富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

信仰は衰え、国家は破壊された

fookpaktsuen2016-02-11

正月初四。陰暦とは大したもので正月三が日明けたら気温は摂氏二十度超えで春めく。晩におでん煮る。つい私をいつも暗澹たる気持ちにするNHKのNW9を見てしまふ。学術会議参加と偽り訪日の査証を取得して不法滞在するアフリカ人が多いといふ報道。難民や国境を越へた人の移住に何ら理解もないまゝ不法滞在の外国人の増加=不安だけ。「日本で安心して暮らしたかった」といふ不法滞在中のガーナ人の言葉。Cool ジャパンとか「お・も・て・な・し」なんてバカなこと言ってゐる前に「安全な日本」といふ評価こそ誇りとして応へられないのかしら。北朝鮮のミサイル発射も昨日今日が初めてぢゃないのに不安、不安、不安……北朝鮮に「武装解除せよ」と米国、アンタにだけは言はれなくないよ。
朝日新聞でエマニュエル=トッド先生のインタビュー「信仰は衰え、国家は破壊された」読む。

アラブ世界は国家を建設する力が強くない。国家より縁戚関係の方が重みがある。イラクフセイン政権はひどい独裁だったが国家建設の始まりでもあった。それを米ブッシュ政権は国家秩序に敵対的な新自由主義的思想を掲げ国家の解体は素晴らしいとばかりに戦争を始めて破壊した。今、われわれがISを通して目撃している問題は国家の登場ではなく国家の解体。アラブ圏で国家を築いていく難しさと、米国などの新自由主義経済に起因する国家への敵対的な考え方の相互作用の結果ではないか。

と、まさに一読に値する内容(こちら)。インタビューアーは論説主幹の大野博人で

日本も共通するところがあります。移民は少ないが、非正規労働者として他国での移民労働者のような扱いを受ける人はたくさんいます。いわば一部の国民が戻る祖国のない移民になりつつあるのかもしれません。

▼日経ですら「アベノミクス相場 転機」と悲観論。日経平均が今年に入り下落率は10日で17%に達したことで「昨年まで続いた株高局面は転機に差し掛かった」とfinallyこのコメント。10日終値(15,713円)がアベノミクス相場*1割り込む=この3年余に株購入した者の多くが含み損を抱へてゐることに(実際に賢明な?売り逃げもかなりゐるのだが)。それでも日経は「昨夏までの上昇は円高東日本大震災で割安に放置された日本株が正常な評価を取り戻した側面が強い」として「日銀の異次元緩和による円安や企業統治改革の導入も海外勢の投資を呼び込んだ」と評価した上で「ただ足元の混乱は外部要因によるところが大きい」と言ひ訳。外部要因も懸案した上でのリスクマネージメントできてこそなのに。もはや死に体のアベノミクスだが「企業統治改革などへの期待は根強い」と足掻き「マイナス金利は現金の保有コストを高め、企業に自社株買いを促す」「海外勢が再び期待を高める契機になる」と、そこまで晋三と心中したいのかしら。「アベノミクスはようやくボロを見せ始めたが現政権の原発再稼働と原発輸出の方針は揺るぎそうもない」と竹田茂夫の弁。
▼信報で丁望が
年輕人的社會抗爭,大都富有社會理想,如社會公平、對弱勢群體的同情、對民主的追求、維持「一國兩制」、抗拒紅色化(赤化);他們的抗爭行為愈是和平、理性,愈能獲取更多市民的了解、支持,反之則不可持續。創造可持續發展的空間,是社會抗爭的一大要素。
と書けば練乙錚が「魚蛋革命:暴力抗赤的是與非」と指摘。
壞人在台上做壞事,一時三分不會自動下台,大家若努力揭發、頑強抗爭,付出一定代價當然要,但就可以讓遠近的人都知道他如何的壞;多人知道了,他最後就沒戲,自必然要離場。大家相不相信香港有足夠抗體?筆者是完全相信的,只要能夠保持健康,多做「運動」,持之以恒。

この日経の記事「ただマイナス面ばかりでもない」というので何かと思えば、東京大田区の水道工事会社で従業員約90人の9割からマイナンバーを集めたが1年前から社内でマイナンバーの勉強会を開くなど管理体制を整えた効果、と。それって収税側から見ただけの視点だろ、日経!

*1:アベノミクス相場は野田佳彦首相(当時)が衆院解散を宣言した2012年11月14日が起点。そこから今年2月10日までの3年3カ月の日経平均を平均すると15,860円になり、これがアベノミクス相場で市場全体を買ったと仮定した場合の平均的な買いコスト。