富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

我支持香港警察,你们可以打我了!

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農暦七月十四日。快晴。今日は如蘭節。鬼が世間に徘徊するお盆の入りぢゃ、そりゃ昨晩も空港で抗議の中に深圳公安の餓鬼だの中共紙の記者が身份隠して徘徊も不思議ぢゃないかしら。今日の大公報では環球時報記者の私刑は大々的に報じてみせ、この記者が私刑の時に叫んだ「我支持香港警察,你们可以打我了!」が名言として拡散までされるが深圳福田の公安が素性といはれる徐君の方は写真もなく扱ひが地味。旅客ながら私刑に処せられた理由として「公安だと疑はれ」と触れたのみ。こちらはセンシティブなのでせうね、やはり。一介の旅客なら警察があれほどの人員投じて抗議の群れの中から「抗議者は逮捕しない」と叫びながら徐君救出に動くはずもなし。中共ではネットで徐君の「徐ニシキ煬」といふ名前ばかりか「内地遊客」すら検索できぬほどだとか。今回のこの2人に対する私刑に中共メディアは「14億人が激怒」とするが「徐ニシキ煬」といふ名前が14億人でただ一人といふのも稀中の稀。徐君も親にこの名前つけてもらつたことは誇れるところ。

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大公報には香港の大手財閥系不動産会社の広告がずらり。資産規模ぢゃないのだらうが李嘉誠の長江實業から。財閥が今回の反送中で親政府、愛国に距離置くやうに見えるなか「暴動」で警察が商業施設等に立ち入りすら拒むなか親政府ぶりアッピールすること求めら忖度か。

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その中で全面広告並べてみると温度とテイストにかなり違ひあり。新鴻基と恒地の従属ぶりに比べ長江實業は反暴力、理性と和諧唱へるものゝ林鄭支持は触れず。新世界も同様で、しかも主席の鄭氏の個人声明。財閥にも矜持あり。それでも新世界のこれ(下)は、やはり漢文なるもの縦書きと四文字がしつくりくるので、これをつい「力治濟生」「暴法經民」と読んでしまひ、なんてこった?と思つたが「反護救保」は意味不明で「反暴力」から横書きなのだと気づく。

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日本の新聞も1面トップである。空港占拠といふと「テロ組織が武力で」のイメージだが香港のは武器もなく坐りこみなのが凄い。

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今日は空港管理局が裁判所に申請した「禁制令」を裁判所が認め禁制令が出たことで空港施設内での航空運行妨げる抗議活動が禁止され抗議活動は沈静化に向かふ模様。「禁制令」は英語で“injunction”、日本語なら「差止請求権」で一寸ピンとこないが「何か特定の違法、不当行為が発生する恐れがある場合その行為を予め止めるよう請求できる権利」がそれ。これを空港管理局が行使するといふこと。だとすると「なぜ最初から空港での抗議活動が制止されなかつたのか?」と思ふところ。これは香港の法治環境ゆゑ。英国のコモンローに基づく香港。香香基本法でも市民のストライキ、デモ行為の権利が認められてをり企業や民間の商業施設などは適用されぬが政府の施設も立法会大樓に「デモ区」あるのは、その権利を尊重してのもの。空港も公共施設ゆゑ規制区域までは誰でも入れ公立病院も同様。それの制限が難しい。そこで実際の搭乗や到着、病院なら診療と関係ない抗議活動でも同様にある程度の許容となる。今回、空港に禁制令が出ても、それでも空港施設の到着エリアで、隅の方ですが2ヶ所、ごく限らられたエリアは抗議活動を認めているほど。旅行者には迷惑な話だが、これも市民の権利を尊重した法治の一つの形。そうした法治が、一国二制度で守られるべきものが崩壊するのではないか?といふ危機感が今回の抗議運動の重要な動機の一つ。

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大部分が抗議活動禁止(A)の出発フロア(左)と到着フロア(右)の示威区(B)

一昨晩、空港で黒蟻の群れに囲まれた警官が拳銃を抜いて威嚇した件。警官も身一つであれをされては拳銃で撃たぬまでも威嚇は致し方ないかとすらアタシですら思つたが、それに至る「前段」は見て驚いた。

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 この警官、飛行場ターミナル外から構内に逃げる抗議者を追いかけ抗議や抵抗するでもなく歩きながら荷物の中を何か探してゐる女子を背後から襲ひかゝり転倒させ制御とは……狂気。それを周囲の若者に抗議され、で取り囲まれパニックで拳銃を抜いてゐるのが全編からわかる事実。かうした警察の弁明もできぬ暴力である、連日午後4時に記者会見する警察の広報担当官もメディアからの容赦ない質問攻めで表情からしてすでに逝つてしまつてゐる。これも盂蘭盆で鬼がとり憑いたか。

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