富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

国民の理解得られずとも、と自民党高村

fookpaktsuen2015-09-07

農暦七月廿五日。周末の晴天一転して雨空。晩に乗つたタクシー、高齢の運転手は耳が遠いらしく私の伝へた行き先間違ひ高速で本来の出口通り過ぎ、行き先の間違ひ伝えるがすぐに反応もせず少しボケが入つてゐるのか、走行中で話すたびに後ろ振り向くだけでも怖い。一般道になつたところで方向転換に応じたものゝ復路では行き先手前の高速で降りるべき出口通りすぎ一つ先の出口から降りるつもりでゐたやうで、さすがにかなり遠回りとなつた自分の判断ミスに気づいたのか、今度は自信喪失で焦つてゐるのが一般道でおろおろ、車線選ぶにも後ろの車にクラクション鳴らされ、やつとのことで陋宅着。申し訳ないがいつも乗る道程なので、いつもの料金しか渡さず。ここまで高齢運転手がタクシー稼業とは。
▼だいたい世の中の何事も自分で「こんなものか」と理解できたつもりでゐる私も欧州での東からの難民受け入れは何とも理解し難い。正直言つて好まざる客が押し寄せるのを、難民にとつては不評なハンガリーとて、だうして門戸を開きあゝして受け入れられるのか、その上、ボランティアが衣食の世話までしてドイツなど生活費用まで工面するといふ。国外からの難民、移民はひたすら拒み国内では福島核禍の離散者の生活保護まで打ち切り検討する国家にある我々。
▼昨日の新宿ほてい屋前での反安保法制、反安倍デモ集会で「街頭に創価学会の三色旗」党元幹部が「公明、目を覚ませ」といふ記事(朝日、こちら)。やっぱり。学会内部でも(私の知己の学会員も皆さうだが)今の公明党の姿勢にはやはりかなり疑問あり。当然。自民党の同衾許すことに何か深刻な事情があると察するが。かうした動きに対して自民党副総裁の高村正彦は安保法制は「国民のために必要だ。十分に理解が得られていなくても決めないといけない」とまで宣つた由。暴論甚だしいが高村は「国民の理解を得られなければ次の選挙で政権を失う、それが民主的統制だ」と言ふが、一政権の判断が例へば消費税見直しや行政改革一票の格差是正といつたことなら有権者の反発で政権失つて反省で終はるが、事が国家の安全保障、それも戦後の日本の安保政策をば一内閣の閣議と国会の安定多数の横暴で根本から変へてしまふといふ暴挙、立憲主義の否定が自民党が政権失ふだけのペナルティで済まされると考へるとは。さらに、かつての政権交代の時の民主党人気のやうな野党に対する支持がないだけに安保法制強行採決後に選挙となつても自民党議席減らしても過半数多少割れ程度なら公明党等との連立で政権維持は可能といふ自信あるのも困つたもの。山口二郎先生は「安倍政権を危ういと内心思っていても権力者に逆らったら後が怖いと思う様な政治家はハンナ=アーレントの云う凡庸な悪に加担している、そんな政治家は国民に見放される」「自民党内で果敢にも安倍首相を諌めたことが勲章になる日が必ず来る」と仰るが、そこまでの良識が今の自民党にどれだけあるのかしら。安保法制を踏み絵に自民党が割れ、公明党から離反者が出て衆院での賛成が3分の2下回るやうな事態にまでなると面白いのだが、与党内の良心の呵責に期待するしかないとは。責任は前回の衆院選挙でアベノミクスの甘水に騙され自民党にあんな絶対的安定多数与へてしまつた国民に責があるのだが。