富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

感染情報とプライバシー


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(大公報)中連弁・骆惠寜主任がメディアに現れたのはアタシの識るかぎり旧正月明け初めてぢゃないかしら。市中視察で中国银行香港総行や招商局(中共国営)糧庫参観。金融もきちんと動いてゐる、食料備蓄も十分といふわかりやすいPRである。蘋果日報は太古城感染の工程師が感染後に何の因果か医療管理局での会議に出席してゐたのを医管局が隠蔽と。まぁ毎日いろ/\あつて興味深い。

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香港市役所は中層の公務員は防疫関係職除き自宅勤務といふ名の休暇のなか高官は忙しく働き運輸局長・陳防は不特定感染リスク高いタクシー自動車消毒のキャンペーンでタクシー掃除してみせるが誰が何う見ても「いかにも香港のタクシー運転手」にしか見えない。ニンである。そして疫禍のさなかに市役所の衛生局長はコトもあらうにウイルス模様?の服装で現れ大笑ひされるが本人はこれに気づかないのかしら。市役所高官も林郑に負けず劣らず不思議キャラばかり。脳内感染か。かういふ状況だから冷静に考へると彼らを論ふしかないのだが、そこで常識的な市民の世論をRTHKがよく代弁してゐる。


いつものことだが今回、問題となつたのは政治風刺番組〈頭條新聞〉の2月14日に放送。〈警訊〉だつたか香港警察PRの番組のパロディで反体制となつた俳優の王喜が(彼は元々が消防士で警察や消防の役多くニンなのだが)その番組の司会で、どこかのビルの屋上で(ビルの屋上といふ場面は映画や、その警察PRの番組でもよく使はれ香港ではなぜか警察モノは屋上が似合ふのだが)なんとゴミ箱の中からゴミをつけて登場。何といふ警察への揶揄。それを公共放送がやつてしまふのだから。BBCでモンティパイソンの伝統が香港に。これに対して警察トップのPK鄧が激怒。土共親政府団体が香港市役所の電波通信当局に「RTHKは偏向」「あんなのなら廃局を!」と抗議《頭條新聞》諷警 通訊辦跟進 (蘋果日報) してみせたがRTHK側は陳謝するどころか市民の声を公平に取り上げバランスの取れた放送を提供するのが使命と天晴れ。晋三と自民党に首根っこ掴まれたNHKにはない了見。RTHKにしてみれば警察PR番組も毎週1回きちんと警察の意のまゝの内容で放送してをり、それも逆の偏向なのだから警察小馬鹿にした番組で中庸なのは道理。

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中環のMTR站でコンコースに行列あり何かと思へばDHLで、見てみると何か送り出しではなく受け取りらしい。海外からマスクでも届き始めたものゝ受け取りなのだらう。香港のアッパーミドルの象徴的な太古城で感染者出たのは昨日の日剩に綴つた通り。この感染者の仕事場が太古の西、鰂魚涌にある大手建築設計コンサルタント会社で太古の家から今度は東の西湾河にある基督教会にも礼拝に訪れてゐたさう。勤め先ではもう一人の感染があり教会では感染もなく「感染彌撒」なんて揶揄もされずに済んだ。
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だが西湾河はその工程師の通ふ教会(富欣閣といふ集合住宅にあり)の近く、長興大厦には集団感染の「麻雀家族」の3名が居住。付近に他に2名の感染者もゐて、高望大楼に住む老婆は近くの老人ホームに夫を尋ね、もう1人はやはりこの辺の洋装店の店主だが近くの聖十字架堂といふ教会に礼拝に。この聖十字架径といふ、教会に上がる150mほどの狭い道路沿ひに5名の感染者がゐるといふので注目を浴びたが今日そこを通つたが何の騒ぎもない。一筋向かふの路地は賑やかな街市で夕方の買ひ物客が溢れてゐる。

