富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

平幹二朗死す

fookpaktsuen2016-10-23

農暦九月廿三日。霜降。周末の休暇くらゐ朝寝貪りたいが早朝に目覚め。畏友久ヶ原T君より平幹二朗急逝の報あり。ラウンジで朝七時すぎには朝食。それでも客室に戻り本を読むうちに転寝。昼はホテルの近くの永利清湯腩。腩飯を頬張る。美味至極。暦の上では霜降だが暑い。客室に戻りでれでれ。午後三時すぎにレイトチェックアウト。太古の誠品書店。Yuval Noah Harariの“Sapiens: A Brief History of Humankind”とキッシンジャーの中国関連文集(ペンギン)贖ふ。帰宅。
平幹二朗の『王女メディア』を今年1月に東京グローブ座で最前列で見られたこと。この芝居、平幹二朗といふ役者については畏友・村上湛君の評論(こちら)に尽きる。この一世一代の『王女メディア』の全国公演の最後は水戸。若い頃から平幹のファンであつた母もこれを見られたのは幸せ。
集英社新書憲法改正の真実」樋口陽一小林節の対談を読む。自民党の第二次憲法草案を一言でいへば「個人」の喪失。国の権限を制限すべき憲法が国の活動を自由にするために個人の権限を制約。国に協力する義務は戦前の治安維持法より最低。陽一先生曰く大日本帝国憲法は結果として昭和の軍国主義から1945年を迎へ評判が悪いが19世紀当時の憲法としては国際水準の立憲主義日本国憲法の否定=大日本帝国憲法復古ではなく「大日本」以前への逆行。国と郷土、和、家族、美しい国土と自然環境、良き伝統など和らぐ言葉並べてゐるが、目的は新自由主義と経済成長原理で、競争によって破綻していく日本社会への癒しとして必要とされる偽造の「復古」なのではないか、と節先生。陽一先生の「憲法9条改正で軍を作るなら徴兵制を」といふ指摘は目からウロコ。戦闘のプロが王など権力者と結びついた横暴こそ危険で、その勝手を防ぐなら国民皆兵、徴兵制で「主権者としてある種の分担を覚悟すべき」と。この対談本は、単なるリベラル左派的な護憲ではなく本来の保守派から見ても晋三改憲がいかにラジカルで怖いものか、をよく教へてくれる。
毎日新聞の書評でドナルド=キーンの養子となつたキーン誠己さんの『黄犬ダイアリー』でご本人のインタビュー読む。大阪の文楽座で三味線の五世鶴澤淺造であつた彼が一期一会でキーン先生との出会ひ。チェック柄のシャツを着た「父子」は顔を見合はせると息もぴったりに笑つた……だなんて。
衆院補選で東京は小池屋人気で自民前職、福岡は鳩山のお弔ひ。東京で小池都知事への共感もあり自民前職に投票したといふ男性(53)は自民前職の「テロを阻止する」といふ姿勢を支持して一票を投じたといふ。明らかな誤謬。このレベルの有権者が国勢を動かすのだから困つたもの。