農暦十一月廿四日。小雨。書室整理。未明に目覚め岩波『世界』昨年11月号(特集:法治崩壊)読む。手放してよいと判断した本を和書、中英書をバザー、リサイクルに出す為それぞれ大きな袋1つずつにまとめ昼に至る。昨日759阿信屋で入手のきつね「どん兵衛」で10分どん兵衛の昼食。木村雅昭『グローバリズムの歴史社会学』(ミネルヴァ書房)読む。ミネルヴァ書房の本を読むのは何十年ぶりかしら。トーマス=フリードマンが想定した今日の資本主義での経済システムでいかなる国も求められる政治経済システムが「黄金の拘束服」と呼ばれるモデルで、これは
経済成長を推進する第一エンジンに民間セクターを置き、インフレ率を低く抑え、物価を安定させ、官僚体制の規模を縮小し、黒字とまでいかなくても可能なかぎり健全財政に近い状態を維持し、輸入品目への関税を撤廃するか低く下げ、外国からの投資に対する規制を取り除き、割当制度と国内の専売制を廃止し、輸出を増やし、国有企業と公益企業を民営化し、資本主義市場の規制を緩和し、国の通貨を他国通貨と交換可能にし、国内の各産業、株式市場、債券市場への門戸を開放して外国人による株の所有と投資を奨励し、国内の競争をできるかぎり促進させるために経済面での規制を緩和し、政府への献金やリベートといった腐敗行為をできるだけ排除し、金融機関や遠距離通信システムを民有化して競争させ、競合する年金オプション、外国資本による年金、投資信託という選択肢を国民の前にずらりと並べて、そのなかからせんたくさせるようにしなければならない。
といふものだが、まさに日本もこのやうなシステムに急速に変容を遂げたわけで、その効率的な経済システムの利益は投資銀行や個人の〈電脳投資家集団〉に集約されていく。かうしたシステムに「乗る」か、乗るだけの知識と機会がないまゝに終わるか、わかつてゐても乗らないか、おそらく「わかつてゐても乗らない」のが一番の阿呆といふことか。それでも世界はこの一つに統合された平原で「世界の終はり」的恒久の安定を手にしてをらず、むしろ経済危機や格差、冷戦時代より不安定な武力衝突などが生じ人間の行動はけして経済合理性だけに還元されないことも明らか。さう易々とフラット化しないことについてEUや東アジア、インド、中国の覇権など検討をしてゐる本だが知識としては第1章「経済グローバル化の文明システム」で十分。晩に豚肉のお好み焼き。テレビの録画でブラタモリ富士山の第1回を見る。寝しなに岩波『世界』昨年12月号読む。片山善博教授(慶応・法、前鳥取県知事、元総務大臣)の連載(日本を診る)「辺野古審査請求から見えてくる国のモラルハザード」明解。国(防衛省)が行政不服審査法により国土交通大臣に審査請求は全く理解できないし「的外れ」とバッサリ。行政不服審査法*1は国や自治体が行使する公権力から国民守るためのもので国の機関を守るものに非ず。国(防衛省)がたまたま県から承認をもらふ立場であることを理由にして「あたかも自らが個人であるかのようにふるまひ国民に与へられてゐる権利を臆面もなく行使」が許されるか。法的リテラシーの低い組織だから自衛隊の海外での活動に法が歯止めをかけたとしても、その意味や限界をちゃんと理解できなず守れない。晋三が「わが国は法の支配を尊重する民主主義国家だ」と屢々吹聴してゐるが既に権力の内側からそんな原理が空洞化、これでは民主主義の看板が泣く、と手厳しい。もしかすると、9条の解釈を無理やり変更して安全保障法制を制定するくらゐだから、行政不服審査の趣旨を強引に法律の拡張解釈で「自分たちだって国民に含まれる」と理解してゐるのではないか、法律上の疑義が生じても今のあの内閣法制局なら間違いなく助けてくれる、そんな「厚顔無恥やモラルハザードが蔓延している」としたら民主主義国家として根腐れ……御意。
@fookpaktsuen: 銅鑼灣書店股東中伏、公安扮買書綁架 URL 「出事當日有人曾致電該公司表示要買10多本書,李因此被騙到位於柴灣的貨倉而中伏,遭人綁架」とあるが当日の昼前、銅鑼灣の店舗で書籍爆買、店舗にない書籍の購入求めていた男がいたが、あれも事件に関連か。
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