快晴猛暑。机の抽斗片づけてゐたら公立図書館の借書証と図書館でのコピーとる際の料金プリペイド卡が出てきた。
公立図書館には時々寄るが猛暑に涼むのが常で出入りは自由だし幾十年本を借りたこともないので借書証も使つたことがなかつた。おまけにこれは香港に「市政局」があつた当時のもので市政局は1999年に閉鎖。その後、ICチップ入りのHKIDの導入もありHKID用ゐて公共図書館で香港の借り出しも出来るが、それを厭ふ市民も少なからず以前の借書証はそのまゝ使へるはず。出がけに中央図書館に寄るとＧ階の窓口で、この市政局マークの借書証はまだ有効だがコピー料金のプリペイドカードは無効ださうで２階のカウンターに行つて取消し処理をしてくれといふ。Ｇ階は総合窓口なのだから、そこで処理できればいゝのに２階には何かさうした細かい手続きの窓口でもあるのかと２階に往つてみると２階は児童書専門である。暑假で子どもらが多く図書館とはいへ騒がしいなか児童書のカウンターに訪ねると、そこでこのカードの手続きができます、といひ、きつと此処にしかないのであらう残額読み取り機にカードを入れHK$26.5の残高でデポジットがHK$10なので合計HK$36.5の返金になります、と手続きをしてくれた。
これはありがたいが、なぜこれを中央図書館で児童書の係員が担当なのかはわからない。……とこんな何うでもいゝことを長々と書いてしまつたのはアタマが気違ひになつたからではなく百鬼園の『阿房列車』を幾十年ぶりに再読したからである。百鬼園のこれを若い頃に読んだときはあり仏頂面した頑固な、爺さんの鉄道随筆を自分が鉄道好きといふこともあり面白可笑しく読んだ記憶があるが自分が当時の百鬼園の齢になつてきて今かうして読み返してみると余り面白くない。勿論、京都に旅行して旅館の支払ひで金欠となり市電にも乗れず暑い盛りに三条から七条まで歩きながらさて何うしようかと悩むときに「途々千々に肝胆を砕き」とか若い頃にカネのことなどいろ／＼具合悪く下宿に引き籠つてゐたのを天子様ばりに「蒙塵」などと称してみたりの言葉の面白さは然り。そりゃ車窓からの眺望など文章にしたら百鬼園ならではの筆致、実に見事だが面白くない。憂鬱の憂さ晴らしばかり感じるのだ。百鬼園は何が面白くて鉄道旅行してゐるのかしら、と猜ふ。目立ちたくない、そっと旅行したいといふわりには乗降する驛々で驛長に会ひ旅館の世話から列車の時間までの観光案内まで便宜供与を求めての文人旅行。いつも当時、国鉄職員であつた弟子筋のヒマラヤ山系君（平山三郎）君連れての鉄道旅だが山系君も連れてゐて何処が愉快なのか？と思ふほど仏頂面で無口、機転もあまり利かぬ（やうに描かれてゐる）。深読みすれば実は面白い鉄道旅を百鬼園ならではで面白くなささうに描いてゐると思ふと面白いのかも知れぬし山系君を連れてゐるのも実は楽しいのだが書かない（書けない）趣きなのかもしれない。
本日、沙田のNew Town Plaza（新城市廣場）に若者ら集結で商場内の案内所に一昨日の混乱でNew Town Plazaが、つまり新鴻基地産が何故に警察機動隊を入場させたのか？と詰め寄り顧客クレームフォームを求めカウンターの職員が何枚もコピー機で刷つては配りの対応。夜になると抗議の若者ら増え若い職員らも業務遂行断念し案内所周辺は抗議者の集会場所に。商場内の商店も早々に店終ひ。商場の管理会社側も下手に対応を避け当然、これに警察呼ぶなどしたら大変なことになるので、そのまゝの放置プレイ。案内所周辺はレノンウォールと化し三更までには大方の若者たちも退散。施設破損するでもスプレーの落書きで汚すでもなく。
結局のところ、この春からの逃亡犯条例改正は台湾で殺人を犯したとされる香港人が香港に戻り、これを台湾に送還できないといふ状況で、これを何とかしたいといふ林鄭月娥の意欲があり、これが「初心」。また「全く別のこととして」とするが基本法23条に基づく国家安全条例を歴代の行政長官が立法化できずにきて林鄭月娥にとつても、それが課題となつてゐた。林鄭にとつて、この積年の課題が逃亡犯条例改正の「初心」に何う繋がつてゐたのか、これがわからない。逃亡犯条例改正で現場では難しい23条立法に代はる立法と見立てゝもらふことで北京からの信任を強いものとしたかつたのか。
在香港の米国総領事館がFacebookの公式ページにキング牧師の言葉を載せる。香港に対しての希望のメッセージだらが中共にしてみたら内政に関する干渉となる。在港の日本総領事館は相変はらず「政治活動の場等には近づかないなど不測の事態に巻き込まれないよう心がけるなど自らの安全を確保するよう努めてください」と邦人に伝へてゐる。
政治は危険なもので市民は近づいてはいけない。自民党政権に不利な余計なことを言つてもいけないやうだ。日本では普通選挙の実施こそされてはゐるが思想信条や政治的発言の自由は香港よりかなり劣つてゐる。
