中央政府が香港市民に新型コロナのワクチン提供は（まだワクチンができんたわけでもないのに）中央が香港に愛の手を差し伸べたのだと大公報。もはやカルトなり。蘋果日報は芸人・周星馳云々。90年代の喜劇映画大評判の周星馳は第一線退き隠遁生活に入るのも早かつた。
高速バスで浅草に着き築地に行くのに都営浅草線で東銀座で下車して徒歩で築地が正解だが東京の勘が鈍り浅草から一つ目の蔵前で大江戸線に乗り換へなんて選択をしちまつた。大江戸線はぐるりと両国から門前仲町と墨東を回るうえに蔵前の乗り換へは浅草線と大江戸線は駅も随分と離れてゐて不便。どうしても築地市場駅で下りたいのなら浅草線で大門まで行つて大江戸線で二つ戻つた方が楽だし早かつただらう。築地の場外に入ると豊洲後でも外国人がゐないだけ混雑もないがコロナだと思ふとそこそこの人出。豆や昆布贖ひ宅急便で自宅に送る。昔なら行列のできてゐた寿司清なども待ちなしで静かなもの。銀座まで歩き鳩居堂でお香を仕入れ渡辺版画。巴水の来年のカレンダーを買ひ銀座西郵便局からマカオの英国人Ｈ夫妻にＥＭＳで送る。渡辺版画で丁寧に航空便用に梱包してくれてありがたい。先日このカレンダーを購入の際、自用と母に、でマカオの分をすつかり失念。
タクシーで三宅坂の国立劇場。小劇場で中村京蔵さんの会。客席はコロナ対策で市松配列だが盛況。今日は早晩との二部制。〈豊後道成寺〉は長唄舞踊の道成寺を清元にしたもので昭和55年に清元志寿太夫と長唄三味線の三世今藤長十郎で初演の由。２年後に京蔵さんのお師匠の雀右衛門さんが踊りに。清元がじつにきれい。中入り後は新派の〈滝の白糸〉。泉鏡花原作で、このお芝居といへば昭和30年代の大檀那によるもの。白糸の若き法学生への恋慕から見事な芝居だつたが白糸による水芸も見事。今日の筋書きはそれを裁判劇の視点で再構成したもの（改編は齋藤雅文）で京蔵の白糸、小林大介（花組芝居）の欣弥、丹下一（南京の寅吉）と塾一久による裁判長（声のみ）といふ四人での芝居。本日の京屋による自主公演は〈冬麗の会〉といひ、昼と夜の二部講演で「の夕べ」ぢゃないし「晩秋」には遅すぎ本格的な冬はまだで立冬過ぎで季語にもある冬麗（トウレイ、ふゆうらゝ）にされたさう。まことに空もよく晴れ暖かな日で何より。芝居が跳ねてから養成所の設立50周年ださうで記念展示を眺める。義太夫で養成所出の葵太夫さんが昨年、人間国宝に。その認定証が展示されてゐたが見事な悪筆なのは文科相（萩生田某）の手書きだからか、これぢゃ原本を大切にといふより三宅坂で史料に、とでも供出しちまふだらう。養成所開設初年は三島由紀夫の講演もあつたのだといふから三島自決のほんの少し前だつたはず。大成駒のお姿も。養成所での大成駒の可笑しな話を先日、湛君から聞いてゐて思はず思ひ出し笑ひ。
家人と東京を歩くのなんて一昨年のいつ以来かしら。三宅坂から都バスで銀座。はち巻岡田に口開けで入る。狭い店はすぐに予約客でいっぱい。松太郎、健一に瞳と文人贔屓の店だが山口瞳が国立住まひで府中で競馬のあとこゝまで飲みに来たといふのは本当に大したもの。
感染者数が連日過去最多。日本の底力で、とか年末に向け勝負の三週間とか感染が多いと思はれる場所には近づかないやうにとか何とも非科学的で戦時中の漠然とした精神論を彷彿。根性が坐つてゐれば何とか乗り切ることができるといふやうな。
▼本日NHKの朝ドラ〈エール〉最終回。祖母が福島市出身でテレビに古関裕而が出ると祖母はとても嬉しそうだつた。アタシは４月に日本に戻り外出も自粛の日々で毎朝この朝ドラを見るなんて生まれて初めての経験で見始めると結局最後まできちんと見てゐたことに。感染予防で途中収録が止まり放送中断もあり。感慨深い。
