富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2016-07-27

農暦六月廿四日。快晴。一昨日、使つてゐない写真機をいじってみてRicoh GRも手軽なカメラなのに、すっかりご無沙汰してゐた。あらためて手にすると、やはり格別なカメラ。晩は陋宅で鯖缶つかつた冷や汁。麦飯。酒は薩摩酒造で明治の正中。食後の記憶ほとんどなし。朝の4時に起きてゐれば、さすがに夜はもたない。

▼2016年の最低賃金の目安を時給で24年値上げで822円に、と政府与党(日経朝刊1面トップ)。この24円が過去最高なんださうで、低所得者には一律1万円の現金支給。こんなことでアベノミクス失策の誤魔化し。消費増税も延期で税制改革もなく財源も確保できない中でのかうしたばら撒き(それにしてもセコい額)が結局のところ将来の財の前倒しの食ひつぶしであること。日経とて、さうしたことに目を瞑つたまま政府の広報紙の如く景気回復の音頭取りが情けない。
ポケモンGOは話題にするのもウンザリだが、さすが山寨の国・中国では、すでに中国の伝説に出てくる神や妖怪をポケモン同様にゲットする「山海経GO」なるゲームあり。久が原のT君曰く伝奇地誌よりも仏典で「法華経GO」や「華厳経GO」を期待したい、と。普賢菩薩善財童子を捕獲……恐れ多くもありがたや。確かにポケモンよりご利益ありさう。
▼相模原の施設での殺傷事件。実行者の男が警察から送検される際に自動車の中から何とも気狂ひな笑みを浮かべた写真が新聞に。本来は容疑者の姿などあらはにせぬべきところ。前代未聞の猟奇的殺人で警察による容疑者曝け出しは私刑的。晋三は「真相究明と再発防止に全力をあげる」と。真相究明って気狂ひの犯行以外の何物でもなく「再発防止」が強い。更なる監視カメラ設置や少しでも異常行動の市民の監視、警察国家化。麻薬取締りも厳しくなり大麻にとつてはとんだ迷惑のはず。風が吹けば桶屋が儲かるで、この事件でかなり世の中を変へるのだらう。
▼新聞は何かを知ろうと読むのだが、日本の全国紙で了見の狭さに呆れることも多い。その中では毎日が一番マシではないか、と思ふ。海外特派員のリレーエッセイでエルサレム支局の大治朋子特派員がトルコから伝へる「沈黙の代償」(こちら)も良い記事。この方の視点から、記者自身の人格まで素晴らしいのでは?と思へてしまふのは私だけかしら。

テレビや新聞は、軍人の蜂起に刃向かった市民の「勇気ある抵抗」や、政権ないしエルドアン氏の「決然とした対応」を延々と繰り返す。クーデターの背景を探ったり、政権のありように鋭く斬りこんだりする多様な分析はほとんど見られない。
地元紙記者によると、こうした「沈黙」は3年ほど前からじわじわと拡大している。反政権デモに参加した若者らはその後、逮捕されたり、ソーシャルメディアに政権批判を書いただけで拘束されたりして「就職できなくなった人も少なくない」。
トルコの国是は世俗主義。だがエルドアン氏は国家のイスラム主義化を目指しているように見える。そしてナショナリズムの高揚。今のトルコは、そこに違和感を覚える者には実に居心地が悪い。
3年前、治安当局の催涙ガスを浴びながら、政権の言論統制を批判し続けた若者たちの姿はもうない。若者が萎縮し押し黙る社会は、健全とは言えない。次世代の「沈黙」は、国家の未来の危うさを意味する。いずれ重い代償となって、トルコの未来に跳ね返るのではないか。(エルサレム支局)

憲法9条につき「自民党では改正すべきと考えている人が大部分」だが「したいと思っているができない、できないことはしない」と自民党で高村副総裁。下手に憲法の9条改正で顰蹙かふより「永遠の与党」こそ自民党にとつての夢では。