富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

有線電視

fookpaktsuen2017-08-12

農暦閏六月二十一日。晴。猛暑。午前中長沙湾まで出かけ用事すませジムに寄り還る。昼に森川といふ日系の弁当を頬張る。午後読書。中公新書の古典的名著で野崎昭宏『詭弁論理学』(1976年)。「無学者、論に負けず」とはよくいつたもの。野崎先生曰く強弁術とは
① 相手のいうことを聞くな。
② 自分の主張に確信を持て。
③ 逆らうものは悪魔である(レッテルを利用せよ)。
④ 自分のいいたいことは繰り返せ。
⑤ おどし、泣き、またはしゃべりまくること。
……って、これぢゃ晋三そのもの。ふと「あ、今日が最後だ」とテレビでケーブルテレビ(有線電視)つけると、すでに無信号となつてゐた。20年以上前に、それまで香港のテレビはTVBと亜洲電視がそれぞれ広東語と英語で2チャンネルずつ放送し4チャンネル体制でTVBの圧倒的優位だつたが、いずれにしても面白くない。そこに満を持して有線電視が開局。24時間のニュースチャンネルBBCやCNNの海外ニュース、娯楽やスポーツ番組はかなり面白く、そこにNHKワールドのプレミアムも見られるやうになり契約続けてきたが陋宅にネット開通が1997年前後で徐々にテレビを見ない生活になりNHKNHKスペシャルを時々見るがNW9を見ては画面に向かつて罵声浴びせてゐるのも馬鹿馬鹿しくなり契約破棄。有線電視の経営じたいかなり厳しくなつてをり「料金の見直しに応じてもいゝですから」とかなり引き止められるが遠慮。有線電視視聴のための機器をテレビセットから外す。これで更にテレビを見ない生活になるのだらう。晩に自家製餃子頬張る。さっと南正時『鉄道「大百科」の時代』(実業之日本社)読む。懐かしいところだが鉄道「大百科」シリーズは私は、も少し世代が上で「大百科」は「あんな子ども相手の本」。それでもこの回顧本読んでいたら日本の特急とかいくらでも覚えているけどイタリアのセッテベロ、ドイツのラインゴルド、フランスのル=ミストラルなんて往年の豪華列車の名前は何十年も忘れていた……! 鉄道写真界では大御所の南氏、70年代にセッテベロの車内で撮影取材してゐたら車掌や運転手と仲良くなり運転手が走行中のセッテベロの運転席に入れてくれ、その上、走行中に!運転席に座れと南氏に勧めキャノンのカメラで運転席の南氏を撮影までしてくれた上で「そのレバーを回して」と言ふので、さうしてみると速度が時速150kmから180kmに加速されたといふ。なんというのどかな時代よ。甘耀明『殺鬼』読み始める。
▼日本での朝日や産経が伝へてゐるが中国民主化訴える香港の民主党党員・林子健が、故・劉暁波の夫人・劉霞救援の一貫か、劉暁波が好きだったFCバルセロナのメッシ選手からの劉霞に当てたサインを入手してゐたが、それに不満な中国の公安当局者が林を香港の路上で拉致して虐待して中国内政への関与せぬやう脅迫、キリスト教信者である林に対してホチキス針を太腿に十字に打ったといふ事件(SCMPこちら)。太腿に刺さつたまゝのホチキス針は何とも残虐だが、この拉致から解放された林氏が警察や病院に行かず、一旦帰宅して睡眠をとり、拉致時に来ていた衣服を洗濯、その上、ホチキス針を抜く前に記者会見を開いたり、拉致の場所の供述も不確定で、「やらせ」自作自演説も浮上。大公報は林の憂鬱病歴を論い「有病就去看醫生,不要再往自己身上打釘」(病気なら医者に診てもらうべきで、自分で身体にホチキスを打つべきではない)と揶揄。

ここだけは「帰れ!」とはいはれない。だって地元だもの。「たくさんの人の笑顔で私も元気になってきた」と長門市の盆踊り会場で晋三の弁。

詭弁論理学 改版 (中公新書 448)

詭弁論理学 改版 (中公新書 448)

鉄道「大百科」の時代

鉄道「大百科」の時代