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感染者情報をどこまで出す必要があるのか。香港は公開しすぎの感あり日本は真逆で感染者プライバシー重視で特定情報が全く出てこない。だが香港で感染者が苗字と会社名、職種まで出れば自分がその人や会社と濃厚接触あつたかないか、家はどこのマンションで何処の教会だかスポーツジムに通つてゐる、と情報があることで自分の感染リスク掌握にはなるのだらう。これだけ狭い土地に住民が密集して生活してゐるのだ。しかも老朽化した集合住宅の下水道設備など排水管の設計からして問題ありウイルス感染の元凶となる。少なくとも重要なことは、この地域での感染で、その建設コンサル会社や特定の教会が感染源のやうに蔑視されたり今後の活動に何も不利益がないこと。つまり市民がさういふ視点で物事を考へない「あからさま」が大切だらう。「札幌で感染者が出ました」で、それだけで止めるから後は猜疑や憶測となり不安ばかりが募り感染者は身を窶し世間の目を気にして噂ばかりが跋扈……となる。

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その西湾河の街市で、もう榴槤(ドリアン )が並んでゐた。春からあつといふ間に夏になるのだらう(気温はまだ朝は摂氏10度と寒いのだが)。1磅がHK$16だから1房買へば軽くHK$100超。アタシが買ひに来たのは好物のミカンで、こちらは安い。HK$20で4磅。今日、知己の女子でいつもCitysuperで日本産の1個が1,000円はするリンゴなど買つて頬張つてゐて「そんな高級なもの買へない」とアタシは驚いてゐるのだが、その女子が「はい」とオレンジをくれた。「これは普通の街市でHK$10だから」といふが豪州産の美味しいミカンであつた。 


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さういふ香港で感染例は毎日数例あるが何うにか防疫できてゐて今日まだ感染も50人台で中共とて感染者数は減少傾向で2日続けて感染が2千名下回り回復者数がそれを上回るやうになつてゐるといふ。それに比べ感染者数増加傾向が続いてゐるのが日本。 

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日本の感染ニュース聞いてゐると、うんざり。80歳「無職」の男性が、って八旬で現役ボクサーとか時節柄お医者様なら何だが、また「中国渡航例にない男性」って、もはやこの感染は中国と関係ない。「引きこもりの40歳男性」が感染したらすごい。今日もダイプリ号では88人の感染で無症状が65人。検疫で陰性なら、これから乗客は市中へ。日本の正確な検疫結果を信じるか何か。岩手医科大の桜井なる教授は「船内隔離ぢたいは問題ない」として「クルーをもっと医療従事に充てるべきだつた」なんて発言まで。「患者さまから患者さまへの感染が」なんて、あんたは営業担当か。厚労相・加藤某は船内感染に対して「基本的にはそうした(感染防止措置をとる)前の段階で感染があり発症したと我々は見ている」と感染確認された乗客はいずれも「5日より前に感染した」との見解(15日)。かういふのを今は「神発言」とか呼ぶのだらうが神といへばIRや桜を見る会で立場悪い晋三にとつて疫禍は神風ならぬ「神風邪」か。
クルーズ船、割れる対応 日本「陰性なら下船後は自由」 米など「帰国後14日間隔離方針」新型肺炎:朝日新聞

ダイプリ号船内感染はNW9も「海外から厳しい声」とは言つて見せるが政府、厚生省の措置を糾弾はせず「一刻も早く感染を食い止めることが」とお茶を濁すNHKの取材に応じた日本語達者な意太利人記者曰く「日本は一度決めたら引き返さない、そして間違っても反省しない」と。然り。


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米国は米国民の武汉脱出のときと同じカリッタエアを手配して米国民をダイプリ号から、といふより「日本から」救助。カリッタエアは民間の貨物航空会社だが米軍関係の任務多く、この機内も窓もない貨物専用のB747だが機内には座席設へあり。何でも軍人や工作員が細菌やヰルスなどの生物兵器にやられた場合のことも想定し特殊な空気清浄機能もあるとかないとか。さすが世界の米国だけのことはある。そして韓国も大統領専用機を向かはせたとは。通常なら大統領が国内でも小空港などにも便利な小型機だが韓国から日本がいかに一衣帯水で近いかといふこと。香港もダイプリ号から香港市民救助でCXを2機手配でImmigration Deptのトップと公安局の副局長が10名だかのイミグレ職員など率ゐて横浜へ。とにかく外国は全ての国が「日本なら任せておいても大丈夫」なのではない。「日本でこのまゝぢゃヤヴァい」といふ恐れ。日本の衛生や安全に関する高潔なイメージは神話だつたのか。おそらくまだあるはずだが今の政権や官僚がもはや極めて劣化してしまつたのだらう。財界もそれに物申すやうな力量もない。


神戸大学の岩田健太郎教授が厚生省の知人をツテにDMAT(災害医療派遣チーム)に混じり船内に入つて1日で追い出された、船内の予想超へる最悪な状況をネットで発表。すでにかなり話題になつてゐるのでご覧になつた方も多からう。どれほどの問題があるか驚くといふより「やはり」である。想像してゐた通りの船内感染深刻でもおかしくない状況。これを作つたのは5日に船が到着してからの日本の当局による対応なのだ。ただ「感染者を上陸させない」といふことしか考えてゐなかつた。そこで何もノウハウもないまま「14日間の隔離」だけ決めて、この小武汉と呼ばれる疫禍を招いてしまつたとは。この岩田教授を1日で追い出したのは誰か?と想像して「厚労省の小役人か」と思へば、さにあらず厚労省副大臣の橋本某が自ら横浜の「現場責任者」と名乗りをあげた。かなりの上から目線。


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想像通り、悪夢だが「なぜこのような治安が発生したか確認を求めています」と、この副大臣橋龍の次男だとは。それでなくてもダイプリ号の防疫と検疫が適切ではないと内外で疑問視されてゐるなか厚労省副大臣が省内の小役人にこんなこと叱つてゐると思ふと呆れて言葉もなし。これぢゃろくな防疫などできるはずもない。自民党と官僚制の末期的症状がまさにこれ。それに対しての岩田先生……
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と岩田教授のほうが一枚上手。自分がかういふ行動をとれば厚生省、そしてその上の政府が何う動くかは計算、覚悟の上であらう。

(首相動静)2月17日 19時25分、公邸。倉井敏磨三菱ガス化学会長、玉木康裕タマホーム会長、山名昌衛コニカミノルタ社長、松沢幹夫電気興業社長、熊谷正寿GMOインターネット会長兼社長らと食事。……不要不急の集まりを控えるのは先ず晋三からだろ!

ANAホテル堂々「さらに揺らいだ首相答弁の信頼性」野党は「作り話では」:朝日新聞 「嘘つきは晋三の始まり」である。IR疑惑に「桜を見る会」がこの態で武肺は晋三にとつて神風ならぬ「神風邪」だとかまでいはれるが肺炎対策はもはや晋三にとつての東京五輪前の最大の危機に。ダイプリ号の感染者7人を愛知県が医療施設で受入れで大村知事が会見に出てゐたが〈あいちトリエンナーレ〉での〈表現の不自由展〉扱ひの見識も考へれば大村知事を日本の首相に!といふのは何うかしら。

▼この「茨城空港」改め「東京北空港」案 一体どこまで東京か:朝日新聞 といふニュースは一瞬、目を疑つたといふより〈虚構新聞〉なのかと思つた。思はず「茨城空港じゃだめなのけ?何をごじゃっぺ言ってんだっぺ!」と茨城弁になつてしまふが個人的には茨城空港より自衛隊百里基地の名残で百里空港でいゝ感じ。中学の時同級だつたA君曰く「どうせ「南東北空港だろ」と突っ込まれるのは目に見えてる」と。確かに。だが中国人なら「南-東北」にピンとこなくて「为什么”西”没有?」かもしれない。郷里のJ君によれば、この「東京北空港」は一度、茨城空港開港のときに上がつた案。当時は「日光水戸空港」みたいなのもあつたとか。前知事は「東京メトロポリタン・イバラキ・エアポート」という案を宣つて反対された由。