を争点にするから偏見の対立となる。陶傑先生曰「要以常識為經、理性為緯」(常識を縦糸に、理性を横糸に織りなす)。それがバイデンの“need to establish <common-sense guardrails>”なんて何とバカげてゐるではないか。

抗禦愚昧,建築常識和理性的防衛欄,如同打兩針輝瑞還不夠,還要再加一針(Booster), 不斷鞏固你的思維抗體。

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ズグロミズナギドリから検出されたプラ物質(朝日新聞



*1:陳独秀を懲戒で失職させたくはなかつた蔡元培は北大の「組織見直し」で文科や理科の「学長」職をなくして「学部長」職を置くこととして学部長に別の人物を任命し学長職はもはや存在しないことで独秀の席が大学にないことにして独秀の面子を保つたのだといふ

*2:小農勤勞於耕種,喜歡進食,因為恐懼飢餓,也努力賺錢謀生。