富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

臺灣重遊

fookpaktsuen2016-07-17

農暦六月十四日。晩に香港に戻る以外は何もとくに予定もなく朝から陽明山の温泉へ。猛暑でも山あひは風も爽やか、温泉で火照つた体は汗もあまりかゝず心地よい。市街地に戻り買ひ物に行つてゐた家人と昼過ぎに台北駅近く漢口街にある華華ホテルで待ち合はせたら花華ホテルに改名されてゐた。昨日に続き老牌牛肉拉面大王。昨日は牛肉拉麺で今日は炸醤麺。汗だく。ずっと快晴だつたが今日の午後から天気崩れるといふ予報通りで空が曇り雷鳴が響くなか捷運でホテルに戻ると雨。午睡。小瓶のサントリー角の残り飲み干しながら荷造り。午後4時のレイトチェックアウト。シェラトン系StarwoodのSPGプログラム、ゴールドのステータスで宿泊してみたが、たとへプラチナでもSofitelのAccorプログラムのほうがベネフィットはいゝかも。タクシーで台北車站。國光の空港バスに乗ると前の席に若いゲイのアベック。手をつないだまゝ頬を寄せたり何も気兼ねなく愛らしいかぎりだが(だからマイノリティで人権云々がアタシはよくわからない)、かなり積極的な方の男子が感情的だと思つたら相方が旅立ちで見送りらしい……そりゃ感傷的になるわ、可哀想に。アタシは子どもの頃から停車場や空港での誰かの見送りが大嫌ひ。別れよりも自分が旅立てないことが。ホテルを立ち2時間で、ラウンジで寛ぐ暇もないまゝ18時10分のEva Air BR857便で香港に戻る。かなり新しいA330-300機で快適。台北の離陸もスムーズで香港の着陸待ちもなし。舒國治『臺灣重遊』少し読む。
三島由紀夫賞を『伯爵夫人』で受賞の蓮實重彦翁。受賞記者会見での不機嫌ぶり話題に。受賞式でのコメントは筒井康隆日記(こちら)で面白いものだつたと書かれてゐたが、その全文を週刊読書人で読む。産経新聞にもテキストあり(こちら)。筒井さんがこの蓮實作品の書評を書き、その中で「いかにも旧帝国ホテルにふさわしいもの」として引いた「焦げたブラウン・ソースとバターの入りまじった匂い」といふ1行はフローベールの『ボヴァリー夫人』からの正確きわまりない引用なのだつたさうな。蓮實と筒井といふ大人(daren)の、それもこの授賞式が初対面だつたさうな、その事象がとても愉快。
The Economist誌で天皇退位について“The long goodbye - A remarkable figurehead wants to step down”(こちら)。
A law must first be passed to allow Akihito to step down―nothing like this has happened in modern times. As for his son and successor, Prince Naruhito (speciality: 18th-century navigation on English waterways), he may struggle in the role. The royals are virtual prisoners of the Imperial Household Agency, the gnomic bureaucracy that runs the world’s oldest hereditary monarchy. It has treated Naruhito’s wife, Masako, a former diplomat, as an imperial birthing machine, and she has grappled with depression. Whether Naruhito would rather navigate the upper Thames than the forces that swirl around the monarchy remains unclear.
日本のマスコミは書けない、この感じ。単に菊のタブーだけではなく浩宮さんが専門とするテムズ川の水運にかけて語るなんてウィット。それにしても皇太子妃が“an imperial birthing machine”としての役割で……なんてひどい書き方のやうだが「ほんと、そうなのよ」と納得するのは妃ご自身かも。

専守防衛の姿勢は立派。まぁM78星雲から地球を救ふためにやつて来ては集団的自衛権のやうでもあるが。