富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2016-07-18

農暦六月十五日。Le Corbusierの現代建築作品が世界遺産に。写真は上野の西洋美術館の設計に来日の際、弟子の坂倉準三とのもの。当時の準三さん、これで54歳。今みたら随分と年をめした感じだが素敵。本日、黄昏に閑静な住宅地の坂の階段道降つていくと西洋人の伯父さんが地面に何かを、Tシャツに包んで抑へつけてゐる。子猫?と思つたら香港によくゐる鳴き声の通る、愛嬌のある小さな黒い鳥。坂下から上半身裸の若者が急いで駆け上がつて来たか、と思ふと手にハサミ。立ち止まつてみてゐると、その鳥に養生テープだかがかなり羽にまきついて飛べなくなつてゐたのを捕獲したやうで、息子がTシャツを脱ぎ、それで父が鳥を抑へ、息子が家に走つてハサミをとつてきたらしい。父親が慎重にハサミでテープを切り取る。それを心配さうに凝視する丹精な表情のハーフの息子。父親の見事なハサミ捌きで大方のテープを剥がし、様子見に手を少し緩めたところ、まだ羽にテープの破片ついたまゝだつたが黒鳥は驚いたやうに少し小走りのあと飛び立つて街路樹の枝に。母親も来て「どうしたの?」と日本語。黙つて見てゐるだけだつたが、その親子の優しさ。もう夏休みなのか黄昏時に父と息子がジョギングに出かけ、それだけでまるでPatek Philippeの広告のイメージ写真のやう、余裕のある生活。そこで悲惨な鳥を見つけた時の、この自然と出る慈善心。鳥インフルが怖いとか、Tシャツが汚くなる……ではない。noblesse obligeといつたら言ひ過ぎかもしれないが大したものである。ミニバスで銅羅湾に出ると赤子抱いて歩いてゐた女性がゐて、それを後ろから歩いてきた男性が横断歩道に向かふのに、この女性を後ろから掠め、その瞬間に女性のサンダルの踵だかを踏み、女性がバランスを崩したものゝ倒れなかつただけでも幸い。男性は何事もなかつたかのやうに道路を渡り、アタシも通り過ぎてから大丈夫かしら?と振り返ると女性サンダルの鼻緒が切れてしまひ、用をなさぬサンダルでひどいことになつて歩いてゐる。そこでさっと戻って手ぬぐい取り出しさっと割いて鼻緒を挿げかへまではできずとも、せめてこれで……とやればいゝものを、つい通り過ぎてしまつてから戻れず。さきほどの鳥を救つた父と息子に比べ本当に情けないかぎり。先日の台北でカジュアルの格好がくたくたのTシャツにショートパンツでだらしない格好だつたので白のポロシャツを贖ふ。ポロシャツは何年ぶりかしら。
朝日新聞で公表の長谷部&杉田政談より(こちら

  • 3分の2という数字にどれほどの意味があるのか、よくわかりません。街中で100人の人にアンケートしたら3分の2の人が「山に登りたい」と言っていたというのと、どこが違うのでしょう。民法改正に賛成ですか、反対ですか」なんてアンケートをとれないのと同じで「改憲か、護憲か」という問題の立て方がおかしい。(長谷部恭男)
  • 安倍さんはこの間、国民には国民投票で民意を尋ねるので改憲項目の選定や調整は国会の役割であると強調しました。しかし参院選でも前回の衆院選でも憲法改正を争点化しておらず国民が改憲を国会議員に委任をしているか非常にあやしい。形式的には代表だからといって議会に設置された憲法審査会が改憲項目についてどんどん議論を進めることは立憲主義の観点から果たして適切でしょうか。(杉田敦

毎日新聞の月曜連載・風知草(山田孝男こちら)より小泉三世らしい放言改憲改憲につき「あれは民進党と相談しなけりゃダメよ、最初から自民党案突き付けて『やろう』ったって、できるわけねえじゃねえか」。今の自民党改憲草案が小泉政権時の第1次に比べ復古調という質問に「見てないよ」と。相変わらず。
改憲勢力」に分類されている公明党は、<9条改憲>に抑制的である。自民党にも<9条護憲>派がいるし、「護憲勢力」の民進党にも<9条改憲>派はいる。つまり、国会の3分の2を占めたのは「憲法改正自体は否定しない勢力」であって、急進的な「9条改憲勢力」ではない。日本人が突然、右傾化したわけではない。