富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

漢字簡化學日本

fookpaktsuen2016-02-18

正月十一日。今月三日、夕方D君とFCCで待合せに向かふ途中、The Landmarkの地下を歩いてゐたらD君より少し遅れると連絡あり時間潰しにふらりとHackett商店に立ち寄れば冬のバーゲンの最中で、ふと目に入つた吊るしの三揃ひのスーツあり。Hackett牌だがFox Brothers謹製でバーゲンだからサイズは大きすぎたり小さすぎたりだらう、と見たら36のサイズもあり、少しタイトだが羽織つてみるとぎり/\で大丈夫。Fox Brothersはさすが高嶺の花、フランネルで三揃ひだと20万円覚悟だが香港は少しは低価格で50%オフで思はず大人買ひ。裾上げとベストは少しきついのでボタンのつけ直しで本日それを受け取り。
蘋果日報で陶傑先生の「漢字簡化學日本」が面白い。簡体字の強制に対して日本語の簡略化された漢字は如何?と。「實」の簡体字は「实」で日本だと「実」。「在結構上,日文漢字更有對稱美(Symmetrical Beauty),這個英文詞彙,有很大的美學修養:希臘廊柱、羅馬殿堂、巴洛克建築、巴哈的音樂,無不講對稱美」と陶傑先生は日本漢字を褒める。廣=广は広、榮=荣は栄、圖=图は図……と繁体字簡体字のちょうど間である(櫻=樱花が桜など例外もあり)。日本で炊飯器やウォシュレット、粉ミルクなど爆買ひするのに比べ漢字の輸入はカネもかゝらぬ、と。だが陶傑先生にも誤解あり。「攝影」的「攝」は日本度で「摂」とこれは間違ひ。確かに簡体字の漢字は簡略過多。藥→药、滷→卤、義→义、聖→圣、藝→艺や豐→丰などかなり難しいが「酒」の発音が「九」と同じ jiǔ なので、と酒→艠などはやりすぎで廃れた簡体字もあり。药艠と書かれて、これが養命酒のやうな藥酒とは絶対に読めぬ。日本の漢字でアタシが嫌いなのは「駅」。なぜ「驛」が「駅」なのか、譯→訳も同じ。睪の音読みはエキやヤクなので驛と譯にたまたま合致したから……まさか。澤(タク)が沢はこれぢゃ説明できぬ。それが香港で(通称)日本人墓地を散歩してゐたら墓石に戒名でなく釋〇〇〇〇と名前があり「釋」は「釋親鸞」のやうに真宗での法名、香港は明治に本願寺があつた所以。これで「釋」が「尺」と音が同じなので「睾」が旁りにある字はすべて睾の代はりに「尺」を当ててしまつた、といふ説あり。いずれにせよ「中国人にとつて鉄道の停車場は「站」で「駅」はとても日本的な漢字に見える。そこで香港の住宅開発区の商場が「都會駅」なんて名前であつたりもする。本当なら「都會驛」か「都会駅」かにしてほしいが。