富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農暦七月十七日


f:id:fookpaktsuen:20200904054556j:image

f:id:fookpaktsuen:20200904054553j:image

香港は行政主導が原則で従前から三権分立はなかったのだと大公報。おかしな話だが反面それは事実かもしれない。だが少なくとも「法治」を貫くといふ原則はあつた。それだけが中共の一国両制での香港の救ひであつた。それの崩壊。

朝日新聞(天声人語)三権分立と香港

多くの近代国家の原理になってきた三権分立だが、いま時計の針を巻き戻すような動きが香港で起きている。林鄭月娥・行政長官が「香港には三権分立はない」との考えを明らかにした。中国政府の意向が働く行政が議会や裁判所より上に来るという宣言である。完全な民主主義はない香港だが、それを補うように「法の支配」「法の下の平等」があるというのが市民の誇りだ。踏みにじられてしまうのか。(略)司法権力が行政権力と一体になったら何が起きるのか。モンテスキューは「裁判官は圧制者の力をもちうることになろう」と書いた。

蘋果日報の記事は社主・ジミー黎智英が2017年の六四活動で東方日報記者の執拗な取材に対する威嚇で訴へられた裁判で裁判所は罪状不成立と裁定。

f:id:fookpaktsuen:20200905072522j:image

この(下図)の表情豊かは香港の芸人ではない。香港大学医学院の袁國勇教授で免疫学の権威。それが武肺の検疫を実際にデモンストレーションして見せたのだが、この豊かな表情は何う見てもベテランの芸人の域なのである。

f:id:fookpaktsuen:20200904150730j:plain

紐育時報のスドクを10分で済ます課題だが今日は気がついたら30分ほどやつてゐた。 

f:id:fookpaktsuen:20200904213754j:image

九月に入り日暮れも早まり行きつけの酒場で一寸飲んで午後6時半すぎに外に出たら、もう真っ暗。路上のシロトエン2CVの光景はまるでround about mid-nightだが。

f:id:fookpaktsuen:20200905165043j:image

歌舞伎座で九月といへば秀山祭だが今年は無題で疫禍で四部入替制。初代吉右衛門が昭和29年に亡くなり命日が九月五日で九月は播磨屋の俳名で秀山祭。秀山祭の始まりは意外と最近で平成16年、吉右衛門の生誕120周年に当たる年から。

f:id:fookpaktsuen:20200903220619j:plain

昔に比べると歌舞伎で役者が揃はないとはいふけど播磨屋は別格で大和屋と澤瀉屋は異星人としておいても梅玉はこのまゝ枯れゝば一寸橘屋のやうだし錦之助萬屋らしく文楽人形かと思えば松緑菊之助は美しく高麗屋もお父っつぁんより面白い役者になるかもしれない。東蔵又五郎歌六はあぶらがのつて渋い演技を見せる。それにしてもチラシの裏が粗筋ではなく全面コロナ対策説明とは……。

f:id:fookpaktsuen:20200903214939j:plain

夜の第四部は大和屋が口上と鷺娘ださうで口の悪い御人がこれを「詐欺娘」だなんていふのは口上挨拶のあとに映像ですっぽんや揚げ幕、奈落に廻り舞台といつた構造を映像で紹介して〈鷺娘〉は2009年の旧歌舞伎座での上演映像を少しの実演を交へたものだから。映像と舞踊の「特別公演」は13年前に熊本の八千代座で以来の由。いずれにせよ、それで8千円。

で驚くなかれ来月も第4部は大和屋で口上と映像×舞踊で<妖気妃>なのだつた。となると十一月も同じく口上で次は〈阿古屋〉ならぬ〈阿古戯〉だらうか。歌舞伎の通人・久が原T君にいはせれば大和屋はかつて〈阿古屋〉で〈琴責〉も芝居抜きで三曲演奏だけ披露もあつたので+映像で何をやつてもおかしくない、と。