富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

映画《Angelo》

農暦二月十八日。日曜日。小雨。先週月曜に列車衝突事故起こしたMTR、今度は東涌線で昨夜遅くケーブル事故あり東涌線と空港快線が欣澳〜東涌/空港間で不通となり5時間にわたる混乱。午前中までのフライト搭乗客にとつては冷や汗もの。本日は中京競馬場高松宮記念杯あり香港もサイマルキャスト。日本の競馬不勉強だが福永騎手でミスターメロディの単勝。日本も香港も3番人気。的中。夕方、中環から東涌線に乗つた時にはすでに正常運転。奥運站のオリンピアシティにある映画館でMarkus Schleinzer監督《Angelo》を見る。

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18世紀初頭。アフリカから欧州に売られてきた少年の数奇な物語。通常なら奴隷や労役として苦難な人生が始まるが、この少年は裕福な伯爵家の未亡人の下へ。この家の幼子が亡くなり未亡人は養子迎へ入れるところ黒人の少年を選ぶ。博愛のやうな、反面、黒人の少年にもきちんとした生活環境と教育を施せば欧州の上層社会でも通用する人格になるといふ発想か、いずれにせよ好奇心。この少年買ひの場面から幼い少年への教育までフランス語なのでフランスの話かと思ひきや途中からドイツ語が主で、これはオーストリアの話。奴隷貿易がフランス経由でありオーストリアの貴族社会は教養としてフランス語も併用といふこと。少年はAngeloと名付けられ怯えながらも縦笛にまず天性の才を発揮し仏語習得したばかりか見事な物語り手となり詩を吟じ一人芝居演じ侯爵夫人の元を離れ維納で道化師となりハプスブルグ家の王の知遇得て人生の華。一人の墺太利美人と恋に落ちるが幾ら維納の上層階級で愛でられる道化師とて土人土人で恋人との恋が許されるはずもなく……で物語はAngeloの後生、最期へと至る。

この映画がなぜ成人指定なのか?と見てゐて首を傾げたが唯一、未婚の妻との維納郊外での田舎家での情事でAngeloの勃起した巨根が一瞬映る、それだけでのこと。帰宅。NHKで昨日のブラタモリ見ようとしたら特番で「天皇 運命の物語第3話「象徴 果てなき道」」見る。先帝崩御で平成といふ時代始まつたとき我々はまさか今上さんによつて天皇の象徴としての形が、このやうな完成を見やうと誰が思つただらうか。それが阪神淡路、阿蘇、東北と重なる災禍のたびに天皇皇后の象徴性が発揮されたのだから。……その崇高さに接した後、日テレでマツコの「月曜から夜更かし」昨晩は土曜だが、その春の3時間SPを眺める。

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NY Times周末版が香港の地下再上昇の特集記事。昨年後半の下降は「もはやこゝまでか」と思つたがまことにしぶといもの。記事の航空写真が昔住んでゐたミッドレベルをよく写してゐるので借家引越しの記録を残す。

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昨日、広東省従化に竣工となつたHK Jockey Club建造の競馬施設(トレセンといふにはレース設備充実)で競馬開催あり。競馬だが賭けられぬは違和感あるがドバイと一緒といへば一緒。戦前は上海や旧満州で競馬もそれなりに盛んであつたが中共による赤化で競馬も廃止。今でも各地で微妙な競馬開催あり。習近平国家主席海南島開発で競馬事業を取り上げてをり今後、中国で「賭けられる競馬」は実現の方向に。

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香港の一国両制が崩れてゐるのも事実、50年不変のはずが人権、思想信条の自由が蔑ろにされつゝある。今、問題視されてゐるのが香港政府が北京中央に応じた刑事犯の身柄引き渡し。Anson陳方安生が訪米し香港問題をペンス副大統領に華府白宮にて直訴。この元香港政府No.2の彼女やマーチン李柱銘らが欧米に訴へれば訴へる程、北京中央の琴線に触れ香港の現状が改善されるどころか余計に酷くなるジレンマ……。