富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

礁渓温泉日帰り

fookpaktsuen2018-07-07

農暦五月廿四日。小暑。西日本で記録的豪雨。家人買物に出掛け、さて何しようか、台北の午前中は暇持て余し退屈凌ぎに誠品書店敦化店へ。文房具売り場でKawecoの筆記具は極小のリリプットは何本かもつてゐるがクラシックスポーツの万年筆はもつてみると手に収まりよく試し書きはダメといはれたが一か八かでご購入。さつそくインクカートリッヂ填めて書いてみると予想以上に書き心地良し。朝から書店で本を熟読する人、ぼんやりとカフェでお茶する人たち。よい時間。地下の音楽コーナーへ。垂涎のLP売り場。さすがに旅行中ではLPは買へない。ところで台湾でみかける西洋人はなぜか仕事といふより皆が文人風に見えるのは気の所為? この一帯(忠孝敦化)は今でこそ台北一の繁華街だが、その西側の復興路の手間が「頂好」で、ふと、昔は台北站から出る忠孝路を東往きの路線バスは行き先の多くが「頂好」だつたこと思ひ出す。当時はそこが町外れ感覚。昼抜きで市街散策。午後3時に家人と台北轉運站(中央バスターミナル)で待合せ。家人が15:12発の礁渓往きのバスチケット買つてをいてくれ、それに乗車。1-2配列の葛瑪蘭汽車客運の豪華バス。快適。台北市街を出て土曜夕方の5号幹線(北宜高速公路)は渋滞きみ。山越へは片側車線で爬坡道(登坂路)は大型車専用なのでバスで自家用車の渋滞越へて雪山トンネルへ。空いてゐれば一時間余だが30分ほど余計にかけて礁渓温泉。雨上がりの晴れ。バスの棚に帽子置き忘れ。下車して復路のバス時刻見てゐて帽子忘れに気づいた時には乗つてきたバスはすでに折り返しで発車してしまひバスターミナルの職員に事の次第伝へる。銀座トラヤのお気に入りの夏帽子だが「台湾だから」と、きつと見つかる、盗られるはずはない、とヘンに安心。公営の森林風呂へ。土曜午後だが閑散の露天風呂。どこの温泉も年よりばかりか比較的若い連中が、しかも一人でのんびりと温泉に浸かつてゐる。大らかな台湾人はタオルといふものは身体を拭くためだけらしく、素っ裸で歩いてゐて、いくら露天風呂とはいへ狭きゃいゝが広い敷地だと慣れないと何だかヘン。風呂を出て市街の繁華街避け站近くの中山路へ。前回に続き三妹で爌肉飯飰す。爌肉とタケノコの煮付けだけのB餐(Bセット)注文したが卵と豆腐入りのA餐が間違つて供されてしまひ、これでもNT$65(236円)也。啤酒はコンビニからの持ち込み。中山路には「正常」といふ小包湯の食堂があるが、こゝはいつも行列で食べたこともない。バスターミナルに戻ると帽子置き忘れ伝へた職員がアタシの顔見るなり「帽子、あったよ」と。帽子はアタシが温泉に入り夕食とつてゐる間に台北往復してきた。お疲れさま。20:05発のバスで台北に戻る。台北站近くのバスターミナルから雨のあとで少し涼しい夜道を地下鉄で一駅分歩いてホテルに戻る。

オウム真理教麻原彰晃らの処刑。これだけの同時死刑は戦後初めて、つまり1911年の大逆事件での大杉栄ら12人の死刑執行以来。

(選挙での敗北やマスコミのアンチ報道、信者の改心等で、このまゝでは教団が潰されるのでは?といふ浅原の危機感。殺すこと=救済と考へる教団の論理。浅原が喜ぶであらう言動をしようとした弟子と、弟子が期待するであらう方向に振るまつた浅原との相互忖度。

といふ森達也の見方は正確か。

  • (犯罪者が)罪を償ふのは当然だが真相究明の機会奪ふ死刑は正義とはほど遠い(アムネスティ
  • 日本は死刑堅持する数少ない先進国の一つ(註:もう一国は米国)。アサハラの死は支持者には殉教と映り新たな指導者をうみかねない(独逸ヒュピーゲル)
  • 人が人の命を奪ふことで裁くことには根底から反対だ(亀井静香
  • 死刑に犯罪抑止効果あらず。EU死刑廃止EU加盟条件で欧州で死刑があるのはペラルーシ一国だといふ。日本では国民の80%が死刑容認(2015年調査)。

「死刑制度には反対だがオウムのしたことは国歌が定める刑法では極刑に値する。日本では極刑は死刑なので(今回のケースでは)死刑となる」と作家の中村文則。法学者のやうに論理的。理論上は正しい。だが続けて「ただ浅原の過去の出来事についてきちんと(本人に)向き合わせ、なぜをこれをしたのかを語らせるべき。精神の殻に閉じこもらせたまゝ死刑にしてしまつたのはおかしい」。御意。宗教も集団もアタシは苦手だしオウム真理教は共鳴どころか理解もできず自分とは全く関係ないのだが、どこかわだかまりのやうなもの感じざるを得ず。昭和のバブルの頃のあのムーブメント、恵比寿の駅前で見た選挙活動。宣伝カーの上に無言で瞑想したやうに立つアサハラと、その周囲で真剣な表情でケッタイな踊りをする信者の若者たち。胡散臭く見てゐる当時のあの世代は下手したら自分のあれに嵌まつてゐたかもしれないと思ふのだらう。
▼台湾でも香港でも、この処刑大きく報じられる。あひかはらず蘋果日報の図解は死刑の刑場の図解まで精緻。教悔室では死刑執行告げられたあと最期の茶菓が供されるといふ。饅頭だとか。どこの饅頭なのかしら。東京巣鴨なら近くの和菓子屋か。最期の饅頭だと思ふと「できれば湯島はつる瀬、できれば蒸したてを」とか所望しさう。最期に「濃いお茶が怖い」と。