富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2015-11-10

農暦九月二十九日。朝三時過ぎに目覚め四時半くらゐまで読書して二時間の二度寝。曇。何年ぶりかで三半規管が逝かれた感じの強烈な眩暈。疲労か昨日は喉が痛んだのでウイルス性なのか。昼にカツ丼で七味をかけるのに長野の八幡屋磯五郎の「ひとふり」パックにしたら切り口がさっと破れず、つい習慣で醤油のパック開ける時のやうに一方を歯で噛んで開けたら口の中に思いっきり七味の粉が入つてしまひ大変なことに。これがBird Eyeだったら、と思ふとぞっとする。晩にミートソースのパスタ。759阿信屋で購入の葡萄牙の赤葡萄酒、所謂500円ワインだが家飲みには十分。
▼岩波『世界』十月号しみじみと読了。今夏の強行採決、阿部談話の検証。樋口陽一先生の「歴史と記憶 - 戦後70年首相談話に関連して」は何度も読み返す。どの書き手の文章も示唆に富むものばかり。それの他にオサマ=ビン=ラディン殺害についてのシーモア=ハーシュの検証記事も転載あり。ビン=ラディン殺害はデマでまだ生きてゐる!とまでは言葉は踊らぬが殺害されたにせよ米国の必要な偵察があり敵の秘密アジト急襲で銃撃戦の末……といふのはデマで実際には優柔不断なパキスタン政府との交渉で既にパ政府軟禁下にあつた無防備のビン=ラディンを襲ひ殺害した上に遺体は海に水葬もデタラメで実際には飛行機から遺体の部位を撒いて捨てゝしまつた、と。さもありなむ、な話。
▼書評で読んだつもりの一冊。張競・明大教授の『時代の憂鬱 魂の幸福』(明石書店)。比較文化といふのが今一つわからない私だが国際情勢から美術、モードまで限界が近く消費神話、世界経済の一体化、「空気」読む弊害、ゲームセンターの落書き帳……一流の思想家にかゝると文章は面白そう。とても興味あるが陋宅の書架にはロラン=バルトだけでたくさんの書籍が未読。とても他に目はとどかない。
朝日新聞池澤夏樹氏の「ピカソの作品に思う 国民を束ねる夢と嘘」より。

二十一世紀の今、どこの国ももう無限の経済成長は望めない。必死でごまかして先送りしているだけ。「夢」は「嘘」にならざるを得ない。
安倍首相は東京オリンピックという祝祭で国民をまとめようと考えたが、それは「フクシマはアンダー・コントロール」という嘘と抱き合わせだった。放射能問題が「もれなくついてきます」。
現代の嘘の専門家が広告代理店。
「今、これをお買いになると純金の子豚が当たります」というのは正確には「当たるかもしれません」だろう。「三本の矢」はコピーとしてはうまかった。つまりよくできた嘘だった。「新・三本の矢」はどうみても失敗作。中は空っぽということが露骨に見えてしまった。

  • 「自民、BPOの圧力批判に反論 今後も放送局聴取の可能性」(東京新聞)ふぁっしすっと猛猛しい、と呟板でエリック ・C氏。

世界 2015年 10 月号 [雑誌]

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