大公報も蘋果日報も昨日の太古城での１名感染がトップニュース。１名の感染で？と思ふが香港代表するアッパーミドルの住宅地で下水配管も怪しい老朽化した公共団地とは違ふという印象からなのか。SARSの時もさうだつたが最後は「武肺到達山頂」なのだらう。 ところで今日から郵便は配達を暫定の隔日から通常通りに戻すさうで先ずは停滞してゐる小包のうち内容物がマスクと明記あるものから優先配達ださう。郵便配達は正規の職員ばかりか下請け業者まで使つて小包幾つも抱へ配達の現場に遭遇。ありがたいこと。
大公報が今更ながら昨年末からの武肺での海鮮市場を元凶にした肺炎疫禍を詳細に伝へてみせるのは昨日の蘋果日報もさうだが武汉で細菌研究所での発端がかなり詳細に報じられたからだと思へるところ。
香港での詳細に渡る感染地図。どこのマンションの何階の何号室で勤務先の会社がどこで……と感染者匿名とはいへ情報シェア。日本では「感染者情報、道は提供を」行動歴は？電話相次ぐ：北海道新聞 のやうに感染者のプライバシー配慮で情報が秘匿されるが防疫のため情報シェア優先で個人はこれにより差別や偏見といつた不利益がないように見守れば良いといふ発想。集団感染の場合「しゃぶしゃぶ家族」とか「麻雀一家」といつた名称までつけられ、そんなこと日本では「絶対にあるまじき」だらうが了見こそ大事で「それがさ、うちの会社で同僚が、家がね、件の麻雀一家の親戚のオジサンと同じフロアでさ」となれば広東語で「あいやー」や「がうちょー」で話題としては消化されるかもしれない。香港市役所の防疫は澳門の上手に比べ何かと不足と批判もされるが大陸と地続きで感染者を50人余に抑へてゐるだけでも大したもの。
今日のSCMPも一面トップは「湖北省で8.5千万に自宅待機要請」といふニュース差し置いて「船の300人が帰還フライトに」と横浜のダイプリ号からの香港乗客脱出のニュース。勿論、香港市民に関はることだから扱ひが大きくもなるが船内隔離の困難が脱出劇を大きなニュースにしてゐる。ちなみにこの画像（上）はFCC（外国人記者倶楽部）の男子トイレ。小便器の並ぶ前に小用中の暇潰しにと壁にSCMP紙の他、FTとNY Timesの一面記事が毎日掛けられてゐる。この右の写真で御仁小用はFCCがかつて中環のSutherland House（現・香港建設銀行香港総行）にあつた当時の男子トイレでヴィクトリアハーバー眺めながらの小便はさぞや心地よいものであつたことだらう。ところで今日から郵便は配達を暫定の隔日から通常通りに戻すさうで先ずは停滞してゐる小包のうち内容物がマスクと明記あるものから優先配達ださう。郵便配達は正規の職員ばかりか下請け業者まで使つて小包幾つも抱へ配達の現場に遭遇。ありがたいこと。
この疫禍の最中、林郑市長何をしてゐるかといへば新界・八郷の〈少年警訊中心〉に検疫センター建設といふ現場見学視察のご苦労。何う見てもリタイア夫婦が作りかけの新居見に来たやう。相変はらず口罩せずお元気。マカオ市長の見事な防疫対策に比べ市民に配るマスクも調達できず失脚待つのみ。マスクといへば某女史から「香港は今後〈マスク立国〉に、といふ陳案を聞いた。マスク生産を一大産業に。10年に１度は感染症流行で、その時に全世界が必要とするマスクを通貨に世界外交のキーに。HK$1発行する毎にマスク1毎貯蓄するマスクPEGで米ドルから自立した〈マスク本位制〉。何事もマスク本位。これぞ時代革命！光復香港！口罩（かうたう）香港！
▼そしてマスクのつぎに「厠紙」トイレットペーパーも貴重で代理通貨になるかもしれない。
▼昨年11月の香港区議会選で香港逆権運動も一先ず一つのピーク過ぎた感あり武肺疫禍で悪名高き香港警察もたまの抗争鎮圧に出てくる程度で鳴りを潜めてゐるが香港警察トップ・ 鄧炳強が嗤はれたのは昨年10月の暴動鎮圧で放水車が尖沙咀でイスラム寺院に青水放水で汚した件につき印裔商人（フィリップ カーン氏）がマスコミの取材で漏らした逸話。香港印度協会の首領が汚濁謝罪の鄧炳強に対して「香港警察はアジアで最差（最も劣悪）」といはれてゐることを知つてゐるのか？と質したところ鄧炳強はそれに“I know. I will deal with it”と答へたのだといふ。鄧炳強の本音か、たんに英語力に乏しいのか……いずれにせよ優秀な人材ではないことは確か。香港警察も暴乱鎮圧業務なくヒマなのなら香港の検疫を手伝ふなり武汉に出向き国家のため防疫活動に従事でもすれば良い（といふポスター）。
その鄧炳強が成龍（ジャッキー＝チェン）や体制派の芸人と鳩まり大宴会の映像が流れる。ほとんど芸能界ヤクザの親分。
中環で蘭桂坊はまだ酒場も並んでゐるが記事（下）の通りAberdeen街や粗呆（Soho）など空き店舗目立つのは悲惨なかぎり。昨年からの香港逆権運動や疫禍の影響も大だが、そも／＼ 中途半端な好景気ゆゑ流行つてゐた程度のレベルの飲食店も少なからず何れは淘汰されて致し方なかつたか。
夕方、西營盤を漫ろ歩けばシャッター閉めた店舗多し。水街の馴染みの食堂・光記は「正月初十啓市」と張り紙したまゝまだ休業中。食肆の中には経営者家族ゐて賑やかに夕食の準備中で閉業したわけではなささうだが疫禍で、このなか営業しても……といふところか。その坂下の西班牙バールは潰れてしまつたやう。こゝもとてもよいバールだつただけに残念。
久々にその近くのジン専門の酒場Ping Pong 129 Gintonería（店名の通り元卓球場）で口開けの一盞。頼んだ名前失念のジントニックが柚子の甘味入りで、これはアタシには甘過ぎ。美味いジンに冷やしたトニックで氷なしにすべき。早晩にまた近くの十二味熱辣火鍋荘にて知己の宴会。疫禍で「しゃぶしゃぶ家族」感染で火鍋屋はどこも苦戦で閉業も少なからず。火鍋屋応援。人気の食肆だが客も少なく通り向かひの湖南料理・書湘門弟も随分と閑散としたもの。
▼緑郎不倫って香港で報道するほどのネタか？（蘋果日報）「偸食」といふ表現がいい。「不倫」なんかより「偸（ぬす）み食ひ」の隠微さ。
