富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

何君堯議員刺傷


f:id:fookpaktsuen:20191106105128j:image

f:id:fookpaktsuen:20191106105920j:image

科技大の学生が日曜深夜、将軍澳での抗議活動で催涙弾等で暴徒威嚇する「防暴警察に追はれ」団地の駐車場の階上から転落し重体危篤。生命取り留めてはゐるが脳死の可能性大の由。大公報はこれにつき「警察が追つて」はデマと主張。蘋果日報は警察の追撃の上に警察の道路封鎖で救急車が最短距離で現場に近づけず迂回で救護の重要な時間を逸したと批判。
f:id:fookpaktsuen:20191106105131j:image

真相のわからぬこと多し。だからこそ警察に対する独立調査委が必要なのだが。


本日は建制派の立法会議員で口数多く721元朗騒動で地元黒社会と密接な関係と疑惑もたれた何君堯議員が立法会議員の兼職もできる区議会議員選で選挙運動中に暴漢に刺される騒ぎあり。先日は民主党の区議会議員が耳を噛みちぎられ今度は建制派への暴行。政治言論活動への暴力実力行使はいたゞけない。見た目、鋭利な刀で胸を刺し何議員は救急病院に搬送され緊急手術。刺傷だが刀のやうな鋭利具で胸を突き(打尖)幅1.5cmで深さ1mmの傷、出血はあるが公立病院の救急で優先順位上げてまで緊急「手術」されたことに疑問も。また何議員の選挙活動関係者が結果的に事件の全貌をとらへる実にいゝアングルで映像を収録しており何議員襲撃されても「カメラを止めるな」である。襲撃されて傷負つた何議員も動転することなく自ら暴漢取り押さへやうと加担して大したもの。区議会選は建制派絶対不利のなか屯門のこの選挙区では、この白色テロでの同情票から建制派でも何議員善戦で当選か。ふと台湾で阿扁総統の再選なつた選挙での狙撃を彷彿す。

先日、遠藤誉センセイのご神託の後遺症があつたので昨夜のNHKのこの「クロ現」の香港特集はかなり冷静で見ることができるもの。こゝでも民主派が「今回の区議会選は自分たちの意見を反映できる最後の機会」と位置づけてゐると紹介されてをり実際にさういふ認識が香港にあるのだらうがアタシはこればかりは何うにもピンとこない。何故にこの2019年の運動を最後の機会として、それのためなら勇武派は命をかけてでも……となるのか。情報をかなり交換するある方といつも話してゐることは中共習近平体制が数年で何うなるか?も未知数なのに、である。ところでそれにしてもNHKディアスポラ的な〈移民風潮〉が好き。この番組でも香港の将来への不安から移民を考へる家族が何組か映つてゐる。確かにさういふ家族もゐるが台湾移民ブームはもう数年前のことだし香港人は政治的なことだけではなく海外居住は日本人が考へるほど深刻な選擇ではない。さう容易には海外居住のない(それでも昔は太平洋渡る移民も多数ゐたのだが)日本人的感覚での好奇心なのかしら。

エマニュエル=ドット先生を巴里の自宅に尋ねた大野博人氏はソ連崩壊早くから予測してゐた碩学に冷戦集結から30年を尋ねた。ゴルバチョフの英断と功績、冷戦集結で「当時の」フランシス=フクヤマ的な民主主義と市場経済への期待と平和への希望。それが民主主義は不信の的となり市場経済も不平等を拡大と批判される。貧富の格差、特権的富裕層。ポピュリズム。「もっとうまくやれたはずなのに」とトッド先生。

レーガン米大統領サッチャー英首相は共産主義の崩壊を、文明化されていない資本主義、ネオリベラリズム、ヒステリックな資本主義の勝利だと考えた。それがあらゆる種類の行き過ぎにつながってしまった。

といふ一節がアタシにはピンとこなかつた。これは「共産主義の崩壊をレーガン大統領やサッチャー首相は資本主義の勝利だとしたが、その資本主義は果たして文明化されていたのか、ヒステリックではないか、またネオリベラリズムではないのか。(そうした疑問もないまま)資本主義の勝利は、その後のあらゆる種類の行き過ぎにつながってしまった」といふことなのかしら。

信報林行止専欄「易聚易散網世代? 機制臻善好揚威!」

数へではもう傘寿の林行止先生、抗癌治療で十月半ばから一週間の入院で「最後維修」*1を済ませ自宅での静養でまた執筆活動に復帰。なんと強靭な精神力と知的好奇心か。5ヶ月に渡る抗争は「止暴制亂」どころか「以暴制亂」となり香港脱出の移民潮すら感じられる。世界各地でかうした民衆運動が同時発生的に起きてゐるが「財富分配不均令貧富懸殊鴻溝愈拉愈闊」で抜本的解決がされぬまゝ今日に到る。かうした民衆の抗議活動につき行止先生は米国デンバー大学の政治学者E. ChenowethとUS Institute of Peace幹事M. Stephanによる研究『為什麼平民抗爭活動有效──非暴力抗爭的戰略』から説く。1900年から2006年の百年余の政権打倒目指した民衆デモ「造反」の効果の調査分析で平和的デモによる政権打倒の成功率は53%で暴力行為によれば26%、注目すべきは人口の3.5%が反政府デモに参加した場合、その政権打倒が失敗はゼロといふ。そこで「香港で100万人なら」と思ひたいが、あくまで「国家政権で」であつて人口14億の中共で……では4,900万人!の蜂起。人口が2,400万人の上海蜂起では足りないが広東省一揆があれば1.8億人で十分すぎることに(そんなことは行止先生は書いてゐない)。1950〜70年代に平和デモによる政権打倒が7割成功してゐたのに対して20世紀末には3割にまで低減は権力側も強靭となり抗議活動弾圧も巧妙となつた結果か。それが21世紀初頭は平和的抗議活動での成功率が7割で暴力的抵抗は12%の成功率となつたものゝ20世紀末より専制独裁の偽民主主義国家の数が増え「以暴制亂」で抗議活動の成功率低下。

上世紀末期網絡科技勃興,「社交媒體」深入民間,年輕一輩(沒有手機無法正常生活的一代)很易快速集散,那令在爭取本身利益的抗爭活動上,一呼百諾示威人數以萬計是常態;這種現象,充分反映在本港「沒有大台」的「反送中」運動上!網絡的普及雖然令其使用者快速聚散,然而,其持久性及有效性遠遠不及非科網時代(Pre-Social Media),因為其時的社會運動,是經過民間長期辯論、集會打氣、互相鼓勵甚至籌措經費,才能成事。非常明顯,前者未經深入討論,因此易聚易散,失敗率相應增加;後者經過集思廣益深入討論,在人人有發言權之下達成共識,一旦採取行動,必抱不勝無歸決心,成功率因此較高!

しかし政権は中共である(香港政府に非ず)。

【信報】林行止専欄「新加坡“無共之國” 香港老共“話晒事”」

続けて今日の林行止専欄では先日、新加坡の李顯龍首相が香港の抗議活動に苦言呈したこと取り上げ建国での重大方針が「反共」であつた新加坡が中国には一切物申さず、その共産政権下にある香港の政治的言論の否定に不快感たつぷり。「言えた義理か」と。

在防範共產黨與和中共有直接間接關係的各色人等的背景下,新加坡總理李顯龍對香港近況的評論,和乃父李光耀一樣,都非常中肯且切中要害,可是,他們的種種建議,雖然甚具建設性,可就因為不提「去共」而變得不切實際、無法貫徹。李顯龍總理對港事興致甚高且有洞見,近日論「五大訴求」、《禁蒙面法》及《逃犯條例》等以至在今屆東亞峰會上談「一國兩制」,說的頭頭是道,卻對中共主導其事因此不能以常理度之一事,避而不談。換句話說,新加坡深明中共處處與人為善(雷鋒上身)結果難逃「好心做壞事」(即西諺的「通往地獄之路由善意鋪成」)的結局,因此對中共避之唯恐不及(新加坡雖與中國親善、大做中國貿易,但共產黨在該國仍屬非法組織)。事實上,因為完全地、絕對地排除中共的影響(即使外人看來是微不足道的小事),新加坡才有今日之成就。可是,為了擔心得罪中共而做少中國生意,李氏父子談論香港問題,一概不提中共。因為如此,他們對香港事務的評論,雖然看中問題的內核,卻因略去中共因素,因此有如隔靴搔癢!

農暦十月十日。晴。6月以来、香港の不穏当な政治状況でいくつか記事を書く機会あり。自分で記者会見やインタビューで取材してまで書いたりもしないが香港記者協会に数ヶ月前入会申請。中央政府と香港市役所、香港警察から睨まれる香港記者協会で文匯報には学生でも年会費HK$40で入会できて記者名乗る活動家少なからず……と揶揄されたが実際にどれくらゐの記事を何の媒体に書いてゐるかの審査もあり。この抗争のなかで記者が怪我したり不当に身柄拘束されたりで記者協会も声明発表など慌たゞしいなか申請が承認される。その年会費払ふのに銀行に行つたら財布を忘れてた。ATMカードもないので銀行で現金引出しもできない。帰宅して財布を持つて出直しかと思つたが確か須磨帆の銀行アプリで現金引出しできるやう。これQR Cash – 渣打銀行香港 が実に簡単。

 

f:id:fookpaktsuen:20191107142457p:plain

須磨帆でアプリに入るのは顔認証で引き出す金額だけ入力。ATM機では適当に何かキーを押すと顕れるQRコードスマホアプリで読むだけで現金が出てくる。ATMに暗証番号入力で番号を盗み見られるリスク防止と待ち時間なしの効率化か。渣打銀行でのことで他はこれを導入してゐるか何うか……渣打は去年だか香港の銀行ATMで「出納に一番時間がかかる」と確か1件あたり50秒、嗤はれてゐたので起死回生の導入だつたの加茂。

*1:「維修」は暴徒君たちが親中系の店舗等打毀しの際に「修理」と称するものの転用。