富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

銀髪族黙静遊行

農歴六月十五日。茹だるやうな暑さ続く。NHKBSプレミアムで1999年に澳門の中国返還前に合はせたNHKドキュメンタリー - プレミアムカフェ マカオ・食卓は世界地図~大航海時代の末裔(まつえい)たち~といふ番組の再放送をやつてゐたので見る。ポルトガルの極東の植民地としてポルトガルの料理がアフリカ、マダガスカル、インド、南アジアを経てマカオに何う土着したのか。番組の前半はこの「マカオ料理」にスポット当て後半はさうした料理や文化を継承してきた今もマカオに数万人のポルトガル系の末裔(マカイエンサ)の生活や風習。彼らが19世紀まで使つてゐたポルトガル語に各地のポルトガル植民地の言葉が混成した「パトゥワ語」といふ言葉があつて、それをマカオで未だに伝承してゆく家族やコミュニティあることも寡聞にして知らず。マカオ料理なので、と期待したら当然のやうに利多餐庁のアイダ女将も映像に。もう20年前で当時まだ83才でとても若々しい。女将が百歳を超へた今でも店で伝票、会計処理までしてゐるのだから。

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NHKといへばNW9でトップニュースがこれ。公取委の「注意」。ジャニー喜多川さま崩御で「やっと、これかよ」なり。
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本日は午後5時に中環のチャーター公園集合で金鐘の香港市役所までの市民デモ「銀髪族黙静遊行」あり。白髪の老人たちが「支持青年守護香港」でシュプレヒコールなど叫ばず黙々とデモ行進がミソ。公園に寄ると既に二、三千人の老人たちが佇んでゐる。私もその一人。アタシにとつての人数理解は中学の時が全校で1,500人くらゐで全校集会に集まつた人頭の感じが今でも残つてゐる。数万は沙田競馬場の賭輩の群れ。

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今日のデモは公園を発ち終審裁判所をぐるりと回り金鐘に向かひ中国銀行の前でQueenswayの6車線道路を横断するのでデモの列が途切れるが、この辺りは地面はどこを歩いても幹線道路に遮られ歩道橋を上つたり下つたりで老人デモで上り下りが最も軽減されるコースがこれなのかしらん。このデモ、金鐘に至ると香港でも有数の高級大規模商場たるPacific Place(太古廣場)に入るのである。


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そして入口に近いエスカレーターで階上に運ばれPacific Place内の広い室内広場を抜けてQueenswayを歩道橋で渡り対面の金鐘廊といふ別の商場に入り、そこからHarcourt Rd越へ香港市役所に向かふ空中回廊を歩くことになる。デモと商場といへば日曜日の沙田のNew Town Plazaが警察と何う連携とつたのか機動隊まで入り込み抗議の若者と日曜晩の客を塞ぎ込んでの混乱。黒蟻の若者ばかりどころか沙田地区の居住民が自分たちも危険な目に遭ふハメになるわけで新鴻基地産に何を考へてゐるのか?と抗議。


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新鴻基地産は今日になつてやつと記者会見に応じたが機動隊の入場は場内の客の騒ぎから知つた、隣の商業施設に向かはうとした機動隊をそちらに誘導しただけ、としどろもどろ。それに対して以前のデモからデモの市民に優しいと好感もたれてゐるSwire財閥傘下のPacific Placeは今日も職員が正面エントランスに立ちデモ参加者を引導しデモ参加者の間から「多謝、Pacific Place!」と拍手や歓声が上がるほど。さすが植民地での商業経験の長いSwireの英国的了見と間口の広さである。Pacific Placeも金鐘廊もデモ隊が行進してゐても普段通りの営業なのである。折しも今日から夏恒例の「香港書展」開催で林鄭市長は現れず商務及経済發展局局長の邱騰華が、この開幕式典に参加。「香港是自由社會,政府或社會尊重和平表達意見,但若遊行演變成衝突甚至暴力,沒有人願意看到;對前線警員或各區商舖有影響,希望香港恢復平靜」などとコメントしてゐたが今日のこの時間、金鐘では商舖有影響がなかつたのである。Pacific Placeなど寧ろ好感がもたれてゐる。日曜の沙田New Town Plazaとて商場テナントの商店にとつて当日、閉業時間を早めこそすれ店舗が「暴徒に襲はれる」といつた実害はなかつたのだ。邱騰華に言つてやりたいが「香港が平静を回復するために」実際に何が必要なのか市役所高官として彼自身わかつてゐないのかしら。

修例壽終林鄭萬歲! 抗爭眾籌富豪隱形? - 林行止 - 信報網站 hkej.com

信報は社主で主筆の林行止が新聞社を李嘉誠次男のRichard Leeに売却した当時から読まなくなつてゐたが、けして財界寄りでもなく林行止は今もまだ香江第一筆で健筆、やはり信報でしか読めぬ記事少なからずで亦た読み始めたところ。昨日の林行止専欄で紹介してゐるのが古勒馬といふ書き手のブログの““The Bill is Dead" 的弦外之音”
“The Bill is Dead" 的弦外之音 – 古勒馬

“The Bill is Dead” 令我聯想到 “The King is Dead! Long Live the King!” 這句帝王時代所用的句子。這句話,是要讓人民知道,皇帝雖然死了,但是新的皇帝已經接任,王朝得以延續。

香港でいへばつまり「修例壽終正寢,林鄭市長萬歲」で逃亡犯条例改正は一旦棚上げとなつても北京が支持する限り林鄭が続投となる。これまでアタシも香港特区政府はとても「政府」と呼ぶ体に非ず香港“市役所”と侮蔑してゐたが林行止も、この古勒馬子も林鄭「市長」と……これは確かに。