富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

香港は世界の命脈を握る巨大都市、ではない

fookpaktsuen2015-11-09

農暦九月二十八日。昨日から毎年秋の香港で一番空のきれいな日が続く。昼に九龍シャングリラの「なだ萬」に飰す。早晩にジムにより久々に少し走り実に一週間ぶりに自宅で夕餉。水炊き。二本松の「奥の松」飲む。早寝。今日の書評だけで「読んだつもり」は陣内秀信「イタリア都市の空間人類学」と羅永生「誰も知らない香港現代思想史」の2冊。前者は「東京の空間人類学」で何となく筆者の視線がわかる。後者は嶺南大学・羅教授の香港現代思想に関する珍しい邦訳本(羅教授の『殖民家國外』を主に編んだ日本版オリジナル書籍の由)だが雨傘革命と1997年以降の今日に至る矛盾を語る政治本を、まるで総論的に「香港現代思想」と丸めてしまひ、それもその思想「史」として果たしていゝのかしら。そこまで結果的に纏まったものではない。だから、それを「誰もしらない」としたのは、そりゃそうだ、白眉w……。それにしても帯の「世界の命脈を握る巨大都市の思想と運動の歴史」……って言いすぎだろ。
▼劉健威兄が信報の随筆(7日)で「米芝蓮欠深度」とミシュランのレストラン評の問題的を指摘してゐる。彼の経営する留家がミシュランから外されたから、の逆恨みに非ず。ミシュランの姿勢は当地に全く詳しくない旅行者が満足できる料理であるか?だが基本的に偵察者自身が当地の料理文化に疎く偶然に頼んだ数品での評価で、どうして評価ができようか、と。雲南料理の阿詩瑪で肝心の雲南菜注文せず、広東料理といへば必ず「蝦仁炒蛋」注文して評価決めるといつた愚の骨頂。ミシュランの探偵は一旅行客ではないのだが、きちんと正門から名を名乗つて入り、そのレストランの特徴から長所短所を調べ読者に正確な情報を供すべし、と。

イタリア都市の空間人類学

イタリア都市の空間人類学

誰も知らない 香港現代思想史

誰も知らない 香港現代思想史