富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

晋三内閣「支持する」57%(NHK世論調査)

fookpaktsuen2016-09-12

農暦八月十二日。快晴。今回のリオでのパラリンの盛り上がりは何なのかしら。これも電通の仕業か。
山崎拓先生の『YKK秘録』(講談社)上梓されたが、そのYKKの一人、加藤紘一先生の死去。加藤紘一といへば2000年の「加藤の乱」だが、この人の不運の始まりは橋本→小渕と続いた旧経世会内閣後にいよ/\加藤かといはれてゐた中、自民党禅譲といふ組織論に甘んじず周囲の反対押し切つて小渕に対峙しての総裁選立候補。小渕が病ひに倒れ、あり得ないことにも旧経世会で森首班となり……と「たられば」だが、これがなければ変人小泉の新自由主義路線も晋三の世もなかつた鴨。加藤の乱とて党内で失敗したにせよ加藤には民主党の受け皿あつたわけで政権交代で加藤首班もあり。結局、この人が失つたもので21世紀の日本の流れにどれだけ決定的影響を与へたか。「加藤の乱」で号泣して加藤を押し留めたのが谷垣。その晋三にとつての部類なきイエスマンも自転車事故で政治生命失ひかけてゐるとは、何とも。畏友のH記者曰く「保守本流自民党政治の衰退と終滅を身をもって体現された方」……まさに。強運こそ大切な政治の世界で「勝負事で何をやっても勝てない人」。山崎拓は「比類なき英知の持ち主」と加藤をほめるが、その英知も活用されなければ何にもならぬ。森喜朗など「外交が混乱している今のような時代にこそ外交通として安倍首相を支えてほしかった」と、加藤紘一が晋三のタカ派外交支持するわけないのに、死人に口なし、で言ひたい放題。
▼昨日は911から15年。当時から予想されたことだが911以降の世界の混乱。テロシンドローム。これにつき多くの言説がメディアにあるが、その中でも毎日新聞の書評で西谷修氏の総括(こちら)が格別。

911以後アメリカの始めた「テロとの戦争」は、冷戦に代わるグローバル化時代の軍事レジームであることが明らかになった。
これによって戦争の基本様態が変わった。敵はもはや国家ではなく、不定形の「テロリスト」で国境や国家主権は関係ない。それは犯罪者だから交渉の相手にもならない。その敵を殲滅するために国家は制約なく武力を行使する。
この「戦争」は標的とされた「テロリスト集団」を求めて拡大する。「テロリスト」は破壊されても飛び散って蘇生するエイリアンのように拡散し、戦争はアフガニスタンからイラク、そしてアフリカ各地に広がった。「テロ」を撲滅するはずの戦争は、むしろ「テロリスト」を増殖させ、破壊された国々の空白地帯にとうとうイスラーム国まで生み出した。
一方、この戦争をしかける国の内部では、「テロにも負けず」に社会を保つため、恒常的なセキュリティー(安全保障)が求められ、予防措置や先制攻撃が当然視される。世界は疫病に冒されたかのように身を固くし、不信と敵意が蔓延するようになった。(略)
「テロとの戦争」の隠れた目標がイスラーム世界の管理だったことは明らかで、イラクが破壊され改造され、やがてシリアも内乱状態になり、そこにイスラーム国が生まれて戦乱はますます激化する。そこから夥しい難民が生まれてEU欧州連合)に押し寄せるが、自国に「テロリスト」予備軍を抱えるEU諸国では、それがまた排外主義の風潮を高めて出口がない。

NHK世論調査で晋三内閣「支持する」57%で「支持しない」26%といふ結果。大した成果は何もないがG20で中国との対話しただけで晋三評価する民度の低さ。連日の北朝鮮の核実験の報道も晋三には向ひ水。北朝鮮に足を向けては眠れぬ晋三。その晋三、首相官邸自衛隊幹部集めたレセプションで映画「シン・ゴジラ」に触れ「私と官房長官は短期間のうちに死亡するそうだが統幕長以下自衛隊員の皆さんは格好良く描かれている、このような人気もまた自衛隊に対する国民の揺るぎない支持」と余裕のコメント。