富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

訒氏宗祠

fookpaktsuen2016-02-13

正月初六。株安円高の連鎖も週明けには市場の反発と多少の円安もありかしら、で昨年11月に手元の剰余を香港ドルから日本円にしていたものを今朝のうちに香港ドルで回収。3ヶ月で1割ほど収益あり。110円を切る可能性も大だが欲張らず。週刊文春三月号読む。やはり芥川賞受賞作が読めない。面白くない。気温は摂氏25度で初夏のやう。ジョギング。夕方、家人と中央図書館裏から天水圍行きのバスで屏山。訒氏宗祠。William訒達智兄主催の新年恒例の春宴。百卓千人の盆菜。知己少からず。出羽櫻の一升瓶持参。達智兄ご自身に案内された卓はすでにCh. Talbot抜栓は香港の酒業団体のトップら同席。本夕はテレビカメラなど随分と本気で入つてゐると思つたら私らの卓に香港で著名な美人女性レポーターV嬢がつき「外国からの取材」に答へるといふ。その西洋人の客に何の取材?と尋ねるとナショナルジェオグラフィックTVだといふ。そりゃ香港で尤も格式ある訒祠春宴だが取材の卓で映つてしまふのでは?とひやひや。今年は更に開宴で著名ファッションモデルが達智兄のドレスでファッションショーあり目玉は達智兄の長姐が最後に達智兄製作のピンクのドレスで脚光浴びる。なんて凄い演出。すべてWilliam訒達智といふ御仁の為すことだと思ふ、この人の人格と才能に只々敬服するばかり。

文藝春秋三月号でエマニュエル=ドット先生のインタビューあり。フランスの状況につき

若者たちが社会的にも経済的にも押し潰されようとしていること。中でも厳しい状況に置かれているのがイスラム圏を出身地とする若者たちです。イスラム恐怖症は経済的に抑圧された若者を社会から疎外させ事態をより深刻にしています。フランスの社会的メカニズムの一部となりつつある不平等さ、不寛容さがフランスの若者をテロリスムに導くことにつながっているのです。(略)大いに美化された「表現の自由」を訴える“シャルリ”たちの主張からは観念的なイスラム恐怖症が見え隠れし平等や友愛の精神は置き去りにされていたのです。(略)集団的信仰としての宗教が消え(カソリックの消滅)結果として個人はますます超個人主義的になって孤立します。こうした精神的な空白から拠り所を失ったフランスの支配階級は自己陶酔的な肯定の場を「反イスラム」に求めているのです。

日本にも提言あり。母国ですらバッシングされるドット先生は彼の主張を朝日新聞どころか文藝春秋までが掲載する「思考の自由な日本」が好きなのだ。

出生率の低下と人口減少は日本における最大にして唯一の課題です。そして少子高齢化が解決できない中で一定数の移民が必要になるはずです。日本人は差別主義的に決して異質な人間を憎んでいるわけではなく仲間同士で暮らしている状態が非常に幸せなので、その現状を守ろうとしているだけではないでしょうか。お互いのことを慮る、迷惑をかけないようにする、そういう意味では完成されたパーフェクトな世界だからです。(略)外国人、移民も社会にある種の無秩序をもたらします。日本人は日本が存続し続けるために、こうした一定の無秩序、混乱、完璧でないことを受け入れる必要がある。私たち日本好きの人間にとっては日本が人口減少で没落していくのは残念なことです。より徹底した少子化対策の実行と移民受け入れは明治維新にも匹敵する国家的改革になりますが国として存続できる道を真剣に探ってほしいと考えています。

▼仏教専門紙「中外日報」の二月三日付け社説「一億総活躍社会 仏教とは似て非なる理想」(こちら)より。

「みんなが包摂され活躍できる社会」といえば確かに聞こえが良い。しかし一歩間違えば、働きたくない人、あるいは働きたくても働けない人にも働くことを強要するような社会をつくり出す恐れもあり、そのような人たちにとっては生きづらい世の中が出現することになりかねない。
宗教界が目指す理想社会はそうではないだろう。むしろ、宗教、特に縁起の思想に基づく仏教は、政治や経済など世間の価値観を相対化するところに特色があるはずだ。

仏教界も疑問の、仏さまも匙投げる晋三の変な政策よ。
▼昨日の毎日新聞に「夫婦同姓が子どもを守る」といふ八木秀次先生の文章あり。

  • 夫婦同姓は百年前に創られた伝統、伝統のほとんどは近代に捏造された、といふのはマルクス主義的な思想に影響された根拠の希薄な主張。(根拠が「ない」と断定できないか)
  • 1898年の夫婦同姓とした民法施行の前も家族観は長い歴史を背景に民族古層の記憶として刻まれている。(そこまで言うか)
  • 夫婦別姓がグローバルスタンダードというが、それが善か、文化背景の相違を認識すべき。

とした上で別姓を求める人たちは子どもの姓をどうするのか、いつ決めるのか、兄弟の姓は?……要は「子どもの福祉」の問題だとすり替へる。「親の身勝手で犠牲になるのは子ども」で、さうしたリスクを低減し子どもを産み育てる制度としての日本の「家族」だといふ。だから夫婦の同居義務、扶助義務が定められ夫婦が相続や税制で保護される、と。名前なんて桂小五郎木戸孝允村田蔵六大村益次郎でいつ、どう変へてもいいことで兄弟の姓など養子縁組や婚姻で変はるのもざら、親の身勝手で子どもが犠牲になることは夫婦別姓よりもっと深刻な問題はいくらでもある。家族「制度」がなければ子どもが不幸せではない。更に八木先生は母子家庭、父子家庭は貧困問題につながり……と暴論を吐き「国が家族を保護するという趣旨の「家族条項」を憲法に盛り込む時期に来ている」とする。家族を社会の中できちんと位置づけることが家族、社会の解体の抑止につながる、と。やはり憲法の基礎的な認識から誤解あり。
▼首相動静(12日)12:01黒田東彦日銀総裁。14:40高市早苗総務相。18:07丸の内のパレスホテル東京精神科医らでつくる首相の後援会「晋精会」に出席。19:16赤坂エクセルホテル東急で産経新聞の阿比留瑠比論説委員、有元政治部長らと会食。22:13富ケ谷1-30-29の自宅。
……アベノミクス不調に日銀総裁との困ったちゃん昼食階段、放送管領高市某女との勘違ひ打合せ、晋三支援する精神科医の後援会のあと産経の阿比留記者と会食ってほとんどカルトでしょ、こりゃ。