富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2015-11-11

農暦九月晦日。曇。早晩に中環のChater Gardenで開催中の英国フェア除く。倫敦の街並み再現で有名店もいくつか並ぶがベニヤ板製の仮店舗で貧弱。急拵へのパブでビール一杯。Penhaligon’sのOpus 1870といふコロン購入。年老いてぢゃないと、とても扱へない個性ある香り。久々にマンダリンオリエンタルホテルのチナリーバーでドライマティーニ一杯。バーテンダーが(裏方での従業員同士の雑談こそ五月蝿いが)客対応はとても謙虚。北角。観塘行きの波止場で家人と待ち合はせ。猫を愛でながらビール飲み観塘に渡る。かつて倉庫や工場ビル街だつた観塘の海側、今ではすつかりオフィスビル街に様相を変へ退勤の仕事人多し。無残な再開発中の旧市街抜け雲南風味に飰す。赫泥白肉、清炖羊肉、虎皮椒炒舞茸菌。この食肆に通ひ始めたころ未だ中学生だつた娘に二歳になる娘ゐて客の注文とる真似する器量良しで少し遊ぶ。母親や祖母とは広東語で話すのに私らには話しかけないのは、どうやら私らに広東語通じぬと解つてゐるらしい。日本語多少解す母親が「こんにちわ」「さようなら」「ありがとう」と言つてごらん、と。可愛らしいこと。

▼先日の習近平馬英九の新加坡対話につき今日の蘋果日報社説で李怡さんが興味深い指摘を書いてゐる(尊重歷史才會有真正歷史意義、こちら)。90年代の李登輝の特使で対中対話に臨んだ辜振甫先生との話。

1994年,在辜汪會談達成九二共識後兩年,筆者在台北訪問了辜振甫先生。他談到與汪道涵先生喝茶時的私下談話,他說希望中共能夠尊重台灣近百年的歷史,尤其「台灣過去半個世紀的發展,希望大陸方面不要不承認這個歷史事實。若承認了這個事實,就會了解到台灣有自己發展出來的體制,有自己的道路,這樣中共就不會說『我是中央,你是地方』」。
這是極重要的觀察。大陸以及香港的論者,許多人眼中的台灣歷史就是只着眼兩岸的歷史,就是內戰後國民黨敗退台灣,於是兩岸處於長期敵對狀態的歷史。從這個角度去看,那麼只要中共釋出善意,或大陸搞得好,或在香港實行一國兩制成功,台灣就自然願意「回歸」。這是從大中國觀念去看台灣歷史,但真正的台灣歷史是台灣民眾親歷、祖輩父輩相傳並被現代台灣人銘刻心中的歷史。

この新加坡対話について陶傑氏が昨日の蘋果日報で興味深い指摘(こちら)。中国と台湾の間に入つた新加坡は香港もかつて標榜した「アジアのスイス」たる地位にあること。或いはアジアのイスラエル。香港も董建華の当時に中台間の橋樑たらんとしたが香港は已に中国に組み入れられ、かりに香港が長年にわたり台湾との微妙な関係を維持し一国両制が正常に維持されていれば、だが現実は知る通り。それに対して新加坡は中国と国交樹立後も台湾とは良好な関係維持し首相が台湾を私人として訪問し新加坡軍の訓練も台湾で。何故かういふ関係が維持できたか。それは李光耀訒小平と会談した際に対等に中国と対峙し中共に対して南アジアでの赤化を止めるやう指摘し訒小平にすら「それぢゃ中国はどうすればいいと?」と言はしめさせたほど。それに対して香港政府は中国に「香港はどうすればいいでせうか?」と問ふだけの立場。新加坡には国際的な公信力がある。香港は1997年まではその公信力があり香港の行政力にせよ香港大学の地位にせよ高かつたが、それを一切廃棄してしまつたのだ、と。
▼旧西ドイツのヘルムート=シュミット元首相逝去。享年九六。この方といえば大の愛煙家。ドイツで煙草増税の前に100カートンだかの煙草買ひ占め1日1本なら100歳まで吸えると豪語の由(実際には日に数箱で到底足りないが)。Obituary: Helmut Schmidt "Smoke and fire" The Economistこちら)。