富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

東京五輪まであと7日

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明報の東京五輪特集記事の見出しは「奥運倒数7天蒙陰霾」で文字通り「奥林匹克運動会まで7日で空に暗雲漂ふ」なのだが「陰霾(インバイ)ガ蒙ス」で漢語の表現は実に見事……と感心してゐる場合ではない。

なんで東京五輪ってこんなに全てがダメなのかしら。何一つまともに評価できるものがない。

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関東地方も梅雨明けださう

【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)

池内恵サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』(新潮選書)読む。相変はらず自分が何故にこの本を読まうと思つたのかすら不明。浅学ながらおそらく相対性理論以上に、この「サイクス=ピコ協定」は名前だけ知つてゐて実は何も知らないとふと気づいたのだ、きつと。中近東といふと御多分にもれず「サイクス=ピコ協定」で約100年前に英国とフランスが勝手に線引きをして第一次世界大戦後に英仏にロシアや西欧列強がオスマン帝国の領域を勝手に分割して、だからそもそもサイクス=ピコ協定がおかしいから……と認識してゐるのだが、それしか知らない。そもそもそれが正しいのか。英仏が勝手に線引きしたのは事実だが、かりにそれがなければ民族や宗教、地理的条件できちんと中近東の人々の棲みわけができたのか……といふと世の中そんなに簡単ではない。朝鮮半島問題は日本の植民地化が諸悪の根源で、あの侵略さへなければ南北分断もなく……みたいな。この本が書かれた2016年時点で、当時このサイクス=ピコ協定を否定して新しい治政地図の描き直しに挑んだ「イスラーム国」(さう、当時はまださう「国」と呼ばれてゐたIS)だつたがISの動きで中近東情勢はさらに混迷の度合いを深めてゐる(我ながら陳腐な表現……)。もはや政治とか地政学とかではなく、もしかすると「近代」の失敗なのかもしれない。それ以前のオスマン帝国当時の社会が人間の限界だつたのかも。この本はそこまで書いてゐないが結論などでない中近東情勢の分析の最期に映画〈アラビアのロレンス〉についてかなりの頁を割いてゐるのが印象的。アタシらが知つてゐるロレンスが駱駝で砂漠を疾走して中近東のなかで活躍する、あの場面ではなく当時の中近東をめぐる政治的背景がきちんと描かれてゐて、そこが商業映画なのにじつに面白いといふ。なるほど、とは思ふが、それでもそれで、中近東問題は何も解決はしない。

▼中国のGDP7.9%増(2021年第2四半期)なんださう(左下の大公報紙面)。第1四半期が「疫禍退散」で18.3%と高値で、それより当然の減速だが、これで今年上半期は12.7%に。中国の経済成長率なんて所詮、中共の匙加減次第といふ見方もあるが(きちんとした研究者の言を借りれば)中国のGDP計算式は「生産」根拠で日本や諸外国の「消費」根拠よりも「安定しやすい」。消費と生産で前者の増減は顕著だが後者は「倒産しないために」生産は続ける(長期的に見れば二者の統計方法に大差はないが一長一短)。いずれにせよ1四半期でそのまま比較は愚の骨頂。PPP(購買力平価)でGDPを見れば中国は2014年にすでに米国を超へ昨年はすでに米国の1.5倍ださう。だから専門家は中国GDP云々を論題にしない。これを高らかに誇るのは中国そのものだけか。


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▲深圳は华强(……それにしても馴染めない地名)にある72階建の超高層ビルの「揺れ」(日テレNEWS24)は「また中国で建物倒壊か」と背筋寒くなつたが中国の専門家によると、この揺れは異常なものではなく屋上に設らへたアンテナ?の「桅杆」つまり帆柱(マスト)が風圧によつて撓り制動装置がないため、その力が建物にかゝり2.12Hzの共鳴で大厦全体が撓つてゐるもので、この揺れは地盤に吸収されるのださう。その「桅杆」解体の改善工事をすれば揺れはおさまるのだといふが。