富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2016-11-22

農暦十月廿三日。小雪。フライトで荷物が飛行機に乗らなかつた、違ふ場所に逝つてしまうたといふ話は聞くが自分はほとんどさうしたことを経験してゐない。一度だけ東京から戻つた際に或る客に全く同じ形状のケースを持つていかれ、その客のが残つてゐたことがあつたが、この時はそいつがYなのに優先タッグやスタッフといつたシールなどいくつもつけて、どうにか優先で荷物受け取らうといふ非常に浅ましい仕業に努め、最初にCで出てきたアタシのを「来た〜っ!」と勘違ひして持ち帰つてしまつたといふ情けない話で、それの被害。それを除けばいつも荷物は出てくる。ビジネスとラベーラーズ誌を読んでゐたら昨年のフライトによる手荷物の誤送は世界で23百万件あり、その79%は遅延で6%が本人に手荷物が戻らなかつた由。
社会学者ヴォルフガング=シュトレーク「グローバル化への反乱」朝日新聞こちら)。

私たちが目にしてきた形のグローバル化が終わりを迎えようとしているのかもしれない。自由貿易協定も開かれすぎた国境も過去のものとなるでしょう。米大統領選はグローバル化の敗者による反乱で。国を開くことが特定のエリートだけでなく全体の利益になるというイデオロギーへの反乱。そのような敗者たちは「蔑まれさげすまれ政治からいずれ離れる」というエリートたちの楽観は一気に萎んだ。格差の広がりは自由市場の拡大がもたらした当然の結果。国際競争で生き残るという旗印のもと、それぞれの国家は市場に従属するように。政府が労働者や産業を守ることが難しくなった。(40年前に遡れば石油危機を契機に先進国の経済成長が滞り、世界が抱へる問題の根はそこにあつたといふ分析は)低成長を放置すれば「分配をめぐる衝突」に発展しかねない。それを回避し人々を黙らせておくために様々なマネーの魔法によって「時間かせぎ」をしてきた。分水嶺が70年代。まずはインフレで見かけの所得を増やし、80年ごろに行き詰まると政府債務を膨らませて凌ぎ、財政再建が求められた90年代以降は家計に借金を負わせた。その末路が2008年の金融危機。今は中央銀行によるマネーの供給に頼りきり。いずれも、先駆けたのは米国。「時間かせぎ」の間に危機は深刻さを増している。停滞を真っ先に経験したのが日本で。日本では長期雇用と年功賃金制が社会の安定の源。80年代以降、企業が競争力を失っても政府の支えのもと銀行が融資を続けたのは長期雇用に手をつけて「内戦」になるのを避けるためだったが、その結果が不良債権問題であり長期停滞。結果、賃金は上がらず非正規雇用へのシフトが進んだ。金融緩和に頼ったアベノミクスは目標を全く達成できずに失敗した。他の国も含め「時間かせぎ」はそろそろ限界です。いつかの時点で、借金取りが回収にやってくる。いま成長を阻んでいるのは格差。おカネはそれを使わないお金持ちのポケットにたまっているだけ。人々の不満が高まり政治が不安定化したことで投資もしづらくなり人を雇うよりも金融市場で投機的に利益を上げようという考え方が幅をきかせた。現金の山の上に富裕層が座ったまま雇用が増えなければ需要など生まれない。(欧米のナショナリズムの高まりが懸念されるが)さほど問題だとは思わない。むしろ「国家が機能していないこと」が問題。市場経済がもたらす不確実性に生身の人間が曝されるとき守ってくれるのは政府であり国家。しかし既成政党は何もできず「いやならもっと働け、もっと努力しろ」という。いま直面しているのは国境のコントロールを失って国が形骸化する現代国家そのものの危機だ。

と分析するシュトレーク先生はトッド先生と同じでポピュリズムに悲観しない。

先進国の投票率は70年代から低下し続けたのは「政治への満足感」ではなく「あきらめの表れ」。それが、この数年間で上昇したのはポピュリズム政党などが支持を集めたせい。こうした「民意の反乱」はエリートが当てにならない場合に出てくる、先々に望みのある反応。ときに醜い形をとりますが「墓地のような静けさを保ったまま」では何も変わらない。反グローバル化デモに繰り出す人やポピュリズム政党を支持する人たちを「政策がダメなのに」などと批判するのはお門違い。「真っ当な政策」など、政治家や官僚、エコノミスト、国際機関にだってない。トランプの愚かな発言ですら真剣に受け取られたのは「ほかのだれもまともな解答を持ち合わせていない」から。そういう世界では政治がエンターテインメント化し、トランプのように刺激的なことを話す人物がもて囃される。

  • 「話をしながら」って何語で何のネタを?オバマが晋三相手では“Jiro is the best sushi in Tokyo”とか、せいぜい“TPP, really you tried your best!”と励ますくらゐか。
  • 津波来る」高台へ 早朝、次々避難「着の身着のまま」(朝日新聞)「心配そうに」と記事は言うが表情に余裕があるのは311の経験知があるからにほかならない。朝のNHKの臨時放送も事は深刻とはいへセンセーショナルすぎて「何を興奮してゐるんだ?」と呆れるほど。
  • TPP就任初日に離脱とトランプ氏が優先政策発表(朝日新聞) 日本政府は甘利明を特使にトランプ説得を!w
  • 鶴保沖縄北方相の土人は「差別と断定できぬ」につき政府が「謝罪不要」答弁書閣議決定。物事を都合がいゝやうに決定することしかできない晋三の閣議。しかも晋三は不在でも同じ機能を果たせるのだから。(朝日新聞
  • 陸自PKO駆けつけ警護付与「反対」56%(朝日新聞世論調査)それでも晋三の支持が過半数なのだから嗤つてしまふ。明らかなこの思考の矛盾。