富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2015-09-20

農暦八月初八。昼すぎに家人と荃湾。B級グルメの聖地たる路紱圍で涼拌酸辣米粉。日本の甘酸っぱいだけで具には味のない冷やし中華とは比べものにならぬ美味さ。用事済ませ早晩に民豐粉麵行で餃子贖ふ。中環。FCCで夕餉。帰宅。岩波『世界』7月号読む。7月号といつても昨年の7月号未読のもの。この時点で(71閣議決定クーデターはこの号発行のあとだが)集団的自衛権のまやかしはいくつも記事があり国立競技場も取り壊しと新築はリスク多し、既存施設大規模改修を、と提言してゐるのだが1年前では、さうした指摘はまだ一部左傾知識人と左翼市民の勝手な憂慮だつたのか。1年でかうも状況が変はるとは。
▼読売新聞の社説「残念だった「違憲論」への傾斜」(こちら)は昨日未明に安保立法可決未定の段階では昨日用で早刷や国際版にはこれが掲載済み。今日に回すほど野党を詰りたいとは。

残念だったのは民主党など野党が審議の場で安保法案は「憲法違反」と主張する立場に安易に傾斜してしまったことだ。いかに抑止力を高め日本の平和を確保するか。そうした本質的な議論は深まらず物足りなかった。

……って憲法も超越とはさすが読売。しかも

  • 邦人輸送中の米艦の防護などを含め従来は一切できなかった自衛隊の反撃が可能になる選択肢を確保する意味は大きい。

なんてヒゲ隊長があかりちゃんに論破されたやうに、晋三が最初に使つた「ありえない」シチュエーションまだ持ち出すとは読売の劣化も甚だしい。
あかりちゃんがヒゲ諭すレベルでは日経の記事「抑止と外交、両輪で」(こちら)もお粗末なレベル。

  • 友達が不意に暴力を受け助けを求めてきた、放っておいたら自分まで命を奪われかねない場合にかぎり助けてもいい。ざっくりいえば、これが新法の趣旨だ。

自分も命が奪わそうなときは自国に対する攻撃として個別的自衛権で対応できる、とあかりちゃんの言ふ通り。かのやうな稚拙な言説で諭さうとするのは読者を小馬鹿にしてゐるのか記者が幼稚かつ傲慢なのか……両者か。
▼小西美術工藝社の社長であるDavid Atkinson氏曰く

  • 一定の経済基礎ができた国ではGDPは主に人口増減で決まる。日本の高度経済成長も人口の急激な増加が要因。「日本人はよく働くから」「技術力があるから」は高成長との因果関係はほとんどない。逆に人口減の今は黙っていたら悪くなるのは当然。
  • 「おもてなし」を最大の売り物にして外国人に押しつけるのは問題。海外を旅するときに、おもてなしが優れている順番に行く国を決めることは日本人でもないはず。サービスが多少悪くてもペルーのマチュピチュ遺跡などどうしても行きたいものがあれば、みんな行く。

仰せの通り。
▼安保法制成立は与党の数からも予想できたとはいえ、やはりこたえた。「新たな始まり」や「市民社会の目覚め」という声がある。でも敗北をもっと直視したい。相手が勝ったというより私たちが負けたと感じた。誰に負けたのか。そして「私たち」とは誰か。講義で逮捕された人々がいる。取り戻そう。(牧)

世界 2014年 07月号 [雑誌]

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