富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

蠅の王


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香港は英国植民地らしく民主はなくても自由と法治だけは保たれてゐたのだが香港は英国が統治末期で種を撒いた民主は根こそぎ毟られた上に放置は毀れ自由もあくまで党政権に反目しないかぎりといふ限定となつてゐる。

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キクマサ愛の強いアタシは一度、灘の菊正宗酒造を訪れたいのだがコロナでそれも叶はず菊正宗のオンラインストアでお銚子とお猪口、メンズの保湿化粧水と文房具セットを入手。 

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ふとヰリアム=ゴールディングの『蠅の王』を読んだ。近未来小説でディストピアを描く作品はあくまで空想の物語であつて「かうなつてはいけない」といふ教示だと思つて読んでゐたのだが、オーウェルにせよロバートAハインラインにせよ、世の中は確実にさうしたディストピアになりつゝあると思へるやうになつてきた。この『蠅の王』も社会でいつたい誰が強権となり人々がそれに隷従し誰が葬られるのか……があからさま。

きっと人類は進化しすぎたのだ。意識が生物体としての成長を追い抜きすぎたのだ。いつしか意識のお化けになったのだ。そうではあるまいか。ゴールディングはそんなふうに感じていた。
だからといって、もはや生命の起源などには戻れない。戻れるとしたら、ひとつには子供に戻ることである。子供がすでに邪悪であることを知ることだ。それが『蠅の王』である。もうひとつは? もうひとつは人類の端緒に戻ってみることだろう。そのころは意識のお化けはなかったのか、どうなのか。それを思い出してみることだ。(松岡正剛、千夜千冊こちら

蠅の王 (新潮文庫)