富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

NHK報道局政治部の原記者w

fookpaktsuen2015-09-29

農暦八月十七日。散髪。老けてきて自分の表情がだん/\と百鬼園のやうになつてきた。これででっぷりとして杖でも携えれば完ぺき。早晩にドライマティーニからウヰスキー、韮と大根おろしの鍋で豚肉しゃぶ/\で焼酎でその後は使ひものにならず。ビデオニュースドットコムで冷静な神保氏が晋三の先日の新三本の矢と総裁選当選につき「記者会見」がいかにひどい仕掛けか、に立腹。確かにその舞台裏見たら中共も真っ青の茶番ぶり。中共の場合は報道官が勝手に捲し立てゝお終ひだが自民党の場合は御用記者相手に用意周到な演出で言葉もなし。それにしてもNHKの政治部原記者とのやりとりは嗤つた。NW9で「ここからは政治部の原記者に聞きます、原さん、あなたは自民党の御用記者ですか?」ってNHKのコント番組「LIFE!」でできないかしらね。
▼昨日、防衛相中谷某が省内で自衛隊幹部ら集めた会議で安保法制施行に向け準備指示。実際には準備どころか具体的な内容まですでに出来上がつてゐたことは共産党が暴いた通りなのに。むしろ必要なのは本来の集団的自衛権の全面行使のはずが公明党の思はぬ邪魔が入り「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態」なんて条件入つてしまつたことで、これを本来の全面的な集団軍事にだう理屈づけするか、だろ。
▼昨年の71クーデターに当たり内閣法制局集団的自衛権行使可能とする憲法解釈変更めぐり、その判断の内部資料残してゐないことが明らかに(東京新聞)。公文書として残るのは?晋三の私的懇談会資料、?与党協議会資料と?閣議決定の原案の3つだけ。71クーデター前日に国家安全保障局内閣官房)から法制局に原案送付し翌7月1日に「意見はない」とスピード回答。何ら精査してゐないことは明らか。法制局長官(横畠某)は国会答弁で「精査してゐた」と嘯き官房長官(菅某)も「適正に文書を保有してゐる」と宣つてゐるが、またウソが明らかに。どこまで適当な御仁たちなのかしら。
▼スペインでカタルーニャ州議会選で独立派過半数スコットランドケベックそれにこのカタルーニャと並び世界で独立機運リスクの高い地域として沖縄が挙げられてゐたのを何かで読んだ記憶あり(独立機運をリスクとすることぢたい統治国寄りの見方だが)。ヤルタだかカイロだつたかアイゼンハワーから蒋介石が日本の戦後処理で台湾に加へ沖縄も中華民国が(暫定的であれ)統治する提案受けたが蒋介石はそれを拒み、それも二度の提案に、これが蒋介石の大きな判断ミスで国民党タブーになつてゐたといふ話もあつたが国民党統治で「中国の一部」は沖縄にとつてやりきれないが結果論だが最終的に「沖縄&台湾」といふカップリングで連邦なら「日本の捨て駒」のやうに扱はれる今となつては、それも「あり」だつたかも。
▼一年遅れで読んだ岩波『世界』九月号。昨年七月一日の晋三クーデーター受けた号。村山元首相の昨年五月の講演の内容に今更ながら敬服。55年体制で紛ひなりにも自民党への反対勢力として社会党あつたが現在は自民党暴走に対して「野党が結束して反対できてゐない」ことが問題。自民党より右の位置で暴走加速させようとする動きすらあり。トンちゃんはそこで「しかし」として語るは

集団的自衛権にしても憲法にしても国民世論の多数は安倍政権の向かう方向に対して批判的。野党がそれに対して十分に抵抗できないのであれば主権在民の下、国民が政治の向かうべき方向性について学び、そして抵抗していく以外に現在の状況を変えていく道はない。そして、その抵抗の中で、日本に真の民主主義を形づくっていくことができるのではないか。(略)
期待できるのは国民の世論だけ。
これまで発言していなかった学者や著名人の方々の中にも立憲主義が否定される状況の中で発言する方が増えている。それだけ状況が危機的ということかが、そういう一言が世論を変え政治を具体的に変えていく。そこに確信をもって発言してきたい。

昨年の夏なら、この言葉をまるで絵空事のやうに読んでゐたかも。それが一年後まさにさう動いたのだから。
▼同号で青木美帆先生の71閣議決定批判も覚へ書き。憲法65条で行政権は内閣に属す、となつてをり全国家的作用から立法権司法権を除くすべてを行政権とする場合(控除説)に防衛権は立法、司法のいずれの権力にも属さないので行政権に属す、という見方。集団的自衛権行使容認も71クーデターはそれに倣つてゐる。また憲法73条で内閣は一般行政事務の他に法律執行と国務の総理、外交、条約締結、予算作成と国会への提出、政令制定等の権限を有するが防衛はここに書かれた「その他」にないので一般行政事務の範疇に。だが集団的自衛権行使容認が内閣の権限かは75条に当然、特記されてゐないので、それぢゃ一般行政事務かといへば異なるのは明らかつまり本来は内閣で出来ないことを「してしまつた」。また日本国憲法は国家権力の総和だが統帥権等軍事に特有の権限を含まないもので他国の国家権力の総和に比べると「欠けてゐる」もの。つまり前述の控除説の引き算する前に国家作用の総和そのものが「欠けてゐる」わけで、その中で73条の解釈で自衛隊指揮権は一般行政事務として内閣にあるとしてゐても自衛隊そのものに関する権限の創出は本来、立法権に属するもので集団的自衛権での他国防衛を「時の内閣が判断する」といつた内閣の一般行政事務にすることは不可能。この現行では存在しない権限を加へるなら憲法改正が必要で、それを経ずに閣議決定で済ますことは違憲……今更ながらその通り。