富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

だいほつゑ

fookpaktsuen2016-01-04

農暦十一月廿五日。曇。まるで春のやうな陽気。アジアで唯一陽暦で正月祝ふ奇怪な日本は今日が仕事初め。証券取引所は女性職員が晴れ着姿で大発會(これ「だいはっかい」と言ふが第8回に聞こえるので「だいほつくゎい」むしろ中国的な語呂のすわりでは「だいほつゑ」でもいゝのでは?)のはずが日経平均株価は正月祝儀どころかいきなり19,000円割れで取引始まり582円安の18,450円なら中国株も7%下落で取引停止、上海と深圳のAシェアで中共初の所謂「サーキットブレーカー」作動の由。これでアベノミクスの失敗が明らかになれば良いのだが、そんな正月から荒れた株式市場を尻目に晋三は年頭の記者会見で経済優先で取り組んできた結果「もはやデフレではないという状況を作り出した」が「まだデフレ脱却というところまではきていない」と宣ふ。今の状況はAではない、だがAから脱却したというところに到達してゐないということは日本は晋三のアベノミクスでまさに異次元にワープさせられたのか……最悪。昨晩遅くに読んだ金子勝教授(慶応・経済)「また大嘘が始まった アベノミクスは破綻への道」(岩波『世界』12月号)で「安倍首相は息を吐くように嘘をつく」と晋三のアベノミクス批判。

  • デフレ脱却を掲げて二年半も日銀は異次元の金融緩和続けてゐるのもかゝはらず物価上昇は消費税増税と輸入物価の効果がほとんど。
  • 日銀が貨幣供給量増やしただけで国民の物価上昇期待上げるやうに国がコントロールできるのか。所得が上がらず将来不安消えないまゝで消費が増えるか。
  • 経済成長率はマイナスなのに企業は史上最高益。企業の内部留保の伸び率は8%(2013-14)で給与支払ひ総額は1%の伸びにすぎず、配当など株主還元は13兆円(2014年)、純利益の4割。企業収益が従業員の雇用や賃金になるトリクルダウンは起きてゐない。
  • 日銀の異次元金融緩和の資金はどこに?→日銀の当座預金勘定の増加(2015年9月で約232兆円の積上げ)。企業が内部留保溜め込み国内市場停滞、銀行信用拡大せず緩和マネーが回ってこない。

このやうな状況で最大の貿易相手国=中国のバブル崩壊→輸出減少。経済成長率の目標達成も明らかに困難。さらに「第二の矢」の機動的財政出動財政赤字累積、社会保障費不足と消費税引き上げても増税は景気悪化につながると法人税減税と公共事業で費消してしまひ財政赤字はさらに悪化。成長戦略も労働者派遣法改正したところで専門26業務の特定派遣→一般派遣で雇ひ止めするが一般派遣は部署異動あれば半永久的に派遣のまゝ。インフラ輸出は新幹線は中国との価格競争で厳しく原発輸出頼みだがフランスのアレバ社は実質的倒産、シーメンス社もGEも原発事業から撤退するなか「不良債権化した原発のツケを日本企業が負わされている」。あとは武器輸出三原則の見直し。外国人投資家の株式保有率高まりアベノミクスは「日本を取り戻す」のではなく「日本を売り渡す」政策。それでゐて「道半ば」「景気回復この道しかない」と財政赤字続け日銀の国債購入を膨張させ金利上昇すれば大量の国債保有する日銀が巨額の時価損失被り国債費は雪だるま式に膨張でより一層の財政赤字。もはや出口なし。これでハイパーインフレ条件?整ふが、つまりアベノミクスは成功=破綻する政策。このやうなアベノミクスが政策として失敗しても検証なしで次の公約で上塗り、なぜ目標達成できぬのか、間違ひは何かが問はれず。まるでおかしなことばかり。第190通常国会、陛下来臨で本日開会式。この式に共産党が初めて参加。「国会が国民生活の安定と向上、世界の平和と繁栄のため永年にわたり弛みない努力を続けていることを嬉しく思います」と陛下。晋三がアベノミクスで国民生活の安定と向上図つてゐるかは疑わしく、世界の平和には明らかに寄与せず、繁栄も格差社会で富裕層ばかりに寄与。国会はその晋三の官邸と内閣にとつて「どーでもいい」「はやくしろよ」の扱ひ、陛下の「努力を続けている」は国会のうち立憲デモクラシーの働きについて、ととるべきか。本日、東京からM女史夫妻来港で湾仔の六國酒店の粤軒に飰す。Napa ValleyのBeringer Vineyards Cab Sauv 2011年飲む。