香港大学学生自治会幹部だつた学生４人逮捕（昨日）。一昨年からの過激な抗議活動に対して「法の不遡及」無視して国安法で逮捕！ではなく７月１日の抗議派市民による景観傷害事件に際して港大学生会が、警官襲撃後に自害したこの加害者を「深切哀悼」で「感激」と公的に決議、後日、学生会はこの決議撤回で幹部総辞職で幕引き図つたが結果的に大学側は学生会占有する学内施設を回収し学生会を大学から駆逐。今回はこの幹部学生４人を国安法（27条）「干犯宣揚恐怖主義」の嫌疑で逮捕。「打倒一党専制」といふ発言で国家転覆罪問はれると疑問の余地も大きいが思想信条は何うであれ警官殺傷で自害の輩を義士だとか内心で何う思ふかは別として学生会が臨時の会議招集迄して英雄決議では国安警察に逮捕の口実与へるやうなもの。中共もかつては共産主義革命でかうした革命義士の英雄視など自家薬籠中のものだが、だからといつて（だからこそ）それを赦すことはない。中共に抗じる運動は巨大カルト組織に立ち向かふやうなものだから国安法下かうした掌上で遊ばされるやうな行動はかなり慎重でなければいけない。
豊永郁子「習近平体制の本質 全体主義に回帰する中国」朝日新聞
今朝のこの評論はかなり一読に値するもので朝からメモをとりつゝ熟読。ホワン＝リンス（1926～2013）の政治体制論。政治体制研究の泰斗。ヒトラーやスターリンの全体主義。そして権威主義。李光耀のシンガポールとかマハティールのマレーシアがそれ。そしてポスト全体主義の登場。
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ポスト全体主義 |
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①経済的、社会的な多元主義、さらに限定された政治的多元主義が存在。 |
①政治的多元主義は存在せず（事実上の一党独裁）社会、経済の一部に多元主義が現れる。 |
国家イデオロギーには２種類あり。１つは「世界的に普遍的な価値観」を標榜するもの。欧米の自由主義、個人主義や本来の共産主義もこれに該当。もう１つは「その国独自の価値観やイデオロギー」を標榜するものでドイツや日本のファシズム、現在の中国がこれに該当。全体主義を標榜する。領土的野心や人権侵害、合理性の欠如。他国の反応の読み違へもあり。
ホワン＝リンス博士、恰好良い。不良っぽくて素敵。映画俳優にしたいくらゐ。
Noted political scientist, sociologist Juan Linz has died - The Washington Post
豊永先生が「中国が民主化しなかつた理由」として説明するのは「権威主義での強靭性ではなくポスト全体主義が全体主義の残した党組織や治安機関、国有企業などを用いて社会を掌握していたから」とする。中国での鄧小平路線に象徴されるポスト全体主義体制はまさに毛沢東の死後、毛の全体主義へのアンチテーゼとして成立。しかし国家体制を維持する上で習近平の登場（独裁）＝全体主義を防げず、とする。それでも中国はすでに実質的に共産主義体制ではないので毛体制の再現にはらない。ロシアもプーチンの独裁だが豊永先生はロシアは民主化革命で全体主義が崩壊してゐるのでプーチンもあくまで権威主義のリーダーなのださう。なるほど、と思つて読むがプーチンは何かやりたいことがあれば敵対者の抹殺まで何でもできるわけで中共の方が習近平一強であつてもウソでも中国共産党といふ政治組織が存在し集団指導体制を標榜してゐるだけマシなのでは。中国の人々の多様性や複雑さを考へると全体主義と断定できるのか疑問もあり。
自国軍を警戒のためアフガンに派遣した米英やカナダなど現地スタッフの退避完了。それに対して日本は日本人の大使館員らは英軍機でドバイに退避したが大使館とJICAの現地職員や家族500人は置き去りで退避の目途も立たず。これを見れば晋三は自衛隊派遣などあれこれ騒ぐだらうが遣兵せずとも韓国が軍事同盟国である米軍機で現地スタッフ退避までミッション完了させたと知ると「日本は本当に何もできない国」。30年前の湾岸戦争の時も日本人救出の粗忽さに呆れたが失敗の経験も何も活かされてゐない。当時はまだ経済力やイノベーションといつたパワーがあつたのが今はすべてがコテンパにダメになつてしまつた。何も発信することもできずたゞ昔からの優秀なものに縋り、それももう萎えてしまひ日本沈没を待つばかりか……それもまた〈滅びの美〉なんて境地に達してしまふのだから我々は本当にステキなものだ。昼の暑さは大雨のあとぶり返して、さういへば昨日は全国的に雨もありそれほどの猛暑とならぬなか茨城の鉾田が気温摂氏33度で日本一の暑さ、水戸は那覇とともに32.7度で二番目だつたさう。もう晩夏で虫語も聞こえ始めて。今日のお花はユーパトリウム（西洋藤袴）とリンドウ。夜空に月も少し大きくなる。
