富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

香港は死んだ(と産経)

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定海神 香港国安法実施 人心所向 完善一国両制”……と大公報は欣喜雀躍でおめでたい。明報も靡いたか?と思つたら香港市役所が一面に全面広告。蘋果日報は引き続き抵抗を叫ぶ。


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23年目の香港特区成立記念日。毎年この日は朝8時から湾仔で挙行される国旗掲揚と祝賀式典をテレビ中継で見てあれこれ罵詈雑言楽しみ午後はデモに出向き夕方、FCCで啤酒で喉を潤すものだつた。それが今年は迂生がまず日本に滞在してゐて疫禍があり香港市役所は防疫理由に禁聚令でデモ禁止し国安法が昨晩遅く公布され、それが今日から施行されてゐる。国旗掲揚は昨年は抗議活動拡大で式典妨害恐れられ式典参加者は香港会議展覧中心の祝賀会場内から映像で、外での国旗掲揚を眺めるといふ間抜けた様で午後は大規模なデモとなつた。今年は晴れて従前の国旗掲揚式挙行。特記すべきは歴代の行政長官で去年まで姿見せなかつた(といふか入獄してゐた時期もあつたのだが)ドナルド曾蔭權が初代・董建華、後任の梁振英と並んで式典に参加したこと。収賄で刑期終はり、その後の最終裁での再審で法的無罪勝ち取つたので晴れて堂々となのかもしれぬが乾杯祝賀で壇上には上がらず。またRTHKの速報でも
出席升旗儀式的嘉賓包括行政長官林鄭月娥、前特首董建華、CY梁振英、曾蔭權
の序列。行政長官の順ではドナルドはCYの前なのに。だがCYは中共の政治協商会議で董建華と同じく副主席。党の序列にないドナルドは壇下で当然か。
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今日はヴィクトリアハーバーに香港回帰の祝賀看板掲げた貨物船が何十隻も並んで走つてゐたのだといふ。中国船籍で雇はれなのだらう。

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中国国内でも习近平への反感はけして弱いものではなく香港への、この強権的な「指導」はリスク伴ふもので、この結果、香港での反中感が弱まるどころか寧ろ根深いものとなり、そして問題は台湾で、今後ともこの香港での一国両制の失敗で台湾がさらに中共から距離が遠くなれば习近平に対して、その失敗の問責を求める体制変革への「希望」といふものもあるやうだ……といふ話を聞く。习近平政権も少しでも弱さ見せれば党内の多数からも見限られるリスクもあるのだといふ。中共で人々が信じるのは党の安定と、それによる利益であり個人崇拝ではないのだ、と。であるから习近平の強権もけして頑強なものではないといふのだが。

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それまで香港の、この抵抗が持続するのだらうか。ところで、この数日、この詰まらない日剩をご覧になる方のヒット数が急激に半減したのだ(今日少し回復傾向に)。冗談のやうだが真剣に国安法適用で、かうした「反中的な」サイト見てゐるだけで危険なのではないか?と考へる良心的なお人もけして少なくないのかもしれない。今でもよく思ひ出すのは、1997年に当時はまだネットも普及せず日本からもかなり郵便が香港に届いてゐたのだが、その年の6月まで宛先は「香港」だつたのが7月1日を過ぎ宛先を「香港」とせず「中華人民共和国香港」とした郵便が少なくなかつたのだ。さうした方々は海外郵便は宛先は「外国」だから「国名」は「香港は中国なので中国にしなければ郵便は届かない」といふ冷静な判断があつたのだらう。実は返還以前も「香港」は国名ぢゃなかつたのだが。これも数ヶ月で香港に宛先を「中国」と書く人はゐなくなつた。今回の国安法施行で対象となる香港以上に日本で、それを見てゐる人が敏感になつてゐたりするのかもしれない。

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それにしても今日の産経新聞の一面トップ「香港は死んだ」には驚いた。まるで弔報。

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これ反中団体の意見広告かと思つたら 香港は死んだ 目に見えない戦車がやってきた - 産経 って歴とした記事。しかも香港特派員の筆。記者が現場から何故にこんな叙情的な散文を送るのか、それをかういふ形で「記事」にするのかしら。

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日本では今日は当然の平日。不安定な天気。西日本と東海では大雨。水府は雨は幸はひひどくないが強風続く。 早晩に妹に市郊外で近距離に並ぶ酒のやまや、ホームセンターのCainzとユニクロに連れて行つてもらひ菊正宗、雨季ゆゑレインブーツの予備、Airismの下着を買ひ求め悪天候ゆゑ自動車で寄り易い餃子の王将でやっつけの夕餉。好物のタンメンを食す。ふと考へてみれば日本にしかないタンメンなのに日本に戻つてタンメンを食べたのはこれが初めてかも。個性的なラーメン屋はいくらでもあるがフツーにタンメンを供すやうな店は減つてゐるのか。それにしても餃子の王将の店員が「新規餃子いただきました」といふ符丁にはなれない。何だか「食べられちゃった」気がするのだ。ビールを注文すると「お車は大丈夫ですか?」と尋ねられた。「お車の運転はしないですね?」の婉曲表現なのだが、この言葉だけとると思はず「飲んでゐても運転くらいできます」と答へさうになつた。

記事としては興味深い内容。だが「香港の中学と高校で教師を務める楊子俊さん」は6年制のSecondary Schoolでせう。それを「中学と高校で」と書いたら日本の読者は誤解。それと香港身分証の番号を「第三者が知らない」といふのも誤り。年に何十回あちこちで記入で香港身分証の番号は控へられてゐる。