富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2016-07-26

農暦六月廿三日。朝、お天気雨からかなりの驟雨、雷。海南島のほうに進む台風の余波で天気不安定。早晩にFCCで数日分の日記まとめる。よくいろ/\覚へてますね、といはれるが覚へてゐるはずがない。すべて手帳に綴つたメモに依る。シャルドネ二杯飲んだところに家人来て公司三文治頬張り市大會堂へ。Arcadi Volodosのピアノリサイタル。音楽会は昨年11月下旬に深圳での牛牛のピアノリサイタルが聴いた最後で、香港ではその数週間前の香港シンフォニエッタでポッペン指揮でAurélien Pascalのチェロでシューマンの協奏曲以来。で、市大會堂に着いたら開演10分前なのに開場もされてをらずロビーも活気がない。ん?と思つたら演奏者体調不良で来港せず中止の張り紙。20日の決定ださうで、いちいちコンサート直前に文康署のサイトなんて見てもゐないがチケットはUrbtixのネット上で購入してゐるのだら連絡をくれてもいゝものを。ネットで購入したチケットを公演日直前まで発券してゐないと丁寧に電話くれるのだから。窓口で返金。客をホールに入れてから小澤休演告げた水戸芸術館のこと思ひ出す。夏恒例の香港書展閉幕。ついに行かずに終はつてしまつた。192万人だかの入場者ださうで須磨帆とゲームの時代に香港の読書熱は高いが銅羅湾書店事件以来「政治的敏感」な書籍の扱ひに自己規制的な動きあり。
▼相模原の施設で元職員の気狂ひが夜中に忍び込み入居者を大量殺傷。この犯人(容疑者)の名前、施設に近い住居まで報じられてゐるが精神異常といふことで刑事責任不問となつたらどうするのかしら。施設に収容されてゐた被害者は障害者といふことで名前は公表せず。これも微妙。新聞は(日経だつたか)「社会覆う「憎悪犯罪」の闇」だとか「攻撃の矛先が弱者に」と仰るが憎悪犯罪は昔からあるし(それがなければ南北の芝居などネタがない)、弱者は攻撃の対象にされやすい。この出来事が「平成以来死者数最多」で「戦後最悪」といふが平成以前にこれ以上の死者数出した大量殺人があつたのか、戦後最悪なら戦前は?……で思ひ出したのは横溝正史の『八つ墓村』のモデルとなつた昭和13年の岡山の津山事件。これは村八分と困窮の恨みからの村人虐殺で犯行者も辛い環境にあつたわけで今回の相模原の状況ともちと違ふか。朝日新聞は「容疑者から大麻の薬物反応」と大騒ぎ(こちら)。今年2月に異常言動見られた措置入院時のことださう。これで「大麻は危険」キャンペーン開始。普通、大麻でハイになって大量殺人は思ひつかないと思ふのだが、元々よっぽどヤヴァい患者さんだつたのだらう。でも、そんな事実はどうでもよい。ただ大麻取締り強化にはうってつけ。
▼「スマホで引き出し三菱UFJ導入18年春、大手行で初」と朝日新聞1面トップ(こちら)。Visa payWaveやApple Pay以前の技術。朝刊1面トップにするネタか。須磨帆で銀行口座から現金引き出しで近くのプリンタから印刷できるやうにでもなれば大したもの。そんなことより国のプライマリーバランスが5.5兆円の赤字で依然、黒字達成は困難のほうが深刻で、こんな記事が夕刊の3面にベタ記事扱ひで、どうするのか。新聞の1面トップといへば今晩、FCCの男子トイレの小便器並ぶ壁に掲げられた新聞で紐育時報の1面トップから“Hong Kong Graft Buster’s Exit Stirs Fears Over Agency’s Independence”(こちら)と“Mortal to Divine and Back: India’s Transgender Goddesses”(こちら)。この記事の格調の高さは日本の新聞には望めない。