富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

獨立、從一個人旅行開始

fookpaktsuen2016-04-05

農暦二月廿八日。高温多湿。フィリピンに遊び戻れば耶蘇祝日で、そのあと台北に遊び清明節……とのんびりした日々続いたあとの社会復帰。 新井一二三さんより近著『獨立、從一個人旅行開始』送られる。私のことが冒頭の話にあるから、と仰られ何かと思へば、さう/\廿年も前にこんな話してゐたよね、と懐かしいのは幼い頃から隣町、祖母の家……と自分一人での大旅行が始まり私の場合は小学校4年生の時には一つ上の従兄と紀伊松坂から奈良京都などユースホステルに泊まり旅行を始め中学生の頃には一端の慣れた旅人気分、それが高じてバックパッカーとなり中国、そして社会人になつて香港に移住までしてしまつたわけで、さういふ経験が自分だけでなく一二三さんや一緒に飲んでゐた数名がみんな共通体験だつたのは、さういふ時代だつたから。その旅の感覚が年老いた今日まで毎日ずっと続いてゐるから日記も旅の記録のやうなもの。
▼晋三は今日の閣議で2016年度予算の前倒し執行指示の由。9月末までに8割程度契約で無理やりな需要創出で景気下支へとは、もはやアベノミクスの見せかけの成績維持どころか選挙下支へだけの意図見えみえ。姑息すぎ。毎日新聞は「黒田緩和 誤算の3年」賃上げ停滞、消費伸びず、強まるマイナスの副作用指摘。さもありなむ。だいたいこんな見せかけの詐欺を信じた方が間違ひ。グルーグマン教授のいふ通り、あくまで政府の金融政策の多少の刺激策程度のことで、それを「アベノミクス」などと騒ぐことが可笑しな話。
▼制作費僅かHKD50万のオムニバス映画〈十年〉が今年の香港電影金像獎を昨日受賞。香港の政治的に暗い近未来描いた作品で反中共的。選考委員らの投票で「まさか」の結果はテレビで生放送。主催者側慌てゝも遅し。大公報は社説でこの映画評価で何もメリットなしと激怒(本日の社説《十年》害港倒退「十年」こちら)。

电影编剧有政治立场,没关系;电影导演有政治喜恶,也没关系;但如果一个有公信力的电影奖评委有政治偏见,那不仅是极度错误的,更是一场灾难。将过去数十年来历届电影奖评委们的辛苦建立起来公信力的最大踏践;是在消费香港电影金像奖的公信遗产。只要是真正热爱电影这项艺术的人,都会对《十年》成为“最佳电影”而感到耻辱。这绝对不能代表香港电影的最高水平,甚至只能是最低水平。

これについて李慧玲が蘋果日報で指摘するに、この〈十年〉の受賞は合理でもあり不合理でもある、と。前者は香港の現在の政治的環境で市民の憂ひを思へば、この映画がまさにそれを象徴する内容で評価に値すること、後者は年間数十本制作される香港映画の中で低予算のこのオムニバス映画が映像作品としてどれほどの価値なのか、といふこと。総じて、映画作品としては習作のやうなレベルでも、その憂ひに人々が共鳴した結果のこの作品の評判で、李慧玲自身、自分が選考委員ならこの作品に一票を投じただらう、と。御意。

十年之後,這樣的題材能否再在香港出現,今日已經沒人有把握。(略)如果有人覺得今次政治綁架了電影,容我補充一句:在香港,政治已經綁架了良心太長時間,現在負負得正,撥亂反正,剛剛好。如果沒有一國兩制受蹂躪,根本不會有這套電影;如果沒有一再的無理打壓,也不會令這套電影和香港人的心越扣越緊。我們現在最要恭喜的,不是《十年》團隊,而是我們自己,因為這個獎項證明香港人還是有吉士的。當爾冬陞宣佈《十年》獲獎,網絡上大家奔走相告好消息,為香港帶來的振奮和希望,久違了。