富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2016-01-12

農暦十二月初三。曇。溜まつた仕事済ませ晩に慌てゝ荷造りして自宅でカレーうどん頬張ってから香港空港へ。ラウンジで寛ぐ余裕できただけ幸せ。FT紙を開くと“Japan and the World”といふ8頁だての特集記事あり。何よ、これ?といふほど情けない提灯特集で、日経がFTを買収した結果が、こういう恥ずかしい露出だとは……恥ずかしいばかり。日付けも変はつた深更のCX524便で一路、東京へ。
▼(思想の地層)揺らぐ政治秩序20世紀の常識、不適合:小熊英二朝日新聞こちら)。

  • 20世紀の政治は「選挙区に定住している住民が数年に1回の選挙で代表を選び国政を審議する」という制度で運営されていた。しかしこの制度が「情報化」「グローバル化」などとよばれる社会変化のために21世紀の社会に適合しなくなっている。
  • 現代では情報や人の移動速度がかつてよりずっと速い。そうなると「選挙区に定住」や「数年に1回」という20世紀の政治制度の前提が21世紀の社会に適合しなくなる。

その中で何ができるのか。70年代以降の先進国は投票率が低下する一方で異議申し立てが活発化、デモの参加経験率は欧米では傾向的に増加。70年代から90年代に異議申し立てが低調だったのは先進国では異例に経済が好調だった日本だけの現象。選挙を軽視してよいわけではない、が、選挙が全てではないし全てになりうる条件もない。「民主主義って何だ」と叫ぶやうに世界のどこでも21世紀の社会にふさわしい政治のあり方を人々が模索している。「日本だけは例外」という前世紀の常識が通用しなくなってゐる。
▼日本の20世紀の戦争の歴史で「軍部の独走」とか言はれるが、その軍部とは何か?と言はれると、じつはよくわからない。保坂正康先生が具体的にはこれを陸軍省軍務局と参謀本部作戦部だとした上で陸軍省に対して参謀本部が力を増した。海軍は陸軍に比べリベラルだの反戦的だのと後世いはれるが米国を仮想敵国として予算獲得してきた実績があり対米反戦では理屈が合はず開戦に反対できるもないといふ矛盾。
われわれの国はとんでもない軍事組織をつくった、ということです。特攻や玉砕、こんな作戦を国の正式のシステムとしてやった国は世界のどこにもないです。そうした実態の徹底的反省が必要だったのに、国民の側におmきちっとした理解がない。集団的自衛権にしても、その反省の上に成り立たせるのならいいけれど、いい加減に軍を称揚したり、国際貢献を強調したりするのは危ない。