富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

台風9号

fookpaktsuen2016-08-22

農暦七月二十日。未明に目覚めると台風は三宅島沖で首都圏直撃といふ。テレビは延々とリオ五輪の感動のまとめ番組ばかり。日本選手の活躍もあるがコーチや監督にかなりスポットあたり「感謝の心」。これがどれだけ国民の道徳教育となつてゐるか。自然とその感動と教訓が受け入れるのも、テレビはどのチャンネルもそれだから。いくら民放の数があつても、まるで管制の、政財界が求める番組が垂れ流されるのだから世界の自由度ランキングで低下も当然。雨と大風のなか新宿駅。東京以西の被害がすでに出てをり小田急ロマンスカーはすでに運休もあり。常磐線正常運行といふので東京駅へ。一緒に来るはずだつた家人は今日はあきらめ東京に残る。特割で買つたJRの特急指定席券は運休しなければ払ひ戻しできぬが復路の切符もあつたことで今後の運休前提で本日中に戻れぬといふ判断で往路も払ひ戻り対象に。中央線で東京駅。静岡の雨がひどいが新幹線は全線運行されてをり朝からすごい人混み。小一時間ありカフェは朝食客もゐて満席でグランスタのはせがわ酒店で朝酒。ホームに出ると強い雨風。品川から朝一番早く出るひたち7号。「台風の影響でこのあと後続の特急は運転見合せとなります」とアナウンス。ぎりぎり。滿洲から間一髪引き揚げの如し。東京を離れると千葉では雨脚も弱くなるが台風は追つてくるはず。水戸。母の出迎へ受け路線バスで市街でも西の外れ上水戸にあるうなぎの品川屋へ。鰻重。昼酒。路線バスで水戸駅に戻りビックカメラで買ひ物してゐると先に陋宅に戻つた母から傘もさせぬ暴雨と電話あり。旅行の際はいつもポンチョ持参が幸ひ。傘などさしたら危ない……が相変はらず強風の中でも傘をさす人多い。自宅に戻ると雨風強まりNHKのテレビは台風情報だけとなり1時間に80mmの雨、秒速30mほどの風だといふ。リオ五輪閉会式の映像……電通の創る日本。晋三まで登場で恥ずかしいかぎり。スーパーマリオに扮して渋谷から地球を貫きリオに土管を通して登場の晋三だが、今イチ笑顔見えないのは「なぜ自分がこんなことを」といふ恥ずかしさか、またこんなことしてると「晋三はまったく……」と叩かれることの危惧か。ロンドン五輪でのエリザベス女王のサプライズ登場の真似で、だが電通の演出もB級なら英国女王と晋三では役者が違ひすぎ。4年後は東京で、と誓ふが何も準備できてをらぬ。デーブ=スペクター曰く「最大の問題は日本の題材に多さ」。和太鼓、アニメ、ゴジラにチャンバラ、歌舞伎、ロボット、忍者……「日本っていいでしょ」と押し付けるやうな、金を使つた大袈裟で長く重い開会式は白ける、贅澤な悩みだが何を入れるかより何を落とすか決断力と抑制力が求められる、と。木更津だかで上陸の台風は栃木から福島に抜ける。この半年で実家に届いてゐた通販での買ひ物を整理。母がビデオに撮つてあつた、と一緒に忌野清志郎の武道館での復活ライブを見る。晩も二更には台風の雨風も和らぐ。窓を開けると気温は摂氏25度ほどで台風の風も心地良し。虫語を聞く。

▼水戸で乗つた路線バス、母はICカード利用で、これがSuicaとかと連動せぬ単独カード、バス車内でも増置できるさうで残高少ない母のカード、運転手に信号待ちで「入金できますか?」と尋ねたら「チャージ?チャージならできますよ」と言い返された。なぜ入金できますか?に「はい」ぢゃないのかしら。
東日本大震災から五年、霞が関脱原発運動の拠点だつたテントが裁判所による司法判断で強制撤去。政財界的には「忌々しい」連中も言論の自由では強制的除去できぬのは香港では法輪功の運動等それだがあまり話題にもならぬなか(マスコミも敢へてあまり触れぬなか)排除できるのだから日本の言論の自由のランキング下がるのも当然か。
文楽の人形遣ひ・吉田文雀さん逝去。享年八十八。老いてからの高評価と聞く。昭和の終はり頃、原宿ラフォーレの原宿文楽が私の初見。
▼横手の週刊新聞「たいまつ」発行してきたジャーナリストのむのたけじ氏逝去。享年百一。戦時中、朝日新聞記者として従軍、「臣民」の名で戦争責任の曖昧さ、終戦直前、薬入手困難ななか幼い娘が疫痢で死去したが病状悪化しても、その日、出征する医師の壮行会で地域の医師全員が留守で娘亡くしたことが反戦活動の原動力といふ。