富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

新潮社の季刊『考える人』休刊

fookpaktsuen2017-03-30

農暦三月初三。昨晩十一時過ぎに寝たと思ふが夜中の三時すぎに起きてしまふ。岩波『世界』三月号読む。まだ夜が開けず今更でドバイについてネットで勉強。行く前に予習しろ、である。ドバイ市街で興味深いのは所謂「中東人」なんてのはゐなくて明らかに生粋の背が高く端正な顔立ちのアラブ人もゐるが、誰よりも目立つのはインド人の多さで、それに背の低いアジア系の住民も多く、アフリカ系がゐて、更に外国人としてフィリピン等から出稼ぎの住民も多い。何といつても前首長とシェイク・モハメッド首長の功績。民主主義の欠片もないが政治、経済に長け古代アラビア語の詩人で馬術から競馬馬の生産まで万能な優秀な王様がゐて、皇太子もまた見るからに力量がありさうで、さうならば下手に民に統治権移譲し軍人がのさばり近隣の国々のやうに国家体制が不安定になるより、ずつとマシであるし民草もその安泰の恩恵受け誰も文句もいはぬ、といふ社会。賢人政治の極み。支配するものとされるものの社会分断……これは悪いことと見なされてきたがこゝ数年の愚民政治、ポピュリズム、晋三やトランプなど敢へて馬鹿な統治者を選ぶ民主主義など見てゐると、こんなことなら余程のことドバイや、腐つても新加坡のDAP独裁の方がマシなのではないかとすら思へてしまふから困つたもの。毎日新聞の夕刊で新潮社の季刊誌『考える人』休刊と識る(こちら)。ときどき手にしてゐたが秀和さんの特集の頃から十年以上の定期購読。実家に届くと先づ母が読み、季節遅れで愛読。それがなくなるとは寂しい。この記事で、政治経済、論壇と距離を置き、より抽象的なテーマを特集する『暮しの手帖の知的おじさん版」とは良くいつたもの。意識の高い人の部屋にさりげなく置かれていそうな、「シンプルな暮らし、自分の頭で考える力」を理念に「論考より、日々の生活に根ざした思想」がさりげなく表れる随筆を売り物の「ゆるい思想誌」。このテの雑誌にしては踏ん張つて2万部、きつと定期購読が多いのだと思つてゐたが、それも一時は3桁に落ち込み昨春にサイズを小さくして薄くして価格も3割下げ1,000円以下にし実売数も増やしたが、の休刊の由。常連の書き手だつた夏樹さんは敢へて知識人の役割を説き、養老先生は反知性主義のなか前向きに「本当に必要なものは消えると出てくるんです」「グローバリズムローカリズムが盛り上がるように片方があれば裏側があるわけで知的な場がつぶされれば逆に陰のサークルのような場が発展していくんじゃないですか」と。
朝日新聞(論壇時評)思考実験としての「労働を買いたたかない国へ」歴史社会学者・小熊英二こちら)。時間給を最低2,500円にすること(非正規の就労条件も同等に引き上げ)で日本社会がどれだけ変はるか、といふ思考実験。かなり興味深い。これと学校の始まりを9月にできたら(4月の桜の花の下での入学式を止められたら)日本は抜本的に変はるのだが。
▼誰だかが新聞でTBSラジオ荒川強啓デイキャッチ」の川柳を紹介してゐた。

  • よく効くよ補助金許可にソンタック
  • 「証拠出せ」ドラマじゃホシの常套句

さうね、なぜ晋三や官房長官菅某が野党の質疑にあゝも躍起になるのか。