富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

台風接近

fookpaktsuen2016-08-01

農暦六月廿九日。久々に台風が香港直撃ださうで午後三時には警戒シグナル3に。この信号は元々は1から10まであつたが複雑といふことで今は1、3、8と10だけに。香港から800km圏で1、400kmで3、直近となると8で学校ばかりか会社から金融取引まで中止とわかりやすいが元々の信号を見ると5〜8は同じ風力でも風の向きの違ひで、これを8にまとめてゐる。今でこそ紛らはしく思ふところだがテレビやネットなどない頃は天文台に掲げられた旗や夜間の信号で台風の具合を知り海上運輸の参考に。それは命や商売にかゝはる大事な風向きだつたでせう。風も強くなり始め早晩に外でおち/\晩酌もしてはをれぬ、と早々に帰宅して晩酌。晩九時前にシグナル8となる。
▼「 」用ゐる表現にこゝまで意図を意識しなかった。朝日新聞政治部次長の面白い指摘(こちら)。「 」に意味を持たせる記事のため引用部分は「 」が使えず《 》となった。

アベノミクスは、確実に「結果」を生み出しています。しかし、まだ道半ばです。これからも、さらにアベノミクスのエンジンをフル回転させることで、全国の皆さんに景気回復の実感をお届けします》
参院選の投開票日前日、7月9日付朝刊に載った自民党の広告。結果にカギカッコ?
《政治的な責任というものは徹頭徹尾結果責任であります》(丸山真男「政治的判断」)
だが結果を「結果」にしてしまえば、あら不思議、永遠に留保可能、結果責任を回避し続けられる。
去る6月1日の首相記者会見もなかなかに奇異だ。話し言葉だと全く気づかないが、官邸ホームページを見ると、リスク、危機、悲観、新しい判断、国民の信を問う、などなどにカギカッコがついている。そこに脈絡は、ない。
たかがカギカッコ、されど政治権力に多用させてはいけない。カギカッコでくくられた言葉はゼリー状にゆるみ、批判が刺さらないから。読みも字面もそのままに、意味を自在に変えられるから。言葉が変われば、強権をふるわずとも、成り行きで世界を変えられるから。だから――。

▼FTの記事“May is right about reforming capitalism” by Philip Stephens(こちら)。日経に翻訳記事「資本主義改革 英首相の覚悟」あり(こちら)。

(要旨)メイ氏は行き過ぎた資本主義を見直すと同時に、格差を解消し既得権益と戦うことを約束した。経済の仕組みを改善する様々な提案。近年の歴代首相が追求してきた都会中心の新自由主義の推進に加担したことはないということ。英国の資本主義が行き過ぎた状況にあることを理解しているのは明らかで、その点について何かをなし遂げようとしている。国民投票EUのやることへの拒絶であるのと同じくらい、エリートと自由市場経済の仕組みに対する不満の表明だった。欧州全土でポピュリストたちの動きが勢いを増しているのも同じ理由だろう